CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 堀文子と二・二六事件 | Main | パウル・ツェランの雪の景 »
<< 2019年08月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
堀文子の多彩な世界[2019年02月10日(Sun)]

◆堀文子が半世紀余りを暮らした大磯の駅前に、彼女の筆による「湘南発祥の地」の碑が立っていることは2年ほど前に紹介した。

大磯をあるく(1) 2017年2月27日の記事】
http://blog.canpan.info/poepoesongs/daily/201702/27
別のアングルからの碑の姿を載せておく。

DSCN9861湘南発祥の地碑-A.JPG

*******

『別冊太陽 100歳記念 堀文子 群れない、慣れない、頼らない』には、大磯に移り住んだ頃の作品や、童画・装丁など若い頃の作品はもとより、イタリア・トスカーナでの暮らしから生まれた作品、南米やヒマラヤへの旅から生まれたものなど、恐ろしく多様に変幻した作品を収めている。

晩年という言い方で括るにはまだ早い、もっと時間が与えられていたならば、いよいよ豊饒な作品が我々を驚かしただろうと思わせる。

たとえば、抽象的な作品(青山の普通のアパートをアトリエとしていたころ)――

堀文子「地底の風景」1963年.jpg
〈地底の顔〉1963年

いわゆる「花の時代」に先駆けて、木や草が精気を汲み上げている地中はるかなところに息づいているものを透視したような玄妙な世界だ。

科学者になりたかったという堀の手にかかれば、顕微鏡で観た極微の世界も生命賛歌として表現される。

堀文子「極微の宇宙に生きるものたちU」2002.jpg
〈極微の宇宙に生きるものたちU〉2002年

堀の言葉が載っていた。

微生物やくらげの不滅の生命に触れたことが、
私の終わりへの不安を救ってくれた。
 



最も驚かされたのは次の作品。

堀文子「崩壊」2008年.jpg
〈崩壊〉2008年

金属やコンクリートが切断され、飛び散り、溶けかかったような小さな丸い形のものは身動きの取れない人間たちの顔のようにも見える。

幼児の関東大震災の記憶を原体験として持ち、「在るものはなくなる。」ということを心に刻みつけた堀。

しかし、その日、庭の泰山木の幹を大きな青いカマキリがゆっくりゆっくりと登る姿に鮮烈な印象を受けた、とも記す(「ホルトの木の下で」~〈生いたち〉p.29)。

震災の恐怖をも忘れるほどの、生命の神秘に心をとよもす体験であったのだろう。

そうした眼と心にとっては、脳の血管までもがクラクラするような不思議に輝く。
90歳を過ぎて次のような作品も生まれた。

ニューロンは考える2010年.jpg
〈ニューロンは考える〉2010年

下の最近作の一つも、冬枯れを照らす光が見る者を内側からあたためてくれるのである。
遍照の世界に我々を招く。

堀文子「落日の図 冬枯れの林を落ちる太陽」2015年.jpg
〈落日の図 冬枯れの林を落ちる太陽〉2015年

*作品はすべて『別冊太陽 100歳記念 堀文子 群れない、慣れない、頼らない』(平凡社、2018年)より。
作り手たちの画家への愛情が伝わってくる一冊だ。
 撮影:大屋孝雄、宮島径
 編集:竹内清乃、和田絹子、林理映子



この記事のURL
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1135
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
検索
検索語句
最新コメント
根来珠青
銃剣道 歴史に目をふさぐおぞましさ (03/29) 当ブログ管理人
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/26) 3億円で買える銃と弾
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/25) マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
若き音楽家リュカ・ドウバルグ (06/09)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml