• もっと見る
« 2015年11月 | Main | 2016年01月»
<< 2015年12月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
ヤマト福祉財団「第16回小倉昌男賞」を受賞できたことに心より感謝と御礼を申し上げます。 [2015年12月05日(Sat)]
 この度、公益財団法人ヤマト福祉財団様より「第16回小倉昌男賞」を賜りました。ヤマト福祉財団の瀬戸理事長様始め、皆様には心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 これを励みに一層精進していきます。下記に、山田優氏にご推薦して戴いた文章を載せました。
【推薦者】 山田 優(福島県被災地における障害福祉サービス基盤整備事業アドバイザー派遣事業総括コーディネーター)

【推薦理由】
田村一二氏が著した「茗荷村見聞記」の現代版実践が福井にある。
その名前は、NPO法人ピアファーム。名前の由来を創業者の林博文氏は、ピア(peer)仲間・同僚が集うファーム(farm)農場とし、障がいのある人たちメンバーと共にスタッフが活き活きと農業生産に励み、地域住民や、ボランティアたちと協働して、安全でおいしい作物を作り届けていくと言う。
 林氏は、平成20年4月に勤務していた社会福祉法人より10名の障がい者とスタッフ3名で独立分社し、農業に特化した就労継続B型事業を開始した。
その設置背景には、当時障がいのある人たちの卒業後の進路先が限られていた自宅待機者をなくすという目的も含まれていた。ここまでの経緯は、全国でもよくみられるが、ピァファームの実践は大きく違っている。
障がい者福祉という枠組みの中での農業ではなく、農業の一環の中に障がい者福祉として取り組むとしており、高い収益性を得ることを目標とし、あわら市の障がい者優先調達推進法の対象からあえて除外して頂くなど、その覚悟は半端ではない。
つまり、してもらう福祉ではなく、地域を活性化していく一翼を担う攻めの福祉、アグリビジネスに徹した姿勢を貫いている。
林氏の地元、あわら市と坂井市にまたがる国営パイロットファーム坂井北部丘陵地には、特産のナシ果樹園が50年を経て後継者不足となり、耕作放棄地が増えている。ブドウは農林水産省統計、都道府県ランキングで福井の生産量は全国でも下から3番目。地産地消へのチャンスが大きいこと。ハウス栽培によって雨天の仕事が確保でき、野菜よりも販売単価が高い。こうした地域性を活かし、農業に特化した就労継続B型事業所による、給与アップを目指している。
農業は全国的にも後継者不足で衰退産業と言われている。しかしそこに着目し、障がいのある人の働く場の不足をセットにした農業福祉の取り組みは、大きい意味で、新たな価値や文化の創造だと話す林氏に共感する。
さらに、就労支援に見られる、スタッフは指導・支援する側、メンバーは受ける側という関係ではなく、メンバーもスタッフも良き農業の担い手であり、お互い出来ることを担いあうという姿勢は、まさに共に汗を流す(田村一二・流汗同労)であり、指導する・されるという対立関係ではなく、共にこの農場に集う働き人という実践は、全国の規範として紹介したい。

給与アップは具体的に示すと、H26年度メンバー月平均賃金は、ピァファーム(就労継続B型事業所)定員20名40,474円、産直市場ピアファーム(就労継続B型事業所)定員20名50,183円と群を抜く。将来的に月平均6万円の支給をしていきたいとする、農業に特化した就労継続B型事業所による夢は実現に一歩近づこうとしている。
さらに着目したいのは、ナシ栽培の実績が評価され、地域農産物産地の継承として、高齢化、後継者不足で廃業するナシ園19,198uの再生が託され、放置農園による病害虫の広がりを防ぐことで、地元から産地ナシ栽培の継承が出来ると評価されていることである。
ナシ園栽培は12品目28,250u。ブドウ栽培は22品目5,625u。7月から12月までと販売・労働分散が計画的に工夫されている。
H26年度には、隣町のスーパーマーケットに出荷していた縁から、買い物難民の多いエリアでの採算継続は厳しいと閉鎖を検討していたスーパーの社長、建物の大家さん、スーパーに来られるお客さんたちから「この店を潰さないで営業して欲しい」いと切望され、NPO法人によるスーパー経営への不安も、地域や社会が求める付託に最大限応えていくことが役割と受け止めて事業に着手した。地域のお年寄りから喜ばれ、地域の110の農家・団体からの農産物提供による人と人を結ぶ懸け橋として地域貢献を果たすこととなった。
NPO法人としては福井県内で初の「認定農業者」資格を取得し、事業拡大の可能性を模索しながら、障害のある人のさらなる所得向上を目指している。 
遊休地の活用や荒廃地の再生、直売所での地元農家の農作物販売、スーパー経営等々は、「地域に還元できる活動を展開したい」を具現化した取り組みであり、全国の障害のある人たちの就労支援の在り方として、大いに参考にしてほしいと考える。
小倉昌男賞の候補としてふさわしく、以上の理由にて推薦をいたします。

DSC_0041.jpg
家
 写真は会場に掲げてありました故小倉昌男理事長の写真と、受賞者の賞状などです。最高の栄誉に感謝をしながら、これから歩みたいと思います。