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マリオ・ジャコメッリ「わが生涯のすべて」より[2018年12月28日(Fri)]

◆写真家マリオ・ジャコメッリ(1925-2000)の最晩年に行われたインタビューに基づく『わが生涯のすべて』から

*初期の写真を評価してくれたジュゼッペ・カヴァッリとの友情について――
教養豊かなカヴァッリはジャコメッリが訪ねて行くと、決まってバッハを弾いて聞かせてくれた――

わたしときたら、バッハが自転車選手なのか漁師なのかも知らずにいたんですから!それでもカヴァッリはバッハを弾いて、「どう思う?」って尋ねてくるんです。無知丸出しで、こう返したのを覚えています。「さあ……退屈ですけど。全部同じじゃないですか!」
次の日曜にもカヴァッリを訪ねて行くと――こういうことがあったのは決まって日曜日でしたから――またバッハを弾いて、「好きか」って訊いてくるんです。こう答えてやりました。「音楽となると、からきしですから……よくわかりませんが、今のって有名な曲なんですか? でも……何が何やらまったくわかりませんね!」
その次の日曜日にも聴かせてくれました。「この曲、好きになってきました……前に聴いたときより良く聞こえますよ!」いつもと同じ曲だったんですがね。さらにその次のときには、自分のほうからお願いする始末でした。「あの曲、少しでいいから弾いてくれませんか」って。どうしてこうなったかって?全然理解できなかったからですよ!
理解しようのないことが、染みの上の吸取紙みたいにしているしかないことが、あると思っています。染みは机の上にあって、紙は中性、無垢。紙を上に置いて持ち上げると、染みの跡がつきますが、染みは机の上にもそのまま残りますよね……。要するに、カヴァッリは、この染みみたいにいつも変わらずそこにいて、わたしのほうが吸取紙みたいにして何かを学び取ったんです!


シモーナ・グエッラ編『わが生涯のすべて マリオ・ジャコメッリ』和田忠彦+石田聖子・訳、白水社、2014年。p.38-39)

Mジャコメッリ[スカンノ(1957-59)]_0001-A.jpg
マリオ・ジャコメッリ「スカンノ」(1957-59年)

★関連記事
辺見庸「わたしとマリオ・ジャコメッリ」 [2018年12月16日]
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1079


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