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ピンダサン[2008年02月03日(日)]
 先日、ピンダサンというダバオ市から約80キロ離れた町を訪れた。ディーゼルエンジンの乗用車だとダバオ市内からピンダサンまで片道約5リットル消費する。ディーゼルガソリン(フィリピンではディーゾリンと呼ばれている)は、1リットルが現在39ペソ(約100円)ほどなので、片道約200ペソかかる。

 ピンダサンは、コンポステラバレー州(通称コンバル州)にある小さな町である。

 ピンダサンという地名は、ビサヤ語の「搾り取る」という意味に近い、という話を地元の人から聞いた。何を搾り取るのかについて、この「ピンダサン」という単語からはわからない。ただ、説はある。

 ピンダサンは、戦前、日本人移民が多く入植した地域の一つで、その移民たちは、そこでアバカ(マニラ麻)栽培の農地を開拓し、ピンダサン拓殖会社が作られ、栽培したアバカを繊維に加工する工場を設けた。

 工場に運ばれた茎葉がバナナのそれと酷似している大量のアバカは、ハゴタンと呼ばれる機械によって徐々に繊維化されていくのだが、そのなかでアバカが搾り出される過程がある。ピンダサンの地名の由来とは、そのアバカが搾り出される過程から付けられた、というのが、主な説とされている。

 今は、アバカ栽培など跡形も無く、アバカに似たバナナ畑が転々と見られるくらいであるが、当時ピンダサンのアバカ工場の中心地にあったピンダサン拓殖の事務所は残っていた。今はその建物は事務所ではなく、フィリピン人の住居となっている。


<ピンダサン拓殖会社の旧事務所>


 大きさはそれほどでもないが、以前ダリアオで見た、旧古川拓殖の事務所とよく似たつくりになっており、日本人たちがそこにいた、という事実を充分に想像させてくれた。外付けになっている木製の階段は、腐りきっていて2階に上がることができなかった。建物の老朽化に侘しさを感じるのと同時に、そのようにかなり傷みが激しくなっている住居にフィリピン人家族が住んでいる事実、というのもこの国ならではの風景である、とも思った。


<旧事務所裏手にある外付けの傷みきった階段。>


 ピンダサンは、当て字の漢字表記もあり、賓多産と書く。フィリピンを漢字に当てると「比律賓」と書くのだが、ピンダサンの「ピン」 は比律賓の「賓」、「フィリピンで多くアバカを生産する」、くらいの意味合いを含ませた当て字だったのかもしれない。

 ミンタルの民多留(太田恭三郎たちが作ったとされる当て字。民が多く留まる、という意味。)と似た印象を持った。

PNLSC事務局(S.S 在ダバオ)
Posted by pnlsc at 22:08 | 事務局便り | この記事のURL | コメント(0)
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