わたしたちが正義である場所から[2019年11月14日(Thu)]
夕焼けの美しい季節だが、シャッターチャンスは束の間しかない。
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◆総理大臣主催の「桜を見る会」疑惑、幕引きを謀って来年は中止と決めた。
それで終息はできまい。
ネット上の記事やコメントに秀抜な表現が見える。
★「桜を見る会」ならぬ〈サクラをつくる会〉 …実体を言い当てている。選挙演説も取り巻きもカネや権力を養分とした「サクラ」に過ぎない、と。
★〈『桜を見る会』散る〉…”長期政権"と囃すそばから散り初めた。うら枯れてゆく先は見えた観あり。
森羅万象を司ると奢れる者の散りぎわは美しからず、「私が決断した」と、またしても正しくない日本語を弄ぶ口角に恋々の情がまとわりつく。
不正義の数々を潔く認め、陽の当たる場所から退場を。
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わたしたちが正義である場所
イェフダ・アミハイ
わたしたちが正義である場所から
花たちは 決して咲くことはない
春になっても
わたしたちが正義である場所は
固くて 校庭のように踏みつけられている
だが モグラが掘り 人が耕すように
疑問と愛とで 世界を掘り起こしていくなら
ささやく声がきこえてくるだろう
今や 朽ち果てた家が かつて立っていた場所から
*白石かず子『詩の風景・詩人の肖像』(書肆山田、2007年)より。
*イェフダ・アミハイはイスラエルの詩人(1924-2000)。ドイツに生まれ、1935年に家族とともに英領パレスチナへ移住、翌年エルサレムに移った。