【研究報告会から】
西駒郷からの移行者201名から一人一人に会って話を聞いた。
地域移行ではなく、地域生活移行という言葉にこだわった。入所施設から出ることではなく、地域での生活が大事。
<聞き取り結果>
地域生活の方がよい。
西駒郷への入所の経緯は望んできたわけではない。
入所施設の生活は「ザワザワ」「ガヤガヤ」。8畳間を4人で暮らしていた。
グループホームは「鍵」がかけられて、安心して眠れる。
食事は満足している。温かいご飯が食べられる。朝、パンならパン、ご飯ならご飯と自分で選ぶことが出来る。
地域生活のほうが「なんかいい」という感じ。抽象的な感覚でいい。普通の生活がいい。
<住環境の課題>
グループホームでは私的な専有空間が狭い。また、共用空間の機能への考慮が必要(朝のトイレなど)。
グループホームを設置する際に、物件を探すのが大変だが、現状好ましくない立地環境のグループホームもある。近くにお店がないとか、幹線道路の脇でうるさいとか。地域生活をするための必要最低条件を考える必要がある。
私的な専有空間(居室)があっても、隣との部屋の境が襖であったり、欄間があったりして、他人の生活の音が入ってくるケースがある。私的空間への音の侵入。
<支援のあり方の課題>
「日課」や「消灯時間」があって、入所施設での生活と同じような生活になっている場合がある。
グループホームからの外出について、世話人と一緒でないと外に行けないケースもあり、西駒郷より外出機会が減ったという人もいた。
少なくなっているが、買物も世話人さんや職員と一緒でないとできないケースもある。
金銭管理について、自分の生活のために使えないケースがある。金銭管理の仕方も大きな課題。
<移行過程>
本人主体より「流れ」の中で支援者の主導で移行していったケースも。本人にとって今の生活のほうが満足だが。
自活訓練について、本人にとってはあまり評価は高くない。入所施設の一部という形。この辺はさらなる調査研究が必要。
<“自らの生活”を取り戻して(構築して)行くために>
地域生活をしても、入所施設の典型的な特徴を備えた「ミニ施設」である場合多く見受けられる。
地域生活の理念について、地域生活とは何かという議論が必要。
建物構造や立地条件によって、支援のあり方を固定してしまっている。
これらの課題を実証的に検証していく必要がある。
<201名の中から特徴的な人のうち、2名の方の話を中心に>
地域で生活することによって他の人との個別の関係性が生まれてくる。
バスに乗る練習をしている。入所施設では必要なかったことを今になって練習している。
地域生活をするようになっていい面もあれば、それに伴うリスクもあり、とまどいや様々な苦労が生まれる。「移行期外傷」。
グループホームを移動させられるケースもある。しかし、本人にとっては新しい場所になれるのには時間がかかる。
他のグループホームの話しを聞いたりして、自分の住んでいる居住環境と比較してこうしてほしいなどの要望を持つようになる。
地域生活を始めて苦労することもある。あたりまえの苦労。
苦労ができる、当たり前のこと。自分らしい生活を作っている。
<「交流会」における、当事者の声から見えてくるもの>
これまでに交流会を8回開催。特にプログラムを決めずに、本人たちによる相談会などを実施。
<地域生活移行における支援困難とは何か>
地域生活移行が困難であると考えられていた3人の当事者について、現在の地域での暮らしの一端を紹介しつつ、何が地域生活移行を困難にしていたのかを検討した。
施設にいたら支援困難者は支援困難者のまま。
<評価・検証のあり方>
しゃべらない人もいる。聞くことの意義は?
そこから見えてくるものもある。言わないのか、言えないのか。
聞いたことをどう反映するのか、つなげていくのか。
この調査は第三者の立場なのか?それとも、それに係るのか。
【コメント指定発言】
大池ひろ子(長野県西駒郷地域生活支援センター所長)
GHが出来てきたが、それは終(つい)のすみかではない。
GHでは普通の民家で暮らすことが多い。施設より自由、でも集団の生活。
さらに次のステップ(1,2人の少人数で人数、支援できる形)に移る必要がある。
GHのサービス管理責任者の役割をどう考えていくか。これからの課題。
伊藤敏(長野県社会福祉事業団 西駒郷次長)
かつて、授産部門249名を支援していた時は日々同じことの繰り返し。5年後、どこにいるのが幸せなのか、地元の入所施設か、親元から通所など、将来の目標を立てた。
地域移行を始めて、保護者が変わってきた。地域移行した人を見て変わってきた。
本人も地域移行した人を見て、ああいう生活がしてみたいと思うようになってきている。
GHの設置について、地域に説明しているがいろいろな条件が要求される。世話人もいろいろルールを決めてしまうのも、地域対策を考えてやっている部分もあるのでは。
橋詰正(上小圏域障害者総合支援センター コーディネーター)
自活訓練について、入所施設の敷地内でやることに意義があるのか。
敷地外の自活訓練棟についても、半年間そこで訓練で生活していると地域の中で生活していること。そこでのつながりができる。それなのに他のGHに移る必要があるのか。GHを作っていくところで訓練を行えばいいのでは。
GHを通過していく人が少ない。もう一歩先の生活につなげていく必要がある。それがないので、GHが少ない、資源が少ないということになる。
だめなGHは、外部の人が中に入れないところ。ホームの中で本人の希望をどうかなえていくのかという支援が必要。
自活訓練は、本人、支援者が入所施設から地域生活への切り替え期間。ご飯がつくれなくても、地域で生活したいという気持ちになることが重要。
自分たちが生活した時に何が困るかなというのが支援の基準になる。
ケアマネジメント。自分の法人を使わない、他の法人の資源を使う。もともとの法人の施設を使うと住む場所が入所から地域に移っただけで、日中支援を行う職員が同じで何か違う。
鈴木義弘(大分大学工学部福祉環境工学科准教授)
GHについて、普通の一戸建て住宅でいいのか。設備水準、面積水準について、現状のままでいいのか。今の基準は寝床のスペースがどれだけあるかということが基準になっている。
今はまかない付き下宿。管理されている。これでは自立心が育たない。次のステップに進むような環境ではないといけない。
人と人の快適距離。支援が入るのでGHは普通より広いスペースが必要。
【当事者シンポジウム】
玉木さん(司会)
今したい、こうしたいと思った時に、それが実現できなかった。
「とりあえず一人暮らしをしたい」という、言葉にはできない、したいという気持ちを大事にしなければならなのに、「それをするのはまだ早い」という言葉で片付けられる
こうしたいというこをがなぜすぐできなかったのか
西駒郷から地域移行した人には、その思いをいっぱいしゃべってほしい、それが大事。言葉にできない人もいるのでその代わりにも。
以上
三田です。
6月29日(日)に「〜障害者の声から地域移行を考える〜長野県知的障害者入所施設「西駒郷」の... [Read More]