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加古さとしの「だるまちゃんすごろく」[2017年01月02日(Mon)]

◆暮れの藤沢市民総合図書館に加古さとし「だるまちゃんすごろく」が展示されていた。
開館30周年記念に藤沢市民である加古さんから贈られた色紙とともに展示されているのに気づいたのである。
新刊だと知って帰路書店に寄り、「かこさとしの、郷土玩具のすごろく。10月に出たばかりの、ありますか?」と在庫を確認してもらったところ、「加古里子」「かこさとし」の二通りの名前で二種類の「すごろく」がヒットした。すごろくシリーズは2冊あるらしい。

画面を見た店員さんが漢字表記の方を「かこさとこ、ですね」と言うのでおかしかった。
聞くところでは「里子」はもともと俳号として付けたのだという。
俳人・水原秋桜子が男性であることと同じだ。
しかし、このように女性の作家と間違えられることもよくあるので、ひらがなで「かこさとし」と書いてある作品も多い。

年が明けたので、開いて見た。

加古里子すごろく_0004-A.jpg

◆加古絵本でおなじみの「だるまちゃん」が「ふりだし」にスタンバイしている。
各地の玩具が登場するが、表側は「いろは」順、裏面には北海道から順に南に下がって沖縄まで。両面を楽しめるのがミソである。盤を進ませるコマはだるまちゃんのほかに、やはりおなじみのキャラクターである「てんぐちゃん」など7体。切り離して立体に作るようになっている。白いままの予備のコマ2体分が付いていて好きな絵を描いて加えることができる。無論、サイコロも型抜きしてあるのを切り離して組み立てれば良い。

◆盤面で地元・神奈川のおもちゃを見ると、「いろは順」に描いてある表側には、スタートして間もなく、「へ」の位置に「たけへび」が描いてある。ただし下図のように右上の小さい○の中に「たけ」と書き、3文字目の「へ」を大きく書いて「へ」だゾ、と示してあるところが愛敬である。
止まった場所に指示が書いてあったら、その通りにするのがルールである。
ここでは、手をくねくねさせて、「にょろにょろへびだぞー」と言わねばならない。

加古里子すごろく_0002-A.jpg

裏面の神奈川は「すいか天神」(西瓜天神:横浜磯子の岡村天満宮の土人形だそうだ)。


◆表側の11番目には「ぬえたいじ」として「福島張り子」が描いてある。

170101加古里子すごろく_0002-A.jpg

「ヌエ(鵺、鵼)」とは、頭部が猿、胴が狸、尾は蛇、手は虎、声はトラツグミという、とらえどころのない怪獣だ。現代ならさしずめ原発利権に群がる政・財・軍の複合体ということになろうか。
その跳梁を許すことなかれ、というメッセージを感じた。


◆表側、「あがり」にだいぶ近づいた「え」のところに秋田の「えじこにんぎょう」というのが描かれているのでオヤ、と思った。津軽地方の「エンツコ」と同じ形であったからだ。

加古里子すごろく秋田いじこ-A.jpg

裏も見てみると、山形の「いづめこ」というのが同様の姿で描かれている。

170101加古里子すごろく_0003-A.jpg

どうも広く東北一帯にあるのではと思われ、ネットで検索してみた。
結構いろんな人が紹介している。呼び方はイジコなどさまざま、素材も藁(わら)で編んだものから竹製のもの、木製のものなどもあり、全国にあるようだ。

◆幼少のみぎり、我が愛用せしは、稲わらを編み、表面は畳表のゴザでくるんだ「エンツコ」である(と言っても、赤ん坊時代のことだから覚えているはずがない。妹たちがこれに入れられていたのを覚えているだけである)

太宰治「津軽」の中に「エンツコ」の絵が載っている。

170101太宰津軽よりエンツコ_0005-A.jpg
 筑摩書房、昭和42年版「太宰治全集 第七巻」より

◆語源は「嬰児籠」からと説明されているようだが、果たしてどうか。
「籠」は万葉の昔から「こ」と訓んできた(万葉巻頭の雄略天皇「籠もよ み籠持ち(モヨ ミモチ)〜」の歌が有名)のは確かだが、東北方言でしばしば名詞のあとに「コ」を付けて愛称形にするのと関係がないかどうか。
一方、山形の「いづめこ」という名称は「居詰め籠」という字をあてて解したくなる。
この容れ物に赤ん坊を座らせ、周りに毛布やボロ布を詰めて赤児を動かないようにするからである。ただ、これも素人談義の域を出ないかも知れない。

◆いずれにせよ、赤ん坊を「エンツコ」の中に座らせて動けないようにして、親が仕事しやすくするための用具だから、おモラししても平気なよう、底には灰を敷いていたようだ。
しっかりくるまれているから温かい。
これに入れたままリヤカーに乗せ、畑に連れて行くことも少なくなかった。
エンツコに入っていたのを覚えてるか、と妹や弟に訊いてみたいが、本人は覚えているはずもないし、写真に撮っておく考えも浮かばない時代だから、かろうじて玩具でしのぶばかりである。
赤ん坊が「エンツコ」を卒業してしまえば、お櫃(ひつ)をくるんで入れて置き、ご飯の保温用としても使ったものだ。

*******

加古里子すごろく_0001-A.jpg
加古里子「だるまちゃんすごろく」福音館書店、2016年10月
   コピーライトマークKako Reserarch Insititute Ltd.2016

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