昨日のブログで、メンバー給与月平均が目標を達成したことを書きましたが、周囲からは良く「農福連携」と言われます。しかし、そんなことを思ってやってきたわけではない。あくまでも農業でメンバー給与アップが事業目標として取り組みました。
「FVP就労支援ニュースで」私と同じように思っている稲山さんのコラムを紹介します。
就労支援 稲山コラム 農福連携を工賃向上につなげるには 「農福連携」が熱い昨今。農業側からも福祉側からも農福の出会いを促進する施策が企画・実施されています。事業計画作成研修を行うと、生産活動のひとつに「農業」を挙げる事業所が年々増えている印象を受けます。地方ほどその傾向は顕著です。
ただし、それが生産活動の柱、工賃の要になっているかというと、そうとも限らない印象を受けます。売上順位が3番目か4番目という位置だったり、売上は一番なのだけれど、夏場に偏るので、これだけに特化してというわけにいかない、といった状況です。
農福連携が、これを打開する突破口になるのでしょうか?農福連携といえば、施設外就労、袋詰め等の流通加工、6次化などが連想されます。各地でモデル事例が生まれ、地元紙の紙面を飾るということも珍しくありません。
ただ、冷静にみたときに、その連携が「工賃アップにつながっているか」が気になります。「草取りや収穫など繁忙期に農家に手伝いに行く」「地元農家から野菜をわけてもらい、漬物やジャムをつくる」「菌床栽培のしいたけが良いと聴き、企業から生産指導を受けながらしいたけづくりを行う」「地産池消をコンセプトに特産品スイーツをつくり、販売する」・・素敵な事例ばかりです。
けれど、その仕組み・商品製造が「継続」しなければ「工賃」にはなりません。ここからが勝負です。
福祉の農業、農福連携というと、「工賃への執着」が弱まる気がするのはなぜなのでしょう?
要因は3つあると思います。
@農業は重度の利用者でも班に入れる癒しの作業であるという考え方、
A天気の影響を受けるから、作業的にも収益的にも計画どおりにいかないものだという思い込み、
B耕作放棄地対策、人手不足対応などの点で地域を助けてあげているのだから、工賃はまあいいではないか、というムード。
農業と福祉の出合いを無防備に「ハッピー」ととらえてしまうことを危惧します。
仙台市で自然派レストラン「六丁目農園」を経営する就労継続A型事業所のアップルファームでは、作った野菜をビュッフェスタイルのレストランで提供し繁盛店となっていますが、その一方で、大手コンビニに出荷する野菜の袋詰め作業を企業から請け負い、年末年始以外の毎日、稼働しています。
「袋詰め作業」は6次化というより、「二次加工」の仕事ですが、コンビニの高い要求水準に応じた選別とパッケージングで、一見単純な作業に付加価値をつけています。見栄えの良さという視点で2級品に選別された野菜を、レストランで仕入れ、加工するという流れです。もちろんコンビニに並べられる1級品よりは低コストで仕入れることができます。
付加価値と合理性、両方が備わった農業周辺に生まれた仕事です。B型であっても「働く」という視点に立てば、考え方は同じなのではないでしょうか。「農業だから仕方がない」「農業だから許される」と思いたくなる気持ちを押さえて、目標と計画を作ること、技術向上・生産性向上を追求すること。
大切なことは他の業種・業態と何も変わりません。農福連携が表面的なものに終わらず、じっくり腰を据えたものにするにはどうしたらいいか、事業所の現状を知る一人として、考え、ご提案できればと思っています。