テロ想定の「国民保護共同実動訓練」というが[2019年03月06日(Wed)]
玉縄桜。湘南台公園で。
大船にある神奈川県立フラワーセンターがソメイヨシノの早咲きのものから育成したものだそう。同センターのある鎌倉の地名を冠して品種登録された。
フラワーセンター寄贈の玉縄桜、2株が並んで満開だ。
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訓練に名を借りた危機演出
◆湘南台駅前を歩いていたら、来る3月9日(土)、神奈川県国民保護共同実動訓練を実施するので交通規制がある、との立て看板に出くわした。
そんなもの頼んでないゾ!と県のホームページを探したら、「テロ災害を想定した神奈川県国民保護共同実動訓練」とうたってある。
実施会場は3ヵ所。湘南台については横浜市営地下鉄の駅ホームで不審物が散布された、という設定だ。
地下鉄サリン事件のケースを想定しているわけだが、ちょっと待てヨ、である。
1月に公表された訓練実施の狙いは次の通りだ。
県では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会等の県内開催を見据えて、競技会場及び周辺のソフトターゲットを狙ったテロ災害の発生を想定し、関係機関が連携して初動対応や被災者の救出、救護、搬送を行う「神奈川県国民保護共同実動訓練」を実施します。
「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会等の県内開催を見据えて」である。
分からないところがいくつもある。
2つだけ指摘しておく。
(1)「等」には何が含まれているのか。それ以外のイベントを含めて、予定されているものを具体的に考えているのか。
もしそうではなくて、大きく網をかけておけば無難だろう、と考えて「等」を付けたのなら、削除すべきだと考える。「等」が無限定に拡大解釈されて市民にガマンや不自由の受忍を強いることになるためである。
(2)藤沢市で予定されている競技はセーリングだ。ならば関係者や見物人が最も多く利用するであろう藤沢駅周辺を訓練会場とするのが普通である。まして本番まで1年半を切ったこの時点で行う訓練は徹底して現実的に考えるのでなければ意味がない。
看板によれば、湘南台駅周辺で交通規制を敷くのは[A]駅東口の大通りと[B]湘南台市民センター北東の交差点「藤沢北警察署入口」から東の住宅地に向けて真っ直ぐに伸びる通り(今田郵便局まで)の2本で、看板の地図では赤く塗られてある。
ところが、この2本の道が接続している国道467号の方は赤色になっていない。100m足らずの区間で、[A]←→[B]を人や車両が頻々と往来する場面だって予想される。ならば両者をつなぐ国道467号も車両規制の範囲に含めて示して置くのが当然ではないだろうか?
◆訓練がリアリズムに徹して計画されているように思えないのは、横浜港大桟橋の方も同様だ。想定は「航行中の大型客船内での爆発が起き、不審な船が逃走」というものだが、古い007映画の世界のようにしか思えない。
実施者(国の要請を受けた県)がやり易い(実際的でない)訓練で良いと考えているとしたら、それは「やってる感」をアピールするためのパフォーマンスに過ぎない。
そうした訓練は、国民を真に守るためにやるというよりは、規制や統制を当然の如く受け入れる人々を増やすために行われる。
そのように飼い馴らされて行ったなら、自然災害に遭った場合にも自分の判断で行動することは難しいだろう。
名前だけは「国民保護共同実動訓練」とあるが「保護」は名目に過ぎない。
むしろ、いずれ在外邦人を「保護」する名目で自衛隊を海外に出動させるための「実働訓練」なのではあるまいか?今回の訓練にはむろん、自衛隊も名を連ねている。
【神奈川県の「訓練」告知サイト】
⇒http://www.pref.kanagawa.jp/docs/yt2/r9503400.html
【開場図】
⇒http://www.pref.kanagawa.jp/docs/yt2/documents/kunrenkaizyou_1.pdf