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いつでも直し得る人生[2019年08月20日(Tue)]

DSCN9863.JPG
クサギの白い花。秋には赤いガクの真ん中に黒っぽいまん丸の実をつけるはず。
※クサギの実の方は下記記事参照
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/670

*******


靴の修理屋で   ト・ジョンファン(都鍾煥)

街角の靴の修理屋の椅子に
彼女は苦菜(にがな)のように座っている
白い顔に秋の日差しがかかり
その中のひとすじが笑くぼの陰に
隠れる
彼女が長いこと歩いたり立ったりしている間
彼女のからだを支え 少しずつ
削り取られた靴底を眺めながら彼女は
恥ずかしそうに微笑む
フランスメーカーの垂れ幕を掲げた大型ショッピングモールの
屋上駐車場からは
大量に買い込んだ荷物を乗せた車が次々と降りてきて
靴の修理屋をチラチラみながら
走り去る
人間も物も壊れたらすぐに捨てられ
新しいものがいつでも 大量に客を待っている時代
壊れたものを直すことを知っている二十歳そこそこの彼女
いつでも壊れ得る人生を
直して再び使えることを知っている彼女が
からだを動かすたびに 風に乗ってハッカの香りが届く


ト・ジョンファン(都鍾煥)詩集『満ち潮の時間』(ユン・ヨンシュク+田島安江 編訳。書肆侃々房、2017年)より。

◆部屋の壁紙の一部を手すさびで貼り直した一日、久しぶりに手に取ったト・ジョンファンの詩集で上の一編に出会った。

終わりから3行目、「いつでも壊れ得る人生」というのは、相応の時間を生きて来た者なら誰しも経験し得ることだろう。しかし「壊れた人生」だって「直して再び使える」ということを誰もが知っているわけではない。
この年若い靴の修理屋は、靴の持ち主の生のありようを手で受け止めながら、靴が再び彼の人生を支えられるよう、心を込めて立ち働いている。
その姿を間近に見守る靴の主は、生きる力が再び身内に湧き始めたことを感じているのだ。

【参考】ト・ジョンファンの詩「蔦」 [2019年3月30日の記事】
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1183


この記事のURL
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1327
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