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2008年07月01日

長野県知的障害者入所施設「西駒郷」の地域移行を検証する研究報告会

昨日曜日は、以前このブログでも紹介した「〜障害者の声から地域移行を考える〜長野県知的障害者入所施設「西駒郷」の地域移行を検証する研究報告会(最終年度)」に参加しました。



昨年も参加しましたが、今回も貴重なお話をお聞きすることが出来ました。
プログラム等はこちらをご覧ください。

せっかくなので、山田のメモをまとめてみました。
このメモ以上に、参考になる情報が満載の報告書も出来上がっています。



事業実施主体の長野県社会福祉事業団西駒郷のHPでのちほど入手方法の詳細などが掲載されると思うので、ぜひ入手してご覧ください!

では、山田のメモはこちらから。
【研究報告会から】
西駒郷からの移行者201名から一人一人に会って話を聞いた。
地域移行ではなく、地域生活移行という言葉にこだわった。入所施設から出ることではなく、地域での生活が大事。
<聞き取り結果>
地域生活の方がよい。
西駒郷への入所の経緯は望んできたわけではない。
入所施設の生活は「ザワザワ」「ガヤガヤ」。8畳間を4人で暮らしていた。
グループホームは「鍵」がかけられて、安心して眠れる。
食事は満足している。温かいご飯が食べられる。朝、パンならパン、ご飯ならご飯と自分で選ぶことが出来る。
地域生活のほうが「なんかいい」という感じ。抽象的な感覚でいい。普通の生活がいい。
<住環境の課題>
グループホームでは私的な専有空間が狭い。また、共用空間の機能への考慮が必要(朝のトイレなど)。
グループホームを設置する際に、物件を探すのが大変だが、現状好ましくない立地環境のグループホームもある。近くにお店がないとか、幹線道路の脇でうるさいとか。地域生活をするための必要最低条件を考える必要がある。
私的な専有空間(居室)があっても、隣との部屋の境が襖であったり、欄間があったりして、他人の生活の音が入ってくるケースがある。私的空間への音の侵入。
<支援のあり方の課題>
「日課」や「消灯時間」があって、入所施設での生活と同じような生活になっている場合がある。
グループホームからの外出について、世話人と一緒でないと外に行けないケースもあり、西駒郷より外出機会が減ったという人もいた。
少なくなっているが、買物も世話人さんや職員と一緒でないとできないケースもある。
金銭管理について、自分の生活のために使えないケースがある。金銭管理の仕方も大きな課題。
<移行過程>
本人主体より「流れ」の中で支援者の主導で移行していったケースも。本人にとって今の生活のほうが満足だが。
自活訓練について、本人にとってはあまり評価は高くない。入所施設の一部という形。この辺はさらなる調査研究が必要。
<“自らの生活”を取り戻して(構築して)行くために>
地域生活をしても、入所施設の典型的な特徴を備えた「ミニ施設」である場合多く見受けられる。
地域生活の理念について、地域生活とは何かという議論が必要。
建物構造や立地条件によって、支援のあり方を固定してしまっている。
これらの課題を実証的に検証していく必要がある。
<201名の中から特徴的な人のうち、2名の方の話を中心に>
地域で生活することによって他の人との個別の関係性が生まれてくる。
バスに乗る練習をしている。入所施設では必要なかったことを今になって練習している。
地域生活をするようになっていい面もあれば、それに伴うリスクもあり、とまどいや様々な苦労が生まれる。「移行期外傷」。
グループホームを移動させられるケースもある。しかし、本人にとっては新しい場所になれるのには時間がかかる。
他のグループホームの話しを聞いたりして、自分の住んでいる居住環境と比較してこうしてほしいなどの要望を持つようになる。
地域生活を始めて苦労することもある。あたりまえの苦労。
苦労ができる、当たり前のこと。自分らしい生活を作っている。
<「交流会」における、当事者の声から見えてくるもの>
これまでに交流会を8回開催。特にプログラムを決めずに、本人たちによる相談会などを実施。
<地域生活移行における支援困難とは何か>
地域生活移行が困難であると考えられていた3人の当事者について、現在の地域での暮らしの一端を紹介しつつ、何が地域生活移行を困難にしていたのかを検討した。
施設にいたら支援困難者は支援困難者のまま。
<評価・検証のあり方>
しゃべらない人もいる。聞くことの意義は?
そこから見えてくるものもある。言わないのか、言えないのか。
聞いたことをどう反映するのか、つなげていくのか。
この調査は第三者の立場なのか?それとも、それに係るのか。


【コメント指定発言】
大池ひろ子(長野県西駒郷地域生活支援センター所長)
GHが出来てきたが、それは終(つい)のすみかではない。
GHでは普通の民家で暮らすことが多い。施設より自由、でも集団の生活。
さらに次のステップ(1,2人の少人数で人数、支援できる形)に移る必要がある。
GHのサービス管理責任者の役割をどう考えていくか。これからの課題。

伊藤敏(長野県社会福祉事業団 西駒郷次長)
かつて、授産部門249名を支援していた時は日々同じことの繰り返し。5年後、どこにいるのが幸せなのか、地元の入所施設か、親元から通所など、将来の目標を立てた。
地域移行を始めて、保護者が変わってきた。地域移行した人を見て変わってきた。
本人も地域移行した人を見て、ああいう生活がしてみたいと思うようになってきている。
GHの設置について、地域に説明しているがいろいろな条件が要求される。世話人もいろいろルールを決めてしまうのも、地域対策を考えてやっている部分もあるのでは。

橋詰正(上小圏域障害者総合支援センター コーディネーター)
自活訓練について、入所施設の敷地内でやることに意義があるのか。
敷地外の自活訓練棟についても、半年間そこで訓練で生活していると地域の中で生活していること。そこでのつながりができる。それなのに他のGHに移る必要があるのか。GHを作っていくところで訓練を行えばいいのでは。
GHを通過していく人が少ない。もう一歩先の生活につなげていく必要がある。それがないので、GHが少ない、資源が少ないということになる。
だめなGHは、外部の人が中に入れないところ。ホームの中で本人の希望をどうかなえていくのかという支援が必要。
自活訓練は、本人、支援者が入所施設から地域生活への切り替え期間。ご飯がつくれなくても、地域で生活したいという気持ちになることが重要。
自分たちが生活した時に何が困るかなというのが支援の基準になる。
ケアマネジメント。自分の法人を使わない、他の法人の資源を使う。もともとの法人の施設を使うと住む場所が入所から地域に移っただけで、日中支援を行う職員が同じで何か違う。

鈴木義弘(大分大学工学部福祉環境工学科准教授)
GHについて、普通の一戸建て住宅でいいのか。設備水準、面積水準について、現状のままでいいのか。今の基準は寝床のスペースがどれだけあるかということが基準になっている。
今はまかない付き下宿。管理されている。これでは自立心が育たない。次のステップに進むような環境ではないといけない。
人と人の快適距離。支援が入るのでGHは普通より広いスペースが必要。

【当事者シンポジウム】
玉木さん(司会)
今したい、こうしたいと思った時に、それが実現できなかった。
「とりあえず一人暮らしをしたい」という、言葉にはできない、したいという気持ちを大事にしなければならなのに、「それをするのはまだ早い」という言葉で片付けられる
こうしたいというこをがなぜすぐできなかったのか
西駒郷から地域移行した人には、その思いをいっぱいしゃべってほしい、それが大事。言葉にできない人もいるのでその代わりにも。

以上
この記事へのコメント
先日はどうもありがとうございました。
また、感想をお寄せいただき、ありがとうございます!

セミナーに参加した方、それぞれがいろいろな思いを持ったセミナーだと思います。参加者がその思いを地域に持ち帰って活動すれば、日本の福祉もさらに変わっていくような気がします。いいセミナーでしたね。

これからも何かの機会にどうぞよろしくお願い致します。

日本財団 山田泰久
Posted by Shopからかんさんへ at 2008年07月31日 16:32
(つづき/その2)以上です。

・ラルシュ(10年ちょっと前、カナダにあるグループホームのようなところ)で見た景色、宗教(キリスト教カソリック)の基盤があり、自分には馴染みづらかったけれど、あれはあれでやはり平等だったのだな。別にここ長野に限ったことではなく、この先も地域移行というのが本当に進んでいくのなら、日本流、どんな形が主流になるのだろう
・地域の中でうまく受け入れられていたり、中には家族を持っている(相方を見つけ結婚や同棲をしている)人というのは、普通に悩みも含めながら(夕方一人で部屋にいると寂しい。ダンス教室に誘われて参加をしてみる、など)日々、自分で考えながら暮らしている。そうした部分を含め楽しめている人は、きっと支えられるだけではなく、周りの支えにもなっている印象
・陸路、空路を乗り継いで会場には全国から100名くらいの人たちが。研究報告の場になるだけに、障害分野の福祉を生業にしている人たちが集っているのだろう。ただ、こうした話(話せる当事者たちによる語りあい)というのは、めったに聞けないと思うだけに、なにかすごくもったいない。どちらかというとこれまで関わったことのない人たちに聞いて欲しい内容であるような。(この部分だけを抜き出してもメッセージ性のある、テレビ番組としてだって成り立ちそうだ。普段から接する機会のある人たちが内輪で参考にしあったり、そうだろうと場面を思い浮かべて納得をしたり、笑ったりにとどまるなど、もしそこで終わるならあまりに惜しい)生の言葉に触れることで、なにかしら感じ、心の動く人もいるのではないだろうか。そうした人たちの存在が少しでも増えていくこと、広がっていくこと、それが見えない壁にはじかれる、単に奇異の眼にさらされて終わるのではなく、知的障害のある人が地域で暮らしていく、そのために必ず人一倍必要になってくる、周りの人たちが関心をよせたり理解をしてみようかと思うきっかけに、最大のサポーターの開拓になっていくんじゃないだろうか

共通しているのは、壇上のみなさん、ありのままの素直な気持ちを伝えることができる方、ということに思いました。
そして伝えたい意思、伝えることを楽しめる方たちだから、こちらも楽しんでいられるのだなと感じました。
Posted by かん at 2008年07月29日 01:23
(つづきです)

以下、なぐり書きにて失礼、思ったことなどメモ
・関西弁、すばやく自然と場が和んですばらしい(ええやんか)
・「友達がグループホームで暮らし始めたから、自分もしてみたい」「誰々が一人暮らしを始めたから自分もやってみたい」といったことが、動機としてよくあがっている(まあ、それはそれで普通か)、人事ながらすこし気になる
・「どうして自分は一人暮らしをしたらいけないのか、わからない」「何べん言っても、ヘルパーや世話人(グループホーム)の人が話をきいてくれない。〜〜をやってくれない」(会場には関係者が多いので直接「〜さん答えて」と話を振る)人も。不快や不満に感じること、人それぞれに対象も違えば、またそれなりの理由もあるのだろうが、聞いている自分は「けっこう贅沢であるな」と感じると同時に、「あなたは〜〜のところがどうだから、まだできない。出す方にも不安があるのよ」といった具体的なクリアーするべき目標というのは、あまりお互いの間で話し合われていないような印象も。(人によってはそれが返って逆効果にもなるとも限らない、わざとそうしているのかな?)
・報告会という場だけに、語ることが前提なわけだけれど(語る意思と意欲のある人が揃っている)、もし自分だったらどうだろう。どこかで一人暮らしを始めただけでそのことを、生活の様子、それにまつわるプライベートなことを大勢の前で話さなきゃならんなんて嫌だよなあ・・
・話すことで伝えるのが苦手な人、それがコミュニケーションの手段ではなかったりする人も大勢いる。自分の出会った範囲では(知的や精神に障害がある人)そうした人が圧倒的に多い。彼らの場合はどうなるんだろう。気持ちや声は拾っていかれるのだろうか
Posted by かん at 2008年07月29日 01:21
こんにちは
同報告会に参加してみての感想、つなぐの中に載せたものをあげてみます。(コメント欄の文字数制限にひっかかりました。失礼、分割をして送信します)

===========
途中からになりますが、15時からの当事者シンポジウム「西駒郷から街にでました!〜元入居者からの声」というところから、参加をしてきました。
施設を離れ地域での生活(グループホームでの共同生活や、アパートを借りての一人暮らし)を始めた3名(男性2名/女性1名)の方をシンポジストには向かえて行われ、進行役の方にも障害があります。

各人の自己紹介が始まると、彼らの話すその言葉に自分は先ず、聞取りづらさを。
これはどうなってしまうんだろう・・戸惑いながら耳を澄ましていました。
一巡をした後、しばらくするとリズムも掴めてきて、ああ、そおかぁ・・となってはくるのですが、同時に、ふと、おれは今、わかりづらいから集中をしているのだろうか?いや、それだけじゃあない。耳から伝ってくることだけではなく、目に見える世界、そこには彼ら一人ひとりの仕草や姿から受けるこちらの勝手な印象、大丈夫かな・・そんな想像を含みながら臨んでいる、なにか過分に意識を傾けながら聞いている、聞こうとしていることを心に感じました。

一生懸命に伝えていく方。直球勝負の方。振り返るように静かに言葉を選びながら話す方。
彼らに質問を投げかけ話を展開し、会場と話し手を結ぶ進行役の方。途中のフォローに要約にと、双方への配慮が際立っていたので(バランス感覚が素晴らしい)わかってくると気分も違い、また、それぞれの話自体もストレートな気持ちが連なるだけに面白く、気がつけばするすると時間が過ぎていました。
Posted by かん at 2008年07月29日 01:16
先日はお疲れ様でした。
今回もいろいろ勉強になりました。
当事者シンポジウムは、皆さんの話しが面白くてあまりメモを取ることも出来ませんでした(笑)。
これからもよろしくお願い致します!

日本財団 山田泰久
Posted by Shopから三田さんへ at 2008年07月04日 16:59
先日はお世話になりました。
ようやくブログをアップしトラバさせていただきました。
当事者が満足して帰られたのが一番嬉しかったです。
こういう企画、もっとやっていきたいですね!
今後もどうぞよろしくお願いします♪
Posted by 三田 at 2008年07月03日 22:20
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Tracked: 2008-07-03 22:17