昨日に締切でした原稿書き上げました。
〜農業でイキイキと!!〜
さりげなく、あたりまえに、はたらく
ナシ園にメンバーの会話が響きあう。なかにはラジオを聴きながら作業をする人、黙々と草取りをする人、じっと座って空を眺めている人、常に一人お喋りをしている人、ナシ園の木々たちがそうしたメンバーを暖かく見守ってくれています。
皆、農作業の主役たち!! ピアファームは「平成の茗荷村」だとこころのなかでは思っています。
1.就労継続B型事業で農業に特化する。
平成20年4月に勤務していた社会福祉法人より10名の障がい者とスタッフ3名で独立分社してNPO法人で農業に特化した就労継続B型事業を開始しました。果樹栽培はとても手間が掛かる農作業が多く、稲作や畑作等はちがったやり方や方法があり、専業化の必要性を感じて独立しました。
ナシ栽培に特化して専業することで、ナシ栽培の維持管理を安定的に取組むことで品質が保たれたことが販売実績にもつながり、収益アップの原動力になっています。
1)事業目標を設定して事業を推進、メンバー工賃給与アップをめざす。
農業に特化して取組む意義は、第一に当事業所に働く障がい者の工賃給与の向上、所得保障です。平成26年度のメンバー月平均賃金はピアファーム40,474円、産直市場ピアファーム50,183円ですが、将来的には月平均6万円に持っていきたいと考えています。農業は栽培品目、販売を工夫していくと収益拡大が可能な面が多々あります。
農産物の栽培は、安全、安心の消費者から信頼される商品を販売していきますと、息長く収益の拡大が望むことが可能です。
2)障がい者が農作業の主役になる
ナシ園の防風垣根を剪定してくれる武志さんは、コツコツと丁寧に垣根を剪定しています。誰にも気兼ねなく作業を進めている姿からは障がいは感じられません。ピアファームの農園で働くすべての方がイキイキと自分ができる農作業をしています。
「仕事で垣根の剪定をしているから、家の垣根の剪定もできると言うので、家の垣根の剪定を息子に頼んだら、大切の育てた松の垣根を全部切ってしまった」と武志さんのお父さんは、ぼやいていました。「お父さん一緒に作業をしましたか。」と聞きました。「いや、息子だけしかしなかった。」と言っていました。スタッフとメンバーがナシ園で作業を進めていきますが、お互いの呼吸を感じながら違う作業をしています。できることを基本に組立てる農作業はとてもはかどります。
農作業では「できること」を基本に作業に従事してもらっています。「教えて」もらうことよりも、できることを中心に取り組みながらできることを増やしていくスタンスで参加してもらっています。農業は楽な作業ではありませんが、皆で作業をすると早く終わり、楽しくできます。スタッフやメンバーが楽しく農業に従事してもらっていることがピアファームの誇りでもあります。また、楽しく真摯に農業に向き合っているスタッフ、メンバーに感謝をしています。
2.障がい者就農〜福祉からビジネスへ挑戦〜
障がい者福祉で農業を就労支援事業として取り組む場合、福祉サービスの一環としての農業の取組でしたが、当法人は農業の一環としての福祉サービスとして取り組んでいます。当然、高い収益性を目標として、福祉、障がい者割引は一切受けていません。またあわら市の障がい者優先調達推進法の対象からあえて、除外して頂いています。
3.認定農業者として認証を受けて、本格的な農業に参画できることへの喜び
1)専業農家と同等レベルで競いあいと育ちあい
平成23年9月にあわら市認定農業者になることがで、このことにより農業事業を推進でき、福祉的農業から、専業化して法人として農業に取組めることが、大変な名誉なことと感じています。認定農業者になるための農業経営改善計画書を提出できたことが農業を進めていく自信と収益を改善できる農業プランの策定もできることになりました。
2)認定農業者として、農林関係の事業補助金、融資を活用する
同時に他の農家、農業法人と同等の事業補助金を受けられることにもなりました。また、NPO法人が認定農業者になったことが北陸農政局管内で初であったことを知らされてビックリもしました。農林関係の補助金制度や日本政策金融公庫等の低利融資が受けることが事業を拡大することに大きなメリットになっています。
2)障がい福祉サービス就労継続B型で農業に特化する必要性と役割り
当事業所の事業イメージが下記の絵のようになります。役割としてトラックの荷台に積んである3点の項目が農業に特化する役割と考えています。
第一はこれまでにも説明をしましたが、就労継続B型事業として、メンバーの工賃給与の向上です。
第二は農業・販売を通じての地域貢献です。非営利組織を活用し農産物や加工品の販売を通して地域貢献をしていく取組で、110の農家・団体の声をききながら進めています。農産物直売所は出荷してくださる地域の農家さんの協力があっての事業でもあり、大切な地域貢献でもあります。
第三は地域農産物産地の継承で、高齢化で後継者不足で廃業するナシ園を引き受けてこれまで40aのナシ園がこの8年間で約6倍に増えました。手間の掛かるナシ等の果樹園は減少傾向にあり、就労継続B型事業として農作業、栽培を継承していくことが私たちの役割と考えています。
専業農家と同等レベルで栽培と販売に取り組みながら、品質向上で市場への参加をしていきたいと日々研鑚していきたいと思っております。
4.販売は栽培の2倍のパワーを掛ける。
ナシ園の耕作依頼がありますと、そのナシの販路先を検討して営業をしていきます。秋にナシ園の耕作契約をしますと、翌年の2月までには契約した園のナシの販売先を決めてしまいます。
農産物直売所は平成21年7月に現在の場所に移転して始めました。平成22年3月には福井市内、平成26年8月には坂井市三国町のえちぜん鉄道三国駅前のスーパーの営業、今年7月にはブドウ園で果樹園直売所と計4か所の直売所を経営しています。この直売所は現在110農家・団体が当法人に加盟して頂き農産物加工品の出荷をしてもらっています。
障がい者就農の職域拡大の一環として始めた事業ですが、買い物難民の多いエリアでは採算的には厳しい面もありますが、地域のお年寄りから新鮮な野菜がとっても良いと好評で、直売所が人を結ぶ交流をしながら地域貢献を果たしていると感じました。また、農家さんが農産物直売所に出荷して頂き、そうした連携が農業振興にも結び付いていると認識しています。
5.農業に特化してこれまでに取り組んだこと。
1)ナシ産地の継承とブドウの新たな産地をつくる。
栽培すると同時に、売れるように品質を上げていくことも大切です。私たちが活動をしているあわら市波松地区は福井県では古くからのナシ産地ですが、この産地を継承すると同時に、新たなナシ品種の導入、栽培技術向上を図りながら、品質の高いナシを生産販売すること販売を強化していきたいとおもっております。
福井県ではブドウ栽培が少なく県が奨励する園芸作物になっていますので、福井県の企業的園芸確立事業の補助を受けてブドウ栽培を始めました。現在は約75aの生食ブドウ栽培面積になっています。今年7月から観光ぶどう園「あわらベルジェ」を開設しましたが、こうした取り組みで地域を活性化を図りたいと思います。
NPO法人の認定農業者でもありますので、 ナシ、ブドウの栽培と販売が大きな収益になっていますが、地域の方や福井県坂井農林総合事務所の皆さんのご指導を仰ぎながらナシの産地継承とブドウの新たな産地を発展させていきたいと考えています。
2)耕作放棄地を開墾して耕作面積の集積を進め、農作業の効率化を図る。
耕作放棄地再生事業には平成20年から取り組み、これまでに19,198uの放棄農地を再生してきました。この取り組みのねらいは、耕作面積の集積化を図り農作業の効率化を図ることです。また、ナシ栽培等では耕作放棄地が病害虫発生温床になり、地域の方より耕作放棄地を何とかしてほしいとの依頼もあり実施してきました。
耕作面積が近場に集積することで、移動や管理作業の効率化も図ることができ、効率化と業務省力化にもなっています。
6.これまで事業のなかで学んだこと。
1)苦労は多いが、みのりも多い農業、
本当に良くこれまでの「事業で苦労されたことがどんなことでしたか」との質問を受けますが、確かに苦労の連続かも知れません。しかし、苦労とは思わず、農業で高い収益を上げて、メンバーの工賃給与アップにつなげることができるのです。それは、私自身の自己実現の課題でもあります。
障がいのある人たちと共にナシ、ブドウ栽培をすることが夢、生きがいです。品質の高いナシやブドウを栽培して、買って下さる方に喜んでもらう。このことが生きがいです。同時に、障がいのある人たちと共に農業ができることが私の夢であり、自己実現でもあります。こうした形で働けることが感謝です。
2)栽培や販売は、習い、学ながら習得しました。
「栽培は専門の方がやられていますか。販売はどのようにしていますか」と質問も見学・視察者の方から良く聴かれます。
ブドウやナシの栽培、その習得は簡単ではありせんが、ドイツ語、フランス語を習得するよりも簡単とも思っています。自分たちでやろう決めたことに壁が作りません。できることで伸ばしていきます。
7.終わりに
今の仕事をして感じることは、障がいのあるメンバーと共に農業、果樹栽培で働くことで、メンバーから癒され励ませることが多いことです。
メンバーとは「指導、支援する、される関係」ではないので、共に耕し、育むなかで儲かる農業をして、工賃給与アップを図りたいと思っております。