「不都合な真実」を観ました! [2007年02月23日(Fri)]
昨日、「不都合な真実」を観てきました。米国元副大統領のアル・ゴアが、地球温暖化の問題を説いたドキュメンタリー映画です。
ひとことで言って、観る価値はありました! 大半はゴアさんがセミナー会場でプレゼンしている形式で進みますが、そのプレゼンスキルの素晴らしさといったら。メッセージ性、インパクト、明確さ、どれをとってもパーフェクトです。仕事柄、事業を説明する機会の多いわたし。「効果的なプレゼンとはこういうものか・・・」と、温暖化とは別のところで深く感銘を受けてしまいました 。 勿論、地球温暖化問題の切実さもよく伝わりましたよ。温暖化が進んでいるのは確実でしょうが、こういう利権がからむ問題にはエセ科学も出回るので、何を信じていいのか難しいところ。まして映画となると、そのまんま受け取るのは危険です。しかし、非常に客観的でわかりやすく、甘くなく、説得力がありました。 私が初めて米国に渡ったのは1992年、大統領選の年でした。ビル・クリントンが大統領になり、アル・ゴアが副大統領になった時です。当時からゴアさんはプレゼンが最高に上手くて、そのスマートさと情熱と自信に満ちた物腰に、ノックアウトされたものでした(笑)。 それから5年間カリフォルニアにいましたが、とてもいい時代でした。冷戦が終わり、世界中で紛争が暗い影を落としてもいたけれども、米国の景気は上向きで、グローバリズムの波のなか、国と国、地域と地域を隔てる壁が急速に薄れていった。問題は山積みでも、自由や豊かさや多様性といった価値あるものがどんどん広がり、世界をよりよい方向に導いていくかに思えたものです。まさかその数年後に、米国が全く逆の道を歩むことになるとは夢にも思わなかった。 歴史にもしもはないと言われるけれど、久しぶりに世界の表舞台に出てきたゴアさんの姿を見て、「もしもあのときアル・ゴアが大統領になっていたら」と思った人は少なくないだろう。それでも避けられない問題は、たくさんあったかもしれないけど。ゴアさんの姿は、米国がたくさんの敵に囲まれながら、同時にたくさんの愛と信頼も受けていた時代の空気を思い出させます。 今年は、色々と90年代を思い起こさせる年ですね。なにしろ、ヒラリー・クリントンが2008年大統領選に出馬!初の女性大統領か、という話題性とともに、まだ記憶に新しい昔、明るい時代をリードしていた彼女の姿を覚えている人も多いはず。閉塞感の高まる今、その記憶は彼女にとって大きな追い風になるのじゃないかしら。ライバルのバラック・オバマ氏の活躍も楽しみだけど。なんか、すでに悪口合戦が始まっているみたいですね(笑)。 「誤りは真理に対して、睡眠が覚醒(かくせい)に対するような関係にある。 人が誤りから覚めてよみがえったように再び真理に向かうのを私は見たことがある」 米国ではこの映画が未曾有のヒットのようで。かなり失礼と知りつつ、映画を観た後にこの言葉を思い出しました。私の好きなゲーテの言葉です。 楽観性、フェアプレイ、懐の深さ、そして素直さ。いつも全員に当てはまるわけではなく、利権がからめば曲がり易い。でも、その国が持つ「モラル」というものは確実にある。久しぶりにアメリカの良心を思い出すと同時に、大統領選が楽しみになってきました。 |