(自己紹介を兼ねて)
今中博之
社会福祉法人を運営し、アトリエインカーブという施設を設置。25名の知的障害者が通所し、デザインや芸術を学んだスタッフが14名いる。25名の利用者の生活保障を行っている。右脳を使う活動、いわゆる創造性を中心とした活動を行っている。
アトリエインカーブの作品は日本ではあまり認められず、ニューヨークで評価を集めてようやく日本でも認められるようになり、大阪のサントリー美術館で企画展を開催するようになった。
高木金次
財団法人日本チャリティ協会の理事長。協会は40年前に設立し、その当時の社会福祉は恵まれない人を支援するという概念だったが、文化活動も重要だと考え活動を行ってきた。福祉の中でアート・文化を考えるのは難しい、そんな時代だったが、その中でスポーツから取り組んだ。
20年前にはアート・文化活動に取り組み始め、障害者のカルチャースクールを立ち上げ、現在も行っている。設立当時の20年前は大変だった。マスコミが取り上げてくれたが初めは十数名程度の参加だった。
これからの活動として、日本の源流展を行う。山下清から現代作家までを集めてその流れを展示。その他に、国内の福祉施設の調査と指導員の養成、アジアのパラリンピックが東京で開催されるのでアジアの交流展を行う予定。
はたよしこ
ボーダレス・アートミュージアムNO-MAのディレクター。18年前に兵庫県西宮でおしかけボランティアで絵画教室のサポート。2004年にNO-MAの設立委員会からかかわっている。障害者アートについて、これまでは福祉と教育の視点からだったが、ボーダレスアートという視点で取り組んでいる。
人が本来持っているエネルギーや力を知る。障害者アートが芸術業界の中で大きな影響力を与えることのできるものだと思う。
今後は、作品を保存していくことが重要。アール・ブリュット展のような展覧会を行うことによって障害者アートを知ってもらい、作品・作家の発掘につなげていくことが大事。言葉を超えた価値の重要性を知ってもらう。アール・ブリュット展には芸術系の若い人が数多く見に来てくれている。
澤田史郎
滋賀県副知事。滋賀県は琵琶湖以外に福祉が誇れるものの一つである。福祉の現場で、職業訓練として信楽焼きの陶芸活動を行っていた。福祉の勉強のためにいろいろな人が滋賀に来て根付いて、NO-MAのような取り組みも出来た。
スイス・ローザンヌのアール・ブリュット美術館に日本の作品を持ち込んで評価された。アール・ブリュッと・コレクションと日本の作家の合同企画展を旭川、滋賀、東京で巡回。スイス・ローザンヌでは100点以上の日本の作家の作品を持ち込んでJapon展を2008年2月〜9月まで行っている。好評で半年間延長になった。
ヨーロッパと日本の作品を同じ空間で並べてみる。文化的な背景を超えて普遍的なものがあり、芸術とは何かということを考えさせてくれる。
(懇親会を終えて、今後の取り組みについて)
今中博之
言葉の定義が難しかった。池坊副大臣が「なんで障害者というのか」という疑問を投げかけてくれたのはうれしかった。
人材の育成が非常に重要だと考えている。そういう意味では文部科学省が一緒だったのはよかった。大学の教育の中での人材養成が楽しみ。
高木金次
国際的な取り組みも必要。現代アートの中での位置づけをどうするか。言葉の定義が難しい。
はたよしこ
日本の作品の研究調査とその保存。アール・ブリュット・コレクションは保存と研究がしっかりなされている。日本はまだまだ。
自分は知的障害から始まったが精神障害の分野はまだまだ知らない。アール・ブリュット展のような展覧会を行うことで、医療や福祉の現場の人に気づいてもらうきっかけになる。日本では福祉・医療の現場に作品がある。しかし、現場の人にとっては作品を保存するということは本来の仕事ではない。アートの視点で扱う人が重要。研修・調査を行っていく仕組みができたらいい。
Japon展は大きな反響。NO-MAにも問い合わせが来ている。その前に日本で研究・保存をどうしていくかを考えていかなければならない。
澤田史郎
福祉施設が建て替えの時期に来ている。建て替えの際に、これまで保存されたいたものが捨てられてしまう可能性がある。保存をどうするか現場だけでは難しい。国としての取り組みが必要だ。
(障害者アートは、作家本人たちにとってはどうなのか?、という会場からの質問に答えて)
はたよしこ
障害のある人たちのアート活動について、本人にとって、描くことと展覧会を行うこと、両方が大事。描くことで、形にならないものを表現する、そこに意義がある。展覧会をすることで見ず知らずの人が見てくれることに誇りを感じる。フィードバックがある。
今中博之
評価を受ける方、受けられない方、両方いる。。冷酷なくらい、そこには光と影がある。スタッフとしてのジレンマがある。光が当たった人は家族の変化が大きい。
(芸術分野の関係者としてどんな取り組みを行っていくのか?、という会場からの質問に答えて)
建畠哲
学芸員の方で熱心に取り組んでいる人もいる。施設の現場と研究員の連携がうまく取れていない。情報のプラットフォームがないので作っていく必要がある。立場の異なった専門家の情報共有。展覧会やシンポジウムを通じた連携など。
以上
2時間だけのシンポジウムでしたが、今後の「障害者アート」を考える上で、とても参考になるものでした。参加できなかった方で気になる方は、ぜひ以下に問い合わせて、冊子を入手してみてください。
【お問合せ先】
文化庁文化部芸術文化課企画調査係
TEL03-5253-4111(内線2828)
Art人にやさしく 山田泰久