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ウソ[2017年05月26日(Fri)]

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◆ミュシャ展に合わせて「チェコ人形劇の三つの顔」展が国立新美術館1Fロビーで開かれている。
5/24〜6/2。その後7月にはチェコセンター、11月には飯田市の川本喜八郎人形美術館で。

*******

 ウソ 川崎洋

ウソという鳥がいます
ウソではありません
ホントです
ホントという鳥はいませんが

ウソをつくとエンマさまに舌を抜かれる
なんてウソ
まっかなウソ

ウソをつかない人はいない
というのはホントであり
ホントというのはえてしてウソであり

冗談のようなホントがあり
涙ながらのウソがあって
なにがホントで
どれがウソやら

そこで私はいつも
水をすくう形に両手のひらを重ね
そっと息を吹きかけるのです
このあたたかさだけは
ウソではない と
自分でうなずくために

川崎洋「教科書の詩をよみかえす」
(ちくま文庫、2011年)

◆川崎洋は自作のこの詩を取り上げながら、柳田国男の文章を紹介している。

〈ウソという鳥の名は、本来は啼き声から来て居る。すなわち人間のウソも、かつてはあんな声をして居たので、つまりは真面目らしくない作り声だった。口をすぼめて唇の輪を円く、突出したままで音を発すれば、そのウソの音が出る。即ち今日のウソブク(嘯く)である〉
〈誰が聴いてもいと容易に、本物でないとわかるものが昔のウソであった〉

  柳田国男『不幸なる芸術』

◆これに照らせば、現代のウソは容易にはシッポをつかませない、まことしやかな風体をしている、ということになるのだろうか?
それなら芸の手並みを拝見したいくらいだが、あいにく永田町界隈の「ウソ」は、鳥の方のウソにはとうてい及ばず、初手からバレバレで、その上に耳ざわりな雑音が混じる(直近では加計学園に関する文科省文書が調査しても見当たらなかったという文科大臣報告に混じる内閣府や官邸の恫喝や叱責の気配)。

G7開催中のイタリアのシチリア島でも息を吐くようにウソをついていることだろうかと案じられてならない。諸外国相手のウソの献酬も御免蒙るが、国内で留守を預かる官房長官・大臣らの答弁がまたヒド過ぎる。木で鼻をくくったような物言いに終始し、かてて加えて謀議の臭いフンプンとしていてよろしからず。

「力強いメッセージ」も括弧付き「正義」も要らない。
ただただ正直者をトップに据えたい。

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5・28俵義文講演 & 加計学園問題[2017年05月25日(Thu)]

≪講演会のお知らせ≫

新学習指導要領で学校はどうなる?!

「道徳」教科化?小学校から英語?高校の「公共」?
――文科省がやろうとしていることは何か。
幼稚園・保育園から愛国心教育で、子どもたちはどうなるのか。
最新の情報から解きほぐします。

講師:俵義文さん
(子どもと教科書全国ネット21事務局長)

と き 2017年5月28日(日)14:30〜16:30
ところ 地球市民かながわプラザ 研修室A
  (JR本郷台駅徒歩3分)横浜市栄区小菅ケ谷1-2-1

★地図は「学校に思想良心の自由を実現する会」のサイトでご確認下さい。
http://kokorofree.html.xdomain.jp/


◆◇◆◇◆◇◆

激震 文部科学省

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◆政府、文科省に激震が走っている。
加計学園の獣医学部新設問題をめぐる前川喜平・前・文部科学省事務次官の証言だ。
今夕、記者会見があった。
「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」と記された8枚の文書は〈私が実際に在籍中に共有していた文書でありますから、確実に存在をしていた〉と間違いなく本物であったことを明言、そのうえで証言に踏み切ったことについて〈なかったことにすることはできない〉と覚悟を披瀝した。

◆官邸スジは読売ほかコントロール下のメディアを動員して前川氏の口を封じようと躍起だが、ジャーナリズムがこれをどう報じ真実をいかに解き明かすか注目だ。
報じ方で翼賛メディアがクッキリとあぶり出される。
ただ、同時進行でしかるべきスジからのリーク情報をエサにされたメディア同士の足の引っ張り合いも生じている。百鬼夜行状態になりつつある。
眉にツバを付けて臨む必要がある。

【毎日新聞】 〈加計学園〉 前川氏会見詳報(1),(2)
http://mainichi.jp/articles/20170525/mog/00m/040/001000c
https://mainichi.jp/articles/20170525/mog/00m/040/004000c


ミュシャ「スラヴ叙事詩」その3[2017年05月24日(Wed)]

「スラヴ叙事詩」、画中の眼が見つめるもの

ミュシャ「スラヴ叙事詩」再訪
国立新美術館のミュシャ展、いくつか確かめたいことがあって中教審傍聴の帰りにもう一度訪ねた。

◆一つは「スラヴ叙事詩」15の「イヴァンチツェの兄弟団学校」、大画面の右端に立つ腕まくりした白いシャツ姿の若者、刷り上がったばかりの聖書を抱えている彼の視線が向かう先だ。
5月21日の記事で「その視線は画面を右から左へと横断して、リンゴを持った青年の方に向けられている。」と書いたことに確信はあったが、そのように見えるのは、この作品をどの位置から眺めた場合かということ。

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「スラヴ叙事詩」15「イヴァンチツェの兄弟団学校」(部分。5/20のリンゴを収穫した青年と対を成すように、聖書を抱えたこの青年は右端に描かれている)

◆正面を向いて目を開いた人物の絵は、それをどこから見てもこちらを視ているように見えるものだ。たとえば5月22日の記事に書いた「スラヴ叙事詩」1の「原故郷のスラヴ民族」、画面左手前、恐れと驚愕で見開かれた二つの目や、上記「イヴァンチツェの兄弟団学校」の盲目の老人に寄りそって聖書を読んでやっていた若者がこちらに向けている二つの目。
正面を見ているように描かれた目は、鑑賞者が位置を変えても常にこちらを視ているように感じられる。こちらが移動しても画面の人物の白目と瞳の比率を同じに知覚するために、鑑賞者はずっと見つめられているように感じる、という説明を読んだことがある。これは写真でも同じだ。正面を見たアイドルの写真を壁に貼ったことのある人にはおなじみの経験だろう。

◆だが、「イヴァンチツェの兄弟団学校」の右端、刷り上がったばかりの聖書の紙の束を持った若者の目は左方に向けられている。彼の背面に立ってその視線の先に目をやるとやはり画面左のリンゴの青年に行き着く。すぐ横に盲目の老人とそれに寄りそう若者がいるので、彼らを視ているようにも見えるが、老人と若者は一番手前に描かれている(老人の黒いローブの裾が画面をこちらにはみ出して描かれているのでそれと分かる)ので、その二人よりは、彼らの左後方にいるリンゴの若者に真っ直ぐ向けられていると言って良い。「日々の営みの結実としての秋の収穫と、知や信仰の象徴である聖書(書物)とが、学校の庭を舞台にして調和し、一体不可分のものであることを表している」と書いたことを訂正する必要はなさそうだった。白いシャツを腕まくりした二人の若者は大画面の右と左で一対のものとして描かれているのである。

◆では右端の若者の視線が左方の若者を視ていると感じられるのは鑑賞者がどこに立った時か。
今日の会場は先日にも増して大勢の人が押しかけていて、画面から同じ距離を保ちながら移動することはかなわなかったが、聖書の紙の束を抱えた青年の背面から左に移動して行って、画面中央〜画面全体の3分の2辺りまでは大丈夫そうだった(無論、画面からどの程度離れて見るかによってこの範囲は違ってくるだろう)。
白いシャツ姿の二人の若者が対であることは、彼らが手にしている聖書とリンゴが対として描かれていることのほか、二人の姿勢にも表れている。
背面の姿(聖書の青年)と正面(リンゴの青年)と対比させながら、しかし二人はともに右足を前に踏み出した「動」の一瞬を、右肩を下げ左肩は上げた同じ姿勢で立っている。すなわち、対照的でありながら同じ姿勢で均衡を保った姿の一方は背面として、他方は正面として、それぞれ描かれているのである。
 *5/21の画像参照⇒http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/506

*******

瞑目

◆もう一つは、1「原故郷のスラヴ民族」の右上方に浮かぶ祭司の眼について。
その眼は開かれているのか、瞑目した状態であるのか。
大画面の最上部にその眼はあり、濃い陰の中にあるために、どちらであるか見極めがたかった。
何度かその前を往き来して見上げたのだが、まぶたを閉じた状態であるとも、眼窩の奥から開いた目がこちらを見下ろしているとも感じられた。
本展の図録では表紙を飾っている。それで見る限り、眼は閉じられている。
どちらなのか、絵の前にもう一度立つしかない。

ミュシャ1右部分司祭と戦争と平和-A.jpg
「スラヴ叙事詩」1「原故郷のスラヴ民族」 (作品の右側の部分)
描かれているのは初期スラヴ史における多神教の祭司。
右の娘は「平和」を表し、左の若者は武器を帯びていて、戦争を表すのだろう。両腕を広げた祭司が、専制と戦争の終わりを神に請い願っている姿だという。

◆今回は、最初に、宙に浮かんだ祭司の前に真っ直ぐ向かった。
改めて見上げると、確かに彼の眼は閉じられ、口元から祈りのことばが聞こえて来るかのようだ。
では数日前、開いた眼によって見下ろされているように(一瞬ではない。何度か)感じたのはなぜか?
次いで画面左下の二人の人物の方に向かう。あの、大きく見開かれた眼の前に再び立つ。
こちらに真っ直ぐ正対するよう訴えているあの眼だ。
首に赤とみどりの二つの石でできたペンダントを下げていることに気づいた。
手の形はやはり不思議だ。右側の不安げな人物の左手はまるで鳥類から人間に変身を遂げたばかり、とでもいうように、とがった爪と指先を持っている。

二人の後方の丘には、馬に乗った侵略者たちが高笑いか獣のように叫んでいるのか、大きく口を開けている。その目も口と同様に無気味に黒々としている。
彼らの目はつまるところ「無」なのだ。むくろの黒々とした眼窩だけがそこにある。猛々しくおどろおどろしいが、のぞき込んでもそこには何もない。ただ穴があいているだけなのである。すなわちそれが「死」の姿なのだろう。

◆空に浮かんだ祭司の眼はどうだろう。下からはよく見えない。
暗がりの中にあるその眼を見上げて確かめようとする。

図録表紙の写真からは、まぶたを閉じて何かを思念している表情に見える。
まぶたは陰をやや薄くして眼の存在を感じさせるように描かれている。
それゆえに、見上げる者は見下ろされている=注視されている、と感じるのだろう。

◆「眼」に注目して言えば、この「原故郷のスラヴ民族」には、高さも遠近も異なる位置に、3様の眼が描き分けられていることになる(そのうちの一つは侵略者たちの「目」の不在、という形であるが)。

*絵の左部分は5/22の画像参照⇒http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/507


◆こう考えてくると、「スラヴ叙事詩」連作の最後、「スラヴ民族の賛歌」は、中央上部に眼を閉じ両手を広げた青年を、「原故郷のスラヴ民族」の祭司と対をなすものとして描き、夜の景から始まった20作のシリーズを、輝く光の世界にたどり着く民衆の歴史として完結させたことが了解される。

DSCN1543 20スラヴ讃歌-A.jpg
 20「スラヴ民族の賛歌」(作品の上方部分。1926年)

◆花輪を握り腕を広げた青年も、1「原故郷のスラヴ民族」の祭司同様に、まぶたを閉じている。青年は第一次大戦後に独立宣言を果たした祖国チェコスロヴァキアおよびその他の国々の象徴なのだが、彼の後方にはキリストの姿があり、また多神教の神(後方虹の右奥にシルエット状に描かれている)があり、それらをつなぐように虹が架かっている。
画面には青や赤、黒の色調によって神話時代から中世のフス戦争、民族が受けた抑圧の歴史を描き込み、中央の黄金色の輝きによって自由・平和・友愛の勝利をたたえる。
したがって、青年の眼は閉じられているが、それらの全てが見えているということになる。


ジョゼフ・カナタチ氏、日本政府に反論を寄す[2017年05月23日(Tue)]

この国の国会は赤信号

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◆2017年、5月23日午後4時20分「共謀罪」法案が衆議院本会議を通過した。
このわずか2,3年の間に歴史がひっくり返る事件に何度も出会う。

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◆衆議院本会議が始まる前、海渡雄一弁護士から国連人権理事会のプライバシー権特別報告者ジョゼフ・カナタチからの「日本政府への反論」が読み上げられた。
共謀罪への深刻な憂慮を伝えた5/18の安倍首相宛書簡に日本政府が抗議したことへの反論である。
情理を尽くしたものだ。

ひるがえって日本政府の幼児性と独善が際立つ。今日も菅官房長官は、国連の見解ではない、などとして特別報告者の地位に敬意を払う姿勢すらない。かつて満州問題で孤立を深めた日本が、全権・松岡洋右の国際連盟会議場からの退場をもって連盟を脱退した事件(1933年)を思い出す。

 5/18の書簡訳文では「ケナタッチ」と表記してあった。人名表記の揺れがある段階なので、今回の訳文に記された「カナタチ」に従っておく。

*【参照:5/20の当ブログに書簡全訳】
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/505

今回の反論も海渡雄一弁護士によって公開されているので、下に紹介する。

                 2017/5/22
日本政府の見解に対する反論
                ジョゼフ・カナタチ

私の書簡は、特に日本政府が、提案された諸施策を十分に検討することができるように十分な期間の公的議論(public consultation and debate)を経ることなく、法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況においては、完全に適切なものです。

私が日本政府から受け取った「強い抗議」は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした。その抗議は私の所管の実質的内容について、1つの点においても反論するものではありませんでした。この抗議はプライパシー権に関する私が指摘した多くの懸念またはその他の法案の欠陥について、唯の1つも向き合ったものではありません。

私はその抗議を受けて、5月19日(金)の朝、次のような要望を提出しました。

「もし日本政府が、法案の公式英語訳を提供し、当該法案のどこに、あるいは既存の他の法律又は付随する措置のどの部分に、新しい法律が、私の書簡で示唆しているものと同等のプライバシー権の保護措置と救済を含んでいるかを示すことを望むのであれば、私は、私の書簡の内容について不正確であると証明された部分について、公開の場で喜んで撤回いたします。」

日本政府はこれまでの間、実質的な反論や訂正を含むものを何一つ送付して来ることが出来ませんでした。いずれかの事実について訂正を余儀なくされるまで、私は、安倍晋三内閣総理大臣に向けて書いた書簡における、すべての単語、ピリオド、コンマに至るまで維持し続けます。日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対に出来ません。

日本政府は、その抗議において、2020年の東京オリンピックに向けて国連越境組織犯罪防止条約止条約を批准するためにこの法案が必要だという、政府が多用している主張を繰り返しました。

しかし、このことは、プライバシーの権利に対する十分な保護措置のない法案を成立させようとすることを何ら正当化するものではありません。日本が国連条約を批准することを可能にし、同時に、日本がプライパシー権及び他の基本的人権の保護の分野でリーダーとなることを可能にする法案(それらの保護措置が欠如していることが明らかな法案ではなく)を起草することは確実に可能でした。

私は日本及びその文化に対して深い愛着をもっています。更に、私は日本におけるプライバシー権の性質および歴史についてこれまで調査してきており、30年以上にわたるプライバシー権とデータ保護に関する法律の発展を追跡してきたものです。私は日本が高い基準を確立し、この地域における他の国々及び国際社会全体にとって良い前例を示して頂けるものと期待しております。ですので、私が先の書簡を書かなければならなかったことは、私にとって大いなる悲しみであり、不本意なことでした。

現在の段階においては、日本政府が私の書簡で触れたプライバシーの権利に着目した保護措置と救済の制度に注意を払い、法案の中に導入することを望むばかりです。私が書簡にて述べましたとおり、私は日本政府が私の支援の申出を受け入れて下さるのであれば、日本政府が更に思慮深い地位へと到達できるように喜んでお手伝いをさせて頂きます。今こそ日本政府は、立ち止まって内省を深め、より良い方法で物事を為すことができることに気付くべき時なのです。私が書簡にてアウトラインをお示しした全ての保護措置を導入するために、必要な時間をかけて、世界基準の民主主義国家としての道に歩を進めるべき時です。日本がこの道へと進む時、私は全力を尽くして支援することと致しましょう。 
 (訳:小川隆太郎弁護士) 

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カナタッチ氏の反論を紹介した海渡雄一弁護士
(5/23午後、衆議院第二議員会館前)

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ミュシャ「スラヴ叙事詩」その2[2017年05月22日(Mon)]

1原郷のスラヴ民族-A.jpg
アルフォンス・ミュシャ(ムハ)「スラヴ叙事詩」
1「原故郷のスラヴ民族」
(部分。1912年)

◆「スラヴ叙事詩」全20作の中でもひときわ目をひく作品。これも610×810cmの大画面。
上の右上に多神教の祭司と武器を帯びた若い戦士と平和を象徴する娘が夜空に浮かんでいるのだが、上の画面の左奥から馬に乗った略奪者の姿が炎を背景に浮かび上がって見える。
観る者を立ち止まらせるのは手前におびえたようにうずくまる二人の人物だ。
アダムとイヴを表すとされる。
彼らの前には刈られた草と鎌が置かれている。
日々の糧を刈り入れる鎌は迫る脅威に抗う時には武器となるだろう。
だがそれは今、彼らの前に置かれたままだ。それを手にして闘うのか、放棄して運命に身を委ねるのか。二人の手は不思議にブレて見える。彼らの恐怖と逡巡を表しているのかも知れない。
観る者も満天の星たちに包まれるように感じるのだが、この二人から目を離すことができなくなる。彼らは我々だ、と気づかされるのだ。

かくして、画面の一番手前、我々に最も近いところに置かれた「鎌」の意味が分かってくる。
略奪や圧迫に抗する武器は、我々が自ら糧を得る手立て、それ自体なのだということ。


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17「聖アトス山」(部分。1926年)

◆アトス山はギリシャ正教会最古の聖地。
作品の上方奥に聖母と幼子キリストが描かれ、その手前下に女性の姿をした天使が浮かんでいる。
左の天使は「純潔」、右の天使は「信頼」と記された札を掲げている。


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19「ロシアの農奴制廃止」(部分。1914年)

◆1861年のロシアにおける農奴制廃止を描く。モスクワのワシーリィ大聖堂前、雪の積もった赤の広場に、たたずみ、ウォッカをあおり、あるいはひざまずいて拳を突き上げ……さまざまな姿の民衆が描かれている。
中で、上の部分は子どもを抱き寄せてこちらを見据える母親の目が我々を立ち止まらせる。
ここでも、この親子は我々だと思い至ることになる。


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18「スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い」(部分。1926年)

◆「スラヴ叙事詩」の中で唯一未完成の作品。愛国心に燃える若者たちの団体オムラジナを描く。
彼らの要求は普通選挙からスラヴ文化の再生に至るまで多岐にわたったが、20世紀初頭に弾圧された。
中央の光の周りに9人の若者たちがひざまずき、つないだ手を掲げているさまはフリーメイソンの環を思わせる、という。
画像はその中で最もはっきりと描かれた少年の姿。
口を結んだ意志的な表情で、輝きに充ちている。


*作品の解説は「ミュシャ展」図録(求龍堂発行、2017年3月)によった。


ミュシャの「スラヴ叙事詩」[2017年05月21日(Sun)]

圧巻の「スラヴ叙事詩」

◆乃木坂の国立新美術館で開かれている「ミュシャ展」(6月2日まで)。
観たかったのは「スラヴ叙事詩」
大きいもので610×810cmという画面の迫力もさることながら、全20作によってスラヴの民衆を歴史の中に描ききろうと構想し、それを実現させた意志の勁さに圧倒された。

女優サラ・ベルナールとの幸運な出会いで彼女のポスターを手がけたことからアール・ヌーヴォーの旗手となって行ったアルフォンス・ミュシャ(1860〜1939。「ミュシャ」はフランス語での発音で、チェコ語では「ムハ」とのこと。)の装飾的なポスターは明治の日本にも紹介されてなじみのものだが、そのイメージが強くて、内心軽んじていたと反省する。

◆今回の「スラヴ叙事詩」全作の公開に合わせて、ミュシャの生涯を詳しく紹介するTV番組がいくつかあった。その一つに、1939年、プラハに入城したナチスが接収した建物の中の小さな部屋が映し出されていた。ナチスはミュシャを逮捕・拘禁して厳しく尋問した。彼の絵画が愛国心を刺激するという理由であった。最晩年のミュシャを見舞った悲劇である。だが、作品は残った。

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「スラヴ叙事詩」15の「イヴァンチツェの兄弟団学校」(部分。1914年)

◆チェコにおける宗教改革運動をテーマにしたもの。
1578年、チェコ語に翻訳された聖書(クラリツェ聖書)が印刷された場面を描く。
大画面の左下、一番手前に、盲目の老人が座り、聖書を読む少年が寄りそう。少年のモデルは若き日のミュシャ自身。
この位置にいる人物がこちらを真っ直ぐ射抜くような目で見ている作品は、他にも1「原故郷のスラヴ民族」や3「スラヴ式典礼の導入」、7「クロムニェジーシュのヤン・ミリーチ」、19「ロシアの農奴制廃止」などがある。

◆「スラヴ叙事詩」の最後のエリアは写真撮影が可能となっていた。
老人と少年の左後方から、収穫したリンゴを手にした若者が近づいて来る姿に目がとまってカメラを向けたうちの一枚。

◆画面全体では、反対側、右端に同じように腕まくりした白いシャツ姿の若者が立っていて、彼は刷り上がったばかりの聖書を抱えている。そうしてその視線は画面を右から左へと横断して、リンゴを持った青年の方に向けられている。日々の営みの結実としての秋の収穫と、知や信仰の象徴である聖書(書物)とが、学校の庭を舞台にして調和し、一体不可分のものであることを表しているのだろう。

◆チェコの人々は世界一の本好きだと聞いたことがある。読み返すたびに発見がある本と同様、「スラヴ叙事詩」は、どの一枚も見飽きることのない物語だ。

国連特別報告者J.ケナタッチ氏の安倍首相宛書簡[2017年05月20日(Sat)]
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◆◇◆◇◆◇◆

◆5月18日、プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏から共謀罪法案に関する安倍内閣総理大臣宛の書簡が送られ、公開された。
海渡雄一弁護士ほかによる翻訳全文が出たので、同弁護士の解説とともに全文を転載する。

*【注】特別報告者:特定の国家・地域の人権状況やテーマ別人権状況について調査、監視、公表を行う専門家。いずれの国家・地域からも独立した専門家として国連人権理事会が任命する。中立的に職務を遂行できるよう無報酬。(国連広報センターのサイト参照)
最近では、日本の表現の自由の現状についてデービッド・ケイ特別報告者の来日・調査が実施された。

*******

【解説】
2017.5.20
国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による
日本政府に対する質問状について
(解説)
           海渡 雄一(共謀罪NO!実行委員会)

 国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する書簡を安倍首相宛てに送付し、国連のウェブページで公表した。
 書簡の全文は次のところで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf

 書簡では、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があいまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範で、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることを指摘し、いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があるとしている。
 さらに、共謀罪の制定が監視を強めることになることを指摘し、日本の法制度において、プライバシーを守るための法的な仕組み、監視捜査に対する令状主義の強化や、ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に許可するための独立した機関の設置など想定されていないことを指摘している。また、我が国の裁判所が、警察の捜査に対する監督として十分機能していないとの事実認識を示している。
 そのうえで、政府に対して、法案とその審議に関する情報の提供を求め、さらに要望があれば、国連から法案の改善のために専門家を派遣する用意があることまで表明している。
 日本政府は、この書簡に答えなければならない。
 また、日本政府は、これまで共謀罪法案を制定する根拠として国連越境組織犯罪防止条約の批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が選任した専門家から、人権高等弁務官事務所を介して、国会審議中の法案について、疑問が提起され、見直しが促されたことは極めて重要である。
日本政府は、23日にも衆議院で法案を採決する予定と伝えられるが、まず国連からの質問に答え、協議を開始し、そのため衆議院における法案の採決を棚上げにするべきである。そして、国連との対話を通じて、法案の策定作業を一からやり直すべきである。


*******

【書簡全文】

プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏
共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳

  翻訳担当 弁護士 海渡雄一・木下徹郎・小川隆太郎
  (質問部分の翻訳で藤本美枝弁護士の要約翻訳を参照した)

*******

国連人権高等弁務官事務所
パレスデナシオンズ・1211ジュネーヴ10、スイス
TEL:+ 41229179359 / +41229179543・FAX:+4122 917 9008・E-Mail:srprivacy@ohchr.org


プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート

参照番号JPN 3/2017
2017年5月18日

内閣総理大臣 閣下

 私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。

 これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があります。

 入手した情報によりますと次の事実が認められます:

組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。

改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大することを提案したとされています。
手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:

6条
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ) の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。


安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府

さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解することが一層困難であることが懸念されています。

加えて、別表4は、森林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ずる文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対しても新法が適用されることを認めています。

新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させ、テロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたとされます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります。

政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。
しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに限定されているとはいえません。
新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求していると強調しています。
しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく、「準備行為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念です。

これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります。

NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようです。
しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可能性があるとも言われています。

最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択されようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれているということが報告で強調されています。

 提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。
とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険を懸念します。

 法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定されなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかについて合理的に認識できるようにし、不必要に禁止される行為の範囲が広がらないようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合しているようには見えません。

 プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになります。
 マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着目します。

1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えられます。

2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。

3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。

4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督です。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が含まれます。

5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)

 私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもりはありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関して国家が負っている義務を指摘させてください。
自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有することを規定しています。
さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」とされています。

 人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただけますと幸いです。

1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。

2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状況について情報を提供して下さい。

3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してください。

4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してください。

 要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。

 最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権利の特別報告者のマンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題となっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明らかにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。

 閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のために提出される報告書に掲載いたします。

 閣下に最大の敬意を表します。

ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者

◆◇◆◇◆◇◆

【語注】マンデート(mandate):公式に委任された権限


法治国家、やめますか?[2017年05月19日(Fri)]
DSCN1382-A.jpg

またもや19日。
迷走法相・暴走首相・言いなり文科相


◆共謀罪法案、衆院法務委員会で強行採決。
やるべき仕事を果たしていない自・公・維議員は辞職相当。
30時間が目安だと誰が決めたことなのか。
今日も金田勝年法務大臣の答弁はブレっ放しだった。
重要な局面の法務委員会なのにTVの中継もない(インターネット中継というのも昨今はあるようだが、誰もがアクセスできるわけでもない)。

◆審議打ち切りの口火を切ったのは維新の丸山穂高という議員だった。
鉄砲玉のような役を振られたか、自ら買って出たかは不明だが、これを受けて委員長が「目配せ」し採決に踏み切った。法務委員会の理事の一人、逢坂誠二議員が「これが法治国家ですか!!」と怒りをあらわにしていたのは当然である。

森友学園疑惑でイタイところを追及されたくない維新としては、自民とともに暗がりに歩を進める覚悟を決めたものと見える。

奇妙なのは公明党だ。支持母体である創価学会の初代会長・牧口常三郎(1871〜1944)は1943年、治安維持法違反および不敬罪の容疑で逮捕され獄死している。
そういう教団の歴史に目をつぶっても自民と添い遂げたいと思うほど政権にくっついているうまみを知ってしまった上に、相応の弱みも握られているということか。


共謀罪がもたらす人権侵害、
国連人権理事会特別報告者も憂慮

◆参加者一万人に及んだ夜の国会正門前集会で、良いニュースが披露された。

国連プライバシー権に関する特別報告者のケナタッチ教授が、 日本の共謀罪法案について、 プライバシーや表現の自由を制約する懸念があるとする安倍総理宛の書簡を5月18日付で出したということだ。 特別報告者は、国連の人権理事会によって、 特定の問題について調査し報告するために個人の資格で任命される独立の専門家だが、ケナタッチ氏は 2015年7月に初めてのプライバシー権に関する特別報告者に任命された人という。

帰宅後、届いたメールからその説明と首相宛書簡の骨子を要約紹介する。

書簡では、法案の「計画」や「準備行為」 の文言が抽象的であり恣意的な適用のおそれがあること、 対象となる犯罪が幅広く、 テロリズムや組織犯罪と無関係のものを含んでいることを指摘し、 いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があ るとしている。さらに、プライバシーを守るための仕組みが欠けているとして、 次の5つの懸念事項を挙げている。

(1)共謀罪を立証するための監視強化について、プライバシーを守る適切な仕組みを設けることが想定されていないこと。
(2)監視活動に対する令状主義を強化することも予定されていないこと。
(3)ナショナル・ セキュリティのためとする監視活動を事前に許可する独立した機関を設置することが想定されていないこと。
(4)法執行機関や諜報機関の活動がプライバシーを不当に制約しないことの監督について懸念がある。例えば、警察がGPS捜査や電子機器の使用のモニタリングをするために裁判所の許可を求める際の司法の監督の質について懸念がある。
(5)特に日本では、 裁判所が令状発付請求を認める件数が圧倒的に多いとのことであり 、新しい法案が、警察が情報収集のために令状を得る機会を広げることにより、 プライバシーに与える影響を懸念する。

◆「共謀罪」の審議はなお続く。野党、並びに与党の良識派(居たらの話)はこれを参考に質問を練り、政権与党を震え上がらせてもらいたい。
首相以下、答弁責任者は血税たる歳費にふさわしい仕事を果たしてもらいたい。
できぬなら即刻退陣しかない。ウソつきを養うほど国民は寛容ではない。

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加計学園関連文書、幕引きに大わらわの松野文科相

◆加計学園の獣医学部新設をめぐる文科省文書について、夕方、松野文科相が記者会見を開き調査結果を発表した。「総理の意向」などと書かれた文書があったかどうか、という点について、省内の共有ホルダには存在が確認出来なかった、というものだが、夕方のTBSニュースでは、この文科相の説明を否定する証言が報じられた。
文書に名前が記されている人物への取材で、それによれば、文書の記述内容は事実であり、内容的に本物であること、文書の項目の最初に「○」を付ける文書スタイルは文科省で作った文書の特徴である、などと文書の信憑性を裏書きする証言を行ったのだ。

◆文書が明るみに出て大慌ての文科省だが、天下り事件に引き続く体たらく。
文科省解体論も出てくるほどの大疑惑だろう。
財務省・経産省・文科省・防衛省……と、軒並み腐臭とともに液状化を呈している。
立法・行政そろって回復不能なまでに沈降しながら傾き続けているということになる。

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「軍需産業はケタ違いにおいしい」のだと[2017年05月18日(Thu)]

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桐の花。盛期を過ぎ、ラッパ状の花が地上に落ちていた。

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ケタ違いに軍需産業はオイシイ

◆加計・森友疑惑追及から遁れるために改憲の野心を表明するという違憲総理の言動をめぐって、「週刊朝日」5月26日号に孫崎享・元外務相国際情報局長の次のようなコメントが載っていた。
「アメリカから自衛隊の明確な位置づけと防衛費の増額を求められ、トランプ大統領を忖度し、改憲せねば、と考えたのでは。アメリカから見れば、アメ車を買ってもらうより、防衛装備品を調達してもらうほうがいい。桁が違うほど軍需産業はおいしいですから。

 *「週刊朝日」2017/5/26号p.27、村上新太郎「安倍首相がお友達と決めた“2020年改憲”に自民党内で批判続出」

◆やっぱりね、と思える指摘である。
確か、オスプレイ一機をアメリカから買う値段が100億円あまり、それを日本はとりあえず5機買う、という話があった。その値段が米軍が購入する金額の倍近いというので騒がれたことがあったはず。
それに比べたら森友学園のために国有地を8億円あまり値引きしただの、加計学園の獣医学部新設に36億円相当の土地を今治市が無償提供するなどという件は端金に見えてくる(それぞれ国民や今治市民に対しては立派な背任罪であるが)。

◆みかじめ料の如くアメリカに上納するだけでは不公平、日本も同様の商売をと考えるのは自然な発想で、武器輸出の道を開けということになって「防衛装備移転」という名の方針転換を強行した。
防衛装備庁が発足して、2016年6月には、フランスで開かれた世界最大規模の武器見本市「ユーロサトリ」に初めて参加した。
思い出したのは、それに先立つ2014年の様子を取り上げたドキュメンタリーでの、防衛省装備制作課長のハッスルぶりだ。(2014年10月放送のNHKスペシャル『ドキュメント”武器輸出"防衛装備移転の現場から』)
当時、防衛省の装備政策課長だった堀地徹氏(のち同部長を経て南関東防衛局長)、軍事技術を持つ日本企業の売り込みや各国の軍関係者との提携模索など、初めての任務に意欲満々ということもあっただろうが、それだけではない異様なテンションの高さを感じた。
武器関連技術の小商いにとどまらない巨額のビジネスに育てようという野心が表情、言葉遣いに現れていたのである。

◆そうした視点から見れば、フィリピンなどへの日本からの艦船供与も、しっかりビジネス上の計算に基づいていることは容易に想像できる。
だがそのようにして「ズブズブの」関係になっていくことの危うさを見据えた報道がその後殆どないようだ。





疑惑追及、本丸へ[2017年05月17日(Wed)]

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マンネングサ。セダムともいうらしい。
5弁の星状の花が目を引く。手もとの「学生版原色牧野日本植物図鑑」(北驫ル、1885年)の「セダム」はこれとは随分異なる。白っぽい、花か葉かはっきりしない絵が載っているだけだ。園芸種が普及して路傍でもふつうに見かけるようになったものか。
属名のSedumとは「座る」という意味のラテン語からで、岩や壁にはりつくことによるそうだ(同図鑑の解説)。

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疑惑追及の本丸へ

◆「共謀罪・森友+加計学園疑惑」隠しのために皇族の慶事を利用してまで情報操作を行っているように見える官邸スジの意向。
今朝の朝日新聞1面トップは秋篠宮家長女の婚約準備(正式な婚約時期は未定)の話題。山本信一郎宮内庁長官の「しかるべき時期に発表するべく計画を進めていた」というコメント、良く考えれば不思議だ。「この時期に明らかにしたのはなぜ?」という質問をした記者がいたかどうか。

*追記(5/18) :「婚約準備」報道は昨夜19時の時報直前のNHK速報が第1報だったという。
リークした人間がいたことは明らかで、山本宮内庁長官は「発表を待たずに報道がなされたことは不本意であり、残念だ」と述べたことも報じられている。

◆あおりを受けて「共謀罪」関連の記事は1面左の扱いになった。
前日16日の夕刊で各紙が一報を伝えたセンター後継試験(仮称「大学入学共通テスト」。2020年度から)の続報はそれらの下、3番手の扱い。

◆しかし、官邸スジからの情報コントロールもそこまで。
夕刊トップは加計学園問題になった。
決定的な文書が出て来たからだ。
朝日新聞夕刊1面には新学部「総理の意向」加計学園計画 文科省に記録文書(5/17朝日夕刊見出し)と大書された。

「国家戦略特区」を悪用して特段の便益をはかったものとしかいいようがない。
総理・官邸の関与を明記した文書の登場で、さしものNHKも取り上げざるを得なかった。


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