七宝焼き 田中稔子さんの世界 [2010年06月11日(Fri)]
海外出張の時は、よく日本らしいお土産を持って行きます。日本の伝統工芸で世界に誇れるもの。そして、出張に持って行きやすいもの。と考えると、たいていの場合 ・漆器 ・七宝焼き になります。 うち、七宝焼きは安藤七宝店さんによくお世話になってます。 この、何かとご縁のある安藤さんの銀座店で、「地球の生きものたち 田中稔子 ハーモニアス展」というのが開催されています! 田中さんは、両親がピースボートに乗った時のお友達。七宝焼きのプロであり、広島の被爆者です。 普段は抽象的な壁画が多いそうなのですが、今回は壁掛けサイズの七宝の絵とアクセサリー類。モチーフは、動物と女性が中心です。特に好きなのが、このお魚さんの絵。写真で上手に伝えるスキルがなくて恐縮ですが、七宝の青って本当に綺麗ですよね。 記念に、画集をいただきました。左に添えられているのが、購入した鳩と七宝玉のネックレスです。 田中さんは被爆者ですが、特にそのことは言わずに活動を続けてきたそうです。しかし、経験を伝えることの重要性を感じて、最近はNYや日本の学校で講演会などを開いています。 明るくて元気でおしゃべりで、お肌つるつるな田中さん。飾られている絵も、すべてはつらつと可愛らしい雰囲気です。 しかし、画集を見る限り、壁画はがらりと雰囲気が違います。 静かで重い色合いのなかにさりげなく原爆ドームやアインシュタインの方程式が入っていて、目を閉じた女性や一面にちりばめられたガラス片の美しさに、人の祈りというものの力を感じます。 それがきっと長年に渡り静かに口をつぐんできた表現者田中さんとしての「伝え方」であり、「声」だったのでしょうね。 すべてを楽しそうに話す田中さんの口からこぼれるひとつひとつのエピソードは愛情にあふれていて、子供のころ見た怖い原爆の絵よりも、心に響くものがありました。 |