今、必要なこと [2018年07月27日(Fri)]
NPO法人ピアファームの経営実践 〜今、必要なこと〜
1.10年の経営実践で学んだこと 項 目 平成20年 平成29年 対比(20年/29年) 備 考 利用者数 10名 40名 4倍 月平均工賃給与 15,900円 47,844円 3倍 事業収益 7,400千円 141,932千円 15倍 支援費 11,131千円 66,423千円 6倍 スタッフ数 4人 28人 7倍 平成20年4月から10名利用者(以後メンバー)と共に農業に特化した就労継続B型事業をするべく、社会福祉法人コミニテイーネットワークふくいあわら事業所の品質管理棟をお借りしてスタートした。事業をスタートさせるために多くの利用者家族に勧誘をお願いして回わり、10名の方と一緒にスタートすることができた。 上の表はそれから約10年間経営実践を積み重ねてきたが、多くのことを学ぶことができたこと、そして、課題も理解できました。 2.産直市場ピアファームの経営を引き受けた背景 この店舗はハニー三国中央店としてフルキャストが経営していた際に、平成25年春から青果部門のテナントとして参加するようになった。農産物直売所を拡張して障がい者の職域を広げることを目的に引受し、スタッフ1名とメンバー2名を派遣した。 平成26年7月にフルキャストが撤退、当初は店舗オーナーの菅波さんが経営を引継ぐ予定でしたが高齢でもあり、菅波さんより経営をお願いしたい依頼があり、8月20日から経営を引継ぎ、10月から就労継続B型事業所としてスタートした。 この店舗を引き受けた理由は、障がい者の就労先として、立地や交通の便が良く通勤が容易であること。販売の仕事は色々な作業種があり、職域が広げられること。高い工賃給与が望めることの3点でした。メンバー月平均工賃給与5万円を目標にできる事業に育てたることを目標に取組みました。 3.就労継続B型事業で月平均工賃給与の向上を目標にする理由 知的障がい者福祉工場(就労継続A型事業)で働いた経験から、雇用で農業をすること困難さを感じて就労継続B型を事業形態とした。しかし、事業の目的である月平均工賃給与の向上は事業農業への取り組み方、販売の方法、メンバーへの支援の仕方で可能になった。このことを強く目標化すると周囲から「福祉はあまりお金にこだわってはいけない。うちの子はそんなにお金は欲しくない」と言われる方もある。時として、障がいがあるからそんなに仕事をしなくても良い、更にNPO法人は事業利益を上げてはいけないのではないか、と名誉ある方や偉い方から言われたこともある。 就労継続B型事業で月平均工賃給与向上をめざすのは、事業目標に掲げることで「より豊かな地域社会」が築けるからである。誰もそんなことは思わないかもしれませんが、それが私たち「ソーシャルファーム」の真のねらいではないかと思っている。「障がい者が何もできないから工賃が出せない。ここには良い仕事や働き口がないから無理」と言われる福祉関係者が多くいるが、障がいのある人たちはそんなことは思っていない。 4.工賃給与向上で「豊かな地域社会」を築くことは 障がい者がよき働き手、担い手になるためには、スタッフの育成が必要です。工賃給与向上で産直市場ピアファームの経営を引受けたのは、この店舗の経営を引継ぐことが地域の方の要望であり、地域の活性化と障がい者就労を同時に進めました。 就労継続B型事業で衰退化する街で事業を引継ぐことで地域貢献ができる。地域貢献が障がい者の工賃給与アップにつながることで「豊かな地域社会」構築になっていきます。 5.産直市場ピアファームの事業収益の損益を解消していくねらいと役割り 事業収益が赤字になるのは、利益性の追求が弱いことです。それはスタッフの課題でもありますが、法人としての責任であります。設備的な老朽化もありますが、そうした課題を乗り越えて一つ一つ障がい者の工賃給与向上をめざしていくことは非営利組織としての役割でもあります。 今回の事業収益の赤字を改善することをチャンスとして、この事業の在り方を含めて地域を豊かにできる店舗、就労継続B型事業を追及していきます。 |