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木を伐るばかものども[2019年05月14日(Tue)]

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クワが実を付け始めた

*******

丸山穂高衆院議員の北方領土をめぐる「戦争」発言、所属する日本維新の会からは除名処分となったが、議員失格であることは言うまでもない。
一人の例外的な人間の不規則発言とは思われない。これに同調する議員・有権者のいることに不穏な空気を覚える。

◆戦時国民歌謡の一つに、高村光太郎が作詞し飯田信夫が曲を付けた「歩くうた」 がある(徳山l(たまき)の歌唱で1941年5月発売)。その1番の歌詞は以下のようなものだ。

歩け歩け 歩け歩け
南へ北へ 歩け歩け
東へ西へ 歩け歩け
路ある道も 歩け歩け
路なき道も 歩け歩け


「路なき道も」のくだり、堅忍不抜の勇ましい姿というよりは、闇夜に泥濘を踏んで進軍し、そのまま冷たい湖底へと沈んでゆく兵たちをイメージしてしまう。生還を期することは放棄した、無表情の暗い情熱とでも言うべき不気味さである。

その列に加わるよう促す者らが、先の丸山議員の周囲で同じ空気を呼吸しているように感じるのである。

◆「歩くうた」を筆頭に1941年の日米開戦前夜の歌を集めた『1941年の哀愁 歌謡曲でめぐる日米開戦前夜の空気』というCDが出ている。
そのCDの2曲目「妹よ」(松平晃・歌。植村謙一の詞に松平自身が作曲)の歌詞の2・3番は次の通りだ。

妹よ
兄は各地に 転戦し
今度こそは 戦死せん
手柄を立てんと 思えども
武運つたなく 今迄に
戦死も出来ず 居り候

妹よ
兄が戦死を 遂げたなら
そなたは一人と なり候
されど泣かずに 時折は
靖国神社へ 訪ね来よ
それがそなたの つとめに候


ここでも死にゆくこと以外の一切の道を閉ざした「陰々」と形容するほかない情熱が、肉親への愛をも黒々と染め上げている。
生き抜くために智略を注いで勝利を得ようとするよりは、思考・判断することを他者に(自軍の参謀ばかりか、しばしば敵の動き・戦略にすら)委ねて、兵自身は戦闘遂行の手足であることのみを宗とするやりかた、あたかも必敗・必死を前提にしているようなやり方がここでは推奨されている。

靖国へとみんなで参拝する議員たちも同じ黒々とした陰を引きずっているとしか思えない。

***

戦争   ジャック・プレヴェール
      (小笠原豊樹・訳)

きみら木を伐る
ばかものどもめ
きみら木を伐る
若木をすっかり古斧で
かすめ盗る
きみら木を伐る
ばかものどもめ
きみら木を伐る
ふるい木と ふるい根っこと
ふるい義歯(いれば)はとっておく
きみらレッテルを貼る
やれ善の樹だ やれ悪の樹だ
勝利の樹だとか
自由の樹だとか
荒れた森はおいぼれた木の臭いでいっぱい
鳥はとび去り
きみらそこに残って軍歌
きみらそこに残って
ばかものどもめ
軍歌だ 分列行進だ。
 


*小笠原豊樹・訳『プレヴェール詩集』(岩波文庫、2017年)
 

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