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自転車のパンク[2019年10月18日(Fri)]

大切なもの   菅原克己

そんなにはやく歩くと
きっと大切なものを素通りする。
よそみせず静かに歩こう。
人はたくさんの知識をほこるが
ぼくにはなにもない。
もしたれかが稚(おさな)いといったら、
足もとを見て、
ぼくは正直だったかと自問しよう。


 *木島始・編『列島詩人集』(土曜美術社出版販売、1997年)より

*******

◆人の歩く速度は時速4kmほど。自転車に乗るとその3倍、バイクはその3倍、車なら高速道でさらに3倍、新幹線でさらに3倍…と、乗り物の進化と高速化がおおよそ3倍になると考えた人は少なくないだろう。
「速く遠くへ」を実現するのが文明開化の王道であったのだろうけれど、人間の身の丈にあった速さは自転車くらいではないか、それ以上は道々見失うものの方がたくさんあってもったいない、という気になる。

◆その自転車がパンクした。
おとといの夕方、後輪がぺしゃんこになっていたので、虫ゴムの劣化かと思って取り換えたのだが、翌朝またもやぺしゃんこに。
よく見ると画鋲の真新しいのがしっかり刺さっていた。

◆だいぶ前に買った修理キット(ゴム糊とパッチなど一緒になっているやつ)があったので、自前で直すことにした。
画鋲の刺さった位置を見失わないよう、タイヤに白い目印を付けてからタイヤを外す。
(パンクタイヤを外すためのレバー2本も揃っていた。「捨てない主義」がこういう場合は威力を発揮する。)

◆子どものころ自転車がパンクすれば父親がいつも直してくれた。
少し空気を入れたチューブを水に浸けて穴が開いた場所を見定め、古いチューブを適当な大きさに切る、ノコギリの目立てをするヤスリでチューブにヤスリをかけてからゴム糊を塗る…そうした
手順がゴム糊の揮発性の匂いとともに記憶に刻み込まれた。
それだからか、自転車のパンクぐらい自分で直さなきゃ、という気構えだけは醸成されたようだ。
(父親が修理してくれたものでもう一つ記憶にあるのはランドセルで、兄が4年間使ったのを譲り受けたランドセルの蓋が中学年頃にさすがに傷んで来て糸がほつれてきた。はがれた革をニカワで貼り合わせ、太い糸でしっかり縫い直してくれた。修理はその一度のみ。つごう10年間使い込んだ黒いランドセルは風格さえ帯びていた。)

◆そんなことを思い出しながら多分30年ぶりくらいにパンク修理に挑戦したのだが、あっさり終わった。空気を入れてパンパンに張り切ったタイヤは頼もしい感じだ。
自転車屋の修理代いくらぐらいか知らないけれど、寿司一人前くらいは浮いたろうから奢ってやろうかと家人に吹聴したほどである。

ところがだ。車で用足しから戻ってサイクリングロードに出ようかと自転車に跨がったら、もういけなくなっていた。体からも力が抜けていく感じである。ゴム糊の付け方か乾かし方が不充分だったかも知れない。原因を突き止めてやり直す面倒くささに挫けそうになるが、沽券にかかわると思い直し、再びタイヤを外した。
漏れている場所は直ぐに分かった。直した箇所の向こう側からプクプクと小さな泡が出ている。恐るべし。画鋲はチューブを貫通し、2つの穴を開けていたわけである(乗り手の体重を考えれば、そりゃその筈だ、と反省したことである)。

2つ目のパッチを貼って再び空気を入れる。
直ぐには乗らない。出入りするたびにタイヤを押して無事を確かめること数回……今朝に至るも大丈夫であった。
「良かったわね。2回直したから、お寿司2人分は浮いたかもね」と家人は言うが、己が自転車にかけていた負荷を省みて贅沢を敢行する勇気が出ずにいる。



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