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合言葉〈ノーパサラン=彼らを通すな〉[2019年02月13日(Wed)]

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渋谷にはこんな「ハチ公」もいる。渋谷駅西北の路傍で。

*******

◆国会・官邸では茶色に腐った言の葉たちがベチャベチャと吐き出されて、国民の視界を塞いでいる。

◆〈その1〉
桜田義孝・五輪担当大臣、競泳の池江璃花子選手の白血病公表に対して「がっかりしている」「盛り上がり若干、下火にならないか心配」などと述べた。
さすがに撤回したものの、五輪憲章読んだこともない、とも公言。無知無恥に国民輿論のを。

◆〈その2〉
菅官房長官の記者会見で東京新聞・望月記者に対する上村秀紀・官邸報道室長による妨害が続く。
「質問は簡潔に御願いしまーす」「質問に入ってください」「まとめ御願いしまーす」を執拗に連呼する異様。時に数秒おきに繰り返す。
記者の質問に耳傾ける風もない菅義偉官房長官は、イラッとした表情で、進行役の上村室長に介入せよと合図を送る。
ニベもない回答で我々の知りたいことに答えようとしないスポークスマンの姿は依怙地なほどだ。

こうしたやりとりが1年以上も続いている異常さにも驚く。
「個別の案件には答えられない」「本人に聞いて下さい」「ご指摘は当たらない」などのスガ語法が他の議員・官員たちの舌をも冒して病は重い。

菅氏の指示を受けた四時の報道監視・質問拒絶。民主主義という死児のために半旗を。

◆〈その3〉
2月12日の衆院予算委員会、奥野総一郎議員の「(記者の質問に制限を加えるのは)民主主義国家としてあってはいけない」との指摘に対して、菅官房長官は「取材じゃないと思いますよ?『決めうち』ですよ」と語気を荒げて反発した。これまた異様な反応だ。

異常な空気が囲繞する官邸の主は速やかに政権委譲を。

*******


合言葉(シボレート) パウル・ツェラン(中村朝子・訳)

ぼくの石たちとともに、
格子の後ろで
激しくないて流されたものたちとともに、

かれらは ぼくを引きずって行った、
市場の真ん中へ、
あそこへ、
そこでは ぼくがどんな誓いも立てなかった
あの旗が広げられている。

フルート、
夜の二重のフルートよ――
思い出せ
ヴィーンとマドリッドの
暗い双子の赤を。

お前の旗を半旗にして掲げよ、
思い出のために。
半旗にして
今日 そして永久に。

心よ――
お前の素性をここでも明かせ、
ここで、市場の真ん中で。
叫べ、あの合言葉を、
故郷の異郷にとどけと、
「二月、通すな(ノーパサラン)」と。

一角獣よ――
お前は石たちに通じている、
お前は水たちに通じている、
おいで、
ぼくはお前を
エストゥレマドゥーラの
あの声たちのもとへ連れて行こう。


『敷居から敷居へ』(1955年)所収。
*中村朝子・訳『改訂新版 パウル・ツェラン全詩集』第1巻(青土社、2012年)に拠った。
下の「ひとつに」も同詩集より。

◆合言葉「ノーパサラン(通すな)」は1936~39年のスペイン内乱において反動派に対する合言葉となった。もともとは第一次世界大戦の激戦地ヴェルダンでフランス兵士たちが用いた合言葉。
日本でも2015年の安保法制国会で若者たちによって政府の暴走を押しとどめる合言葉となった。

◆ツェランは「ひとつに」という詩においてもこの合言葉「通すな(ノーパサラン)」を掲げている。その第一連――

二月十三日。心の口の中で、
目覚めた合言葉。お前と一緒に、
パリの
民衆。通すな。

 
「ひとつに」より(『誰でもない者の薔薇』所収。1963年)


2月13日という日付けは、1934年のヴィーンのゼネストおよび1945年のドレスデン爆撃を想起させる、と研究者は言う。



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