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一般財団法人 親学推進協会の公式メールマガジンに投稿した
「図書紹介」を画像付きで掲載します。

2014年04月15日

51号

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『家裁調査官のこころの風景-人が一歩を踏み出すとき』(2)
著者:中村桂子
発行:創元社, 2006年
<本書より>
・37年間、家庭裁判所の調査員を務めた。晩年、軽微事件を担当していたとき、説明・聴取・見立て・具体的提案をほとんどのケースで一時間以内に実施した。これは二人の恩師に学んでいなければいくら経験を積んでも不可能なことだと確信している。

・辻先生は「説明する」ことを大切にされた。何かわけがわからないことが自分に起きていると思うと、人は脱落意識を持つようになってしまう。説明がつくということは、そうでないことの証になる。

・あるとき、極端化傾向の目立つ母親が「息子は何をしてものろい、運動会のかけっこでもビリだ」と嘆いていた。うつ状態であった。その患者に先生は、「あなたは、運動会では一等だったんやね」。肯定する患者に「息子さんは、ビリで走りながらビリでもついていくことができる心を養っているんですよ」と説明した。「心を養う」という表現とともに印象に残っている。

・「一番を目指して努力する。それは結構なことだけど、ひとつ注意しておいた方がいいことがありますよ。それは「一番」が好きで努力する人は、うまくいっている間はがんばるけれど、ちょっとうまくいかなくなると、もうやめた、と放り出してしまうことが多い。そういう点には気をつけた方がいいですね」これもまた、辻先生の言葉だ。
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2014年03月15日

50号

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『家裁調査官のこころの風景-人が一歩を踏み出すとき』
  著者:中村桂子
  発行:創元社
  2006年

<紹介者より>
家庭裁判所の調査員は、家族の問題にどのように取り組んでいるのか。その様子がよくわかります。 奇をてらわない筆者の言葉かけや飾りのない態度は、序文を恩師に依頼して自分を批評させている姿からもうかがえます。平易な文章でとても読みやすいのですが、内容は豊かで、中身が濃いので少しずつ紹介していくことにします。まずは序文・序章から。

<本書より>
・37年4ヶ月を家庭裁判所で過ごした。ケースが教えてくれたことは「人間のすばらしさ」と「人間のむずかしさ」と言える。

・涙に出会ったとき、どういう意味の涙なのか考えることが大切だと学んだ。例えばセルフピティ(自らを傷むこと。自らを傷むことにより、ある程度の自己修復ができる)の涙がある。

・アメリカのケースワーカー養成学校では、1年生のときにできるだけ多くの小説を読むことが課題になっている。それは人間を知るためで、心理学よりも文学は歴史が深く、優れた作家や文学者の方が人間をよく捉えているからだという。また、主体という面から見れば相当能動的になっている。

・「絶対」という言葉は使わない。絶対と受け止めてしまうと、人間の主体性は硬直してしまう。その結果生きにくくなってしまう。そんなときは、「まず・・・だと言って間違いないでしょう」と相対化しておく。

・人は主体性が弱くなってくると感覚を頼りに行動するようになる。コーヒー好きはコーヒー、酒好きは酒の量が増えてくる。主体からすれば感覚は受動的に持たされるもので、論理は能動的に展開する。筆者は、子どもたちに本を読むことを勧めるようになった。言葉を取り戻し、豊かにすることが少年たちに役立つからだ。
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2014年02月15日

49号

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『長期追跡調査でみる日本人の意識変容』(3)
「親の子育て方針と中高年期の父子関係」
編著:吉川 徹
発行:ミネルヴァ書房
年:2012

<本書より>
 親の学歴は、父子関係に影響を与えている。特に子育て期の方針が違うと、中高年期の親子の会話頻度に影響する。本研究では「自律的な人間になる」子育て方針に焦点を当てた。その結果、親が高学歴であるほど@成人子との会話頻度が低く、A子供に自律性を望む傾向があることがわかった。つまり、自律を望む高学歴な父親の子育てはその子供が成人したとき、父子間の会話の頻度が低くなる。

<紹介者より>
 中高齢期の親と成人子との間では、精神的・物理的な「距離」のとり方が問題になっています。現代は親子関係が50年から60年に及ぶ「超長期化」の時代です。
本書では「距離をおいた親密さ」と表現しているこの距離感は、自律を目指す子育て方針によって、ある程度は可能かもしれません。しかし、次のような疑問が浮かびます。高学歴でない人は距離感に苦労するのでしょうか。
あるいは、会話頻度が低いことが自律といえるのでしょうか。
親学では愛着→他律→自律→自立と発展すると考えています。自律を望む父親のうち、どのくらいの人が子供との愛着関係を築くことから始めたのでしょうか。

 自律を目指す子育て方針が、中高年期の親子関係に適度な距離感を生むことは発見でした。課題は、自律の次の自立に導く方策を探ることです。
 親学では、人とのつながりのなかで生活する私たちは、人に助けを求められるようになって本当の自立を迎えることができると考えています。自分を律する次の段階にはつながりの中で生きる自立像があります。
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2014年01月15日

48号

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 『長期追跡調査でみる日本人の意識変容』(2)
「中高齢期における父親の子育て満足度の規定要因」
 編著:吉川 徹
 発行:ミネルヴァ書房
 年:2012

<本書より>

 中高齢期の父親の子育て満足度には、
 1.子育て期、中高年期の投資財の側面と、名誉財の側面があり、親子関係などを含めた総合的な判断に基づいている事が明らかになった。

 2.子育て期には、子育て専念の期待に沿う配偶者(母親)の存在、中高年期には、投資財の側面から、子どもからの非金銭的なサポート(掃除などの物質的なサポートや、会話などの情緒的なサポート)が、満足度を高める。

 3.子育て期における父親の(大学等の)高等教育進学への期待と、実際の子どもの高等教育進学の達成に不整合が生じると、子育て満足度は低下する。この場合、名誉財の側面からは子育ての失敗と認知される。

<紹介者より>

およそ400人の日本人を27年追跡調査した研究論文です。対象は1930-40年代生の男女です。今回は、中高年期における父親の子育て満足度を規定する要因をご紹介します。

子育ての満足度が、教育に対する期待とその達成に不整合がみられるというのは、確かに本音の部分だと思います。特に男性は投資財や名誉財として、子育て満足度を捉える傾向にあることと、そこに焦点を当てて調査研究をしたことが興味深いと思います。さらに中高年期には、金銭的なサポートよりも非金銭的なサポート、つまり掃除や会話などの物質的・情緒的なサポートが満足度を高めることが明らかになりました。

 戦後の平均寿命が、男性:50.1歳、女性:54.0歳から、2013年には男性79.59歳、女性86.35歳と大きく伸び、私たちの親子関係は50年以上にわたる長期的なものになっています。この調査は、子育て期にある親に影響を与えた祖父母世代の理解と、親の立場にある成人たちが、現代における親孝行を志向するときの一つの指標になると思っています。
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2013年12月15日

47号

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『長期追跡調査でみる日本人の意識変容
―高度経済成長世代の仕事・家族・エイジング―』
  編著:吉川 徹
  発行:ミネルヴァ書房
  年:2012

<本書より>
 およそ400人の日本人を27年にわたって追った調査データに基づいて、現代日本の姿を描きだした論文が発表されました。対象は、1930〜40年代生まれの男女が中心です。

 昭和を生き、21世紀に老いを迎えるこの中高年世代は、ワークライフ・バランスが社会的な課題とされています。仕事(ワーク)の面では、この30年ほどの間に終身雇用から雇用の流動化に転回し、生活面(ライフ)では、直系同居家族から、核家族への変容を経て、家族形態の多様化の時代に変わりつつあります。

 この時代の流れのなかで、かつての若者たちは、結婚し子育てを終えて、壮年期にいたり、働き盛りだった夫婦は、後期高齢者として社会保障に関心を寄せ始めるようになっています。それぞれの人生を歩んできた対象者たちは、今の暮らしのなかで何を思っているのでしょうか。

<紹介者より>
 親学からみると、祖父母力を発揮する世代です。孫育てに熱心になって頂きたい反面、親世代からは、ほどほどに関わって欲しいとの声も聞こえてきます。
この調査では「役割の喪失による自尊心低下は、生産的な役割を得ると緩まる」と紹介されています。具体的にどういうことなのでしょうか。
 これから数回にわたって、世代の傾向を読み解き、少子超高齢社会の家庭教育支援のあり方を考えていくことにしましょう。
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2013年11月15日

46号

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『説教名人』
著 者:齋藤 孝
出版社:文藝春秋
出版年:2004

<本書より>
・人をきちんと叱り、教えを説くのには、技とエネルギーが必要だ。
しかも説教している当人には責任を負う心構えが必要である。勇気を持って相手にきちんと向き合い、人の心に届く言葉を投げかける。これが説教名人の基本である。(p6)  

・最近の日本には、説教名人が少なくなった。いい説教に触れる機会が少なくなっているからだろう。
「こんな説教だったら直接受けてみたかった」と思える言葉を掘り起こしていきたい。(p7)

<紹介者より>

質の高い「説教」、つまり価値観が伝わるように語るには、いい説教に数多く触れることが近道のようです。今回は、黒澤明、瀬戸内寂聴、小林秀雄、森鴎外など40人の説教を味わうことができました。どの人も、優しさに裏付けられた厳しさを持ち合わせていて、切れ味とユーモアがあります。きっと、みなさまの琴線に触れる説話があると思います。  

今の私には、次の説教が身にしみています。
 1. 富士山に登ろうと心に決めた人だけが富士山に登ったんです。
散歩のついでに登った人はひとりもいませんよ。(ジョージ秋山『浮浪雲』)
 2. 人間は親から貰った顔のままではいけない。その顔を自分で作って行って立派なものにしなくてはならない(森鴎外の次女 小堀杏奴『晩年の父』)
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2013年10月15日

45号

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『対人援助職のための家族理解入門』
著 者:団 士郎
出版社:中央法規
出版年:2013

<紹介者から>

多様化する家族を定義するのは難しいといわれています。その一方で、家族の「構造」には普遍化できる特徴があるとも耳にします。今回は、その家族構造をわかりやすく解説した実用書をご紹介いたします。ご自分の家族理解にも役立つでしょう。

<本書から>
  
・家族の援助は、まず具体的な出来事から「構造の特徴」を見つけます。
次に起きていることをその中に位置づけ、そこから導かれた「仮説」を援助のヒントにします。(p10)

・家族の構造を分類するには、大きく3つの項目「境界」・「サブシステム」・「パワー」と、「ジェノグラム(複数世代が盛り込まれた家族関係図)」を使います。日本の家系図との違いは、横の関係を中心に展開することです。(p22)

・今日の家族問題で圧倒的に多いのが「夫婦・両親」サブシステム(ひとつの家族システムの下位システム)の形成、維持、機能に発しています。(p45)

・主に、夫婦は「関係」に、両親は「機能」に焦点があたります。親は分担して子供を育てる役割(機能)といえます。したがって人によって得手、不得手があることは仕方がないことで、子供の年齢による親の関わりの上手下手も起こり得ます。幼児の子育てが上手い人が思春期の親上手とは限らないのです。このように、親は子供の年齢に合わせて試行錯誤しながら役割を果たす機能だといえるのです。(p56)
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2013年09月20日

44号

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『母親になるということ 新しい「私」の誕生』
著者:ダニエル・N・スターン、ナディア・B・スターン、アリソン・フリーランド
訳者:北村婦美
出版社:創元社
出版年:2012

紹介者から
 著者のスターン博士(乳幼児精神医学者)は、長年、母子関係の研究に携わってこられました。
本書をその集大成「旅の終わり」に位置づけています。
 紹介するにあたって、扱うケースがアメリカの親子関係なので日本にあてはまるかと迷いましたが、そこを抜きにしてもお勧めできる良書です。共通するところも多いと思いますので、比べてみてください。
特に面白いのは、8章「もし、赤ちゃんとお母さんが日記を書いたら」でした。赤ちゃんにはきっと、こんな風に映っているのでしょうね。

本書「訳者のあとがき」から
 求めているのにすれ違う、愛することが相手への支配になってしまう。
家族だからこその激しい感情の渦をあなたも経験したことはないでしょうか。
次のような基本的な問題をあらかじめ知っていたなら、その後の家庭生活のすれ違いや不幸が
どんなに軽減出来ることでしょう。

・赤ちゃんを授かることで女性はどう変わるのか?
・それは夫にどう影響し、どんなとまどいを生じさせるのか?
・夫婦はそれをどう乗り切っていけばいいのか?
・親が赤ちゃんに無意識にかける期待が赤ちゃんに及ぼす影響とは?
・実家との関わりは?
・復職するかどうか、するならいつがいいか?
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2013年08月15日

43号

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『いつもこころに休日を』
 編者:菅野泰蔵
 出版社:成美堂出版
 出版年:2000

紹介者より
 家族を扱った心理カウンセリング54例が掲載されています。
編者は、民間では最大規模のカウンセリング機関の所長です。
その目にかなった「信頼できる」カウンセラーたち42名が、家族と自分をみつめる
心理カウンセリングをそれぞれのクライアントと展開していきます。

 そのやり取りから親支援の難しさと奥深さ、そして関わり方の「知恵」と呼べるような
ヒントを学ぶことができました。
すべての事例がうまくいったのではありませんが、むずかしいものは誰がやってもむずかしいことを確認できます。
そのなかで「きっかけ」を一緒に探そうとしているのです。
 家族は、いつも何かの問題を抱えているものです。
大切なのはそれに立ち向かう元気と勇気をどう支えるかだと思いました。

本書より
・カウンセラーたちの温かい視線、さりげないが確かな面接技術を読み取っていただけると幸いに 思います。本を読まれて「家族っていいもんだ」という印象や感想を抱かれることがあれば、
 これにまさるものはありません。(はじめに)
・人は、基本的に、自分の学んだことしか、伝えられません。
 自分の親子関係から学べなかったことは、よそから補給すればいいのです。
 カウンセリングは、そんな補給源のひとつかもしれません。(p183)
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2013年07月16日

42号

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『子どもと歩けばおもしろい 対話と共感の幼児教育論』
   筆 者:加藤繁美
   出版社:ひとなる書房
   出版年:2010年

<紹介者より>
「子どもと対話する」、「感情に共感する」。
このふたつは、大切だとわかっていても実際のところ、難しいですよね。
今回は、そのヒント集ともいえる一冊をご紹介いたします。
 本書は、一つの目安として2歳頃と4歳半頃への関わり方に注目しています。
自己対話能力が育ちはじめるのは、4歳半頃といわれますが、その土台は2歳頃にあるといいます。自我を獲得する頃に、応答的で対話的な関係を築くことが大切だというのです。
 また、親の対話力や共感力は、子どもの成長過程に合わせて、ゆっくりと伸ばしていけばいいという視点から、すぐれた実践家の語りかけを記録しています。
日頃の活動にきっと参考になると思いますよ。

<本書より>
第一章:子育ては喜びと苦悩のなかで
第二章:子どもが「自分」と出会うとき
第三章:「対話の時代」の子どもと大人

子どもとの会話を実例で掲載しています。説得力のある内容ですので、詳しくは本書をご覧頂くとしまして、親学のポイントをみていきましょう。

1.子どもと対話する大人の必要条件:
・成長するおもしろさを知った上で、自分(親)は変わることができると考えられる。
・自分を変える勇気と子どもに対する謙虚さが必要。
2.子どもと対話できる大人、できない大人:
・子どもと大人が「対話的関係」になるということは、真の意味で子どもを人間として尊重することを意味する。
・子どもを尊重するとは、人間としての尊厳をかけて大人が子どもと向き合うこと。
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