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楽しむ [2010年04月30日(Fri)]
広島平和記念資料館で今行われている企画展「佐々木雄一郎写真展」(第二部「平和を誓う」)を見てきました。
佐々木雄一郎さんは、広島市に生まれた写真家で、昭和20年8月18日から30余年間、戦後の広島を撮り続けた方だそうです。
すばらしい写真の力で、被爆の惨状はもちろんのこと、このブログが主に取り上げようとする市民の皆さんの戦後の様子が鮮明にとらえられていました。

特に僕が目を引かれたのは、被爆後間もない時期からすでに大衆演劇や祭り、スポーツ大会などが行われ、市民に活気を与えていたということ。中には「エスキーテニス」なる広島発の新スポーツの写真もありました。

エスキーテニスとは、「日本エスキーテニス連盟」さんのウェブサイトによれば、昭和20年子供たちが焼け残った板切れとボールで遊んでいたのに始まり、広島の実業家の方が「スポーツを通して平和を」との願いを込め、場所をとらず安価な道具で楽しめるものとして考案した、テニス型のスポーツとのこと。
手軽に楽しめるエスキーテニスは職場や学校などで大変な人気となり、昭和23年には連盟が設立、27年には平和大通りに10面(!)のコートが設置されたんだとか[日本エスキーテニス連盟ウェブサイト]。

人はつらい現状の中で娯楽を忘れてしまうのではなく、そんな時こそ、そういう人間らしい活動が必要なのかもしれませんね。
アラブ文学者の岡真理さんが、サルトルの「アフリカで子どもが飢えているとき文学に何ができるか」という問いに対して、包囲されたサラエボでの『ゴドーを待ちながら』上演の例や、2002年イスラエル軍に包囲されたベツレヘムで本を読んで気を紛らわしていた女性の例を挙げて、文学が真に生きる糧となるのは、私たちにとっての例外的状況を日常として生きるこれらの人たちにおいてではないか、それは人間性を顧みられず殺されてしまう人たちに尊厳を回復する営みなのではないか、と書いていた[岡 2006]のを思い出しました。

テニス テニス テニス

ちなみに、佐々木雄一郎さん写真展の第一部「平和を築く」(2009年7月18日〜12月15日)も良かったです。
その時もらったパンフレットを今見返してみたら、裏表紙にこんな言葉が書いてありました。
「平和を築くために、私たちは何をすればよいのだろう。佐々木雄一郎氏の写真は、この問いに一つの答えを与えてくれる。原爆により廃墟と化した広島で、傷ついた体と心に鞭を当て、人々は復興に立ち上がった。焦土に槌を振るう姿、瓦礫の中から廃品を集める姿、傾いたバラックにバケツで水を運ぶ姿、それらはすべて、平和を築く姿ではなかっただろうか。年がどれほど美しく近代的な姿に生まれ変わろうとも、失われた命はよみがえらない。しかし、つらい記憶を胸に秘め、人々は力を合わせて平和記念都市広島の建設に取り組んだ。再び人間らしく生きるために。子どもたちの未来を拓くために。平和は、人の心の中にも築かれていたのである。」[広島平和記念資料館 2009]

とてもいい言葉だと思いました。このブログでは、平和づくりの活動をそういうものととらえて、さらにご紹介していきたいと思います。

【参考資料】
・日本エスキーテニス連盟ウェブサイト:http://www.hbs.ne.jp/home/miyo-344/(2010年4月30日アクセス)
・岡真理「思想の言葉 『戦争』の対義語としての文学」『思想』(989)、岩波書店、2006年9月、pp.1-3
・広島平和記念資料館『佐々木雄一郎写真展 第一部 平和を築く』(平成21年度第1回企画展パンフレット)、2009年


(倉庫番@ピースビルダーズ)
Posted by ピースビルダーズ at 12:56 | 戦後の復興【社会】 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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