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復古主義に刺突された民主教育[2017年04月02日(Sun)]

DSCN0517.JPG
阿吽の二形のように電線にとまった雀

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「銃剣道」推進派が文科省を「シトツ」した経緯は?

中学の学習指導要領に銃剣道をねじ込んだ件、戦時下の刺突「訓練」をもろに連想させる話だ。
公開された中教審の資料をもとに、主権者の立場から整理しておく。

◆中学教育課程部会を含め、この一年余、公開された中教審の審議に関しては相当回数の審議を傍聴してきたが、唐突に銃剣道が浮上した印象は否めない。
委員諸氏も正直、凍り付いているのではないか?
文科省記者クラブを初めとするジャーナリズムは、初等中等局長以下担当者および関係委員に取材して経緯を明らかにすべきだろう。

◆昨年(2016年)12月21日に北山禎介・中教審会長から松野博一文科相に手渡された答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」では、欄外の注に「日本武道協議会加盟団体実施種目」として「柔道、剣道、……なぎなた、銃剣道」と9種目が小さく記されている。気づきにくいが注記に「銃剣道」が書かれていること自体は事実だった。

★上記の12/21中教審答申と関連資料は下記から
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm
★答申の本編は下記から
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_0.pdf

◆答申p.190の本文に「グローバル化する社会の中で、我が国固有の伝統と文化への理解を深める観点から、日本固有の武道184の考え方に触れることができるよう、内容等について一層の改善を図る。」とあり、この「日本固有の武道」に付した注の184として欄外に「 日本武道協議会加盟団体実施種目・・・柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道」と小さく記すにとどめたものだ。

この件について委員から意見が出た記憶はない(いずれ全議事録は公開されるだろうから、そこで検証する必要があるが)。
ただ、調べてみると、現行の中学校学習指導要領にこれら武道9種目の名が記載されているところがある。それは、本編とは別に文科省が出す「学習指導要領解説」だ。
学習指導要領の「解説」は各教科の内容等を解説したもので、文科省が編纂し公刊されるが、当該教科の教員でも、主な改訂部分の確認のために参照することはあっても精読することはないだろう。現場への拘束力もない。
その末尾に「参考」として記してあった。それだけの扱いにとどめてきた、ということだろう。

◆現行の指導要領の本編はというと、「なお,地域や学校の実態に応じて,なぎなたなどのその他の武道についても履修させることができること。」と「なぎなた」を例示するだけにとどめ、「銃剣道」明記は慎んでいるのだ。

現行の中学校学習指導要領「保健体育編」解説(平成20年7 月)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/21/1234912_009.pdf


「解説」から本編に昇格、なぜ?

12/21中教審答申のp.190本文をもう一度確認する。
「グローバル化する社会の中で、我が国固有の伝統と文化への理解を深める観点から、日本固有の武道184の考え方に触れることができるよう、内容等について一層の改善を図る。」
「考え方に触れる」とある。実際に身体を使って行う武道について「考え方に触れる」とは妙に腰が退けた表現になっている。おそらく答申本編に入れよという無理筋の圧力に押されたという事情を物語っているのだろう。

これが今年2月14日に公表され、パブリックコメント募集にかけられた学習指導要領改定案では、「注」ではなく本文に入った。ここでも競技団体だけでなく関係議員らの働きかけがあっただろう。
しかしそれでも文科省サイドには「銃剣道」をも含めることに抵抗があったと推測される。
戦時中の「刺突」の記憶を忘却するのは難しかったからである。
だが、ゼロ回答でもまずかろうと打算が働いた。
改定案では次の様な表現になった。
〈「F武道」については,柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。〉

「など」を用いることで「銃剣道」を明記はしないが、排除していないと弁解できると期待したのだろう。
事実上「満額回答」に近いのだが、それで推進派が矛ならぬ銃剣を納めるはずもない。

◆この間、政治的圧力を用いたことをためらいなく吹聴している一人に、参院のヒゲの隊長こと佐藤正久議員がいる。パブリックコメント締め切り直前3月15日のブログに「銃剣道を学習指導要領に」と題して経緯を書いている。
http://ameblo.jp/satomasahisa/entry-12256671830.html
「銃剣道」が改定案に明記されていないことに憤懣やるかたない佐藤議員はあちこちに働きかけたようだ。興味深いのは当時審議中だった予算案を材料にして文科省に圧力をかけたことを書いていることだ。次の様に書いている。

いま国会で審議している来年度予算案の資料にも「武道等指導充実・資質向上支援事業 190,482千円」として「柔道、剣道に加え、新たに相撲、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道に拡充」と記されているにもかかわらず!です。

◆「銃剣道」を明記させることは、予算措置とタイアップで進める既定路線だったということだ。
中教審答申が手続きの正当さを裏書きするために作成され、委員らが権威付けのためにかき集められたコマに過ぎないことはさんざん見せつけられてきたものの、ここまで形骸化するなら、かけた手間暇、旅費・日当など税金のムダ使いであることは隠しようもない。

◆改定案にない「銃剣道」をねじ込むためにパブコメも利用された。
(4/1の朝日新聞朝刊のよれば(銃剣道を)「加えるべきだ」とする意見が数百件あったという。寄せられた意見は11,210件だというから、幼小中と多岐にわたる改定案に関して、数%もの意見が「銃剣道」ねじ込みのためにのみ集中動員されたわけで、執念が半端でなかったことが想像される。)
◆「意見87」がそれだ。〈武道においては武道全9種目を並列記載するため「銃剣道」を明示すべき。〉これに対して文科省の回答は――〈学校や地域の実態に応じて、種目が選択できるよう武道の内容の弾力化を一層図るため、武道の8種目に「銃剣道」を加え、現行の中学校解説保健体育編に既に表記されている武道9種目を様々な武道の例として明示しました。〉
◆赤字部分がボカシやズラシを施した官僚的作文であることは明らかだろう。
かくして、「解説」に参考として付記するにとどめていたものが本編の、「注」ではなく本文の中に位置を推進派は確保したわけである。2月の改定案に「〜なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法などを通して」と書いた時点で勝負はあったと言える。付けいられる余地を残していたからだ。降参することの予告であったのか、精一杯抵抗した痕を残そうとした「など」であるのか、分からないけれど。
だが、こうして「銃剣道」を明示するよう押し切られたあとは、国民向けの言い訳を用意している。「既に表記されている」という表現がそれだ。敗北したことを認めたくないのだ。シトツされて絶命するのは彼ら役人ではなく、教育に希望を託してきた国民の側であるから、彼らにとっては痛くも痒くもない。粛々とゴマカシの事後処理を進めている、ということだろう。
ここに公僕としての誠実さは微塵もない。今に始まったことではないと思うものの、ちっとはマシな芝居をして見せろと言いたい。
佐藤正久議員に「武道等指導充実・資質向上支援事業 190,482千円」付けてやってるじゃないかと、「刺突」された時に「予算の9分の1『2,117万(端数切り上げて)』は耳を揃えて返上つかまつる。「銃剣道」だけは問答無用。この霞が関を通すことまかりならぬ。」と、(「勧進帳」の安宅の関の関守・富樫のごとくに)見得を切ってみせろヨ、と言いたくなる。

◆報道によれば銃剣道はほとんど指導者がいないと聞く。一方、佐藤正久議員のようにほとんどの自衛隊経験者は訓練を受けているそうだ。であってみれば、学習指導要領に「銃剣道」をねじこんだのは、学校から自衛隊に対して「銃剣道」指導者派遣の要請がなされることへの期待もあるのだろうと推測できる。
それが現実に行われるならば、かつて軍人が学校に乗り込んで威張り散らした時代に舞い戻ることになる。

◆パブコメに寄せられたまともな意見には耳を傾けず、政治的なバイアスがかかった意見に身を任せて責任はとらない。「銃剣道」のシトツを文科省自身が望んで招来した結果といえる。
歴史を顧みない輩に迎合・屈服した自虐の姿に見える。

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