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一般財団法人 親学推進協会の公式メールマガジンに投稿した
「図書紹介」を画像付きで掲載します。

2014年11月17日

58号

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『私をギュッと抱きしめて 愛を取り戻す七つの会話』(2)
 著者:スー・ジョンソン
 監修:岩壁 茂
 発行:金剛出版、2014年

<紹介者より>
 研究のため、数名の親学アドバイザーに面接調査を実施したところ、どの方も夫婦関係に言及されていました。口をそろえて「切ってもきれない関係」とのこと。本書では、夫婦関係と親学の関わりを次のように紹介しています。

<本書より>
・幸せな家庭が幸せな夫婦関係から始まるのは周知の事実だ。親の不仲が子どもに良くないのは疑う余地もない。それだけでなく、配偶者から心が離れると、子どもからも心が離れてしまうことが多い。ロチェスター大学のメリッサ・スタージ=アプルの研究で、とくに父親に当てはまることがわかった。

・逆にいえば、夫婦の間に安定した愛着があれば、子どもに安全な基地を与える良い親になりやすいということだ。

・私(筆者)の経験によれば、子ども時代に環境のせいで情緒的困難が残っていても、カウンセリングを受けたことがなくても、良い夫婦関係が築ければ良い親になれる。

・アイオワ州立大学ランド・コンガ−らは青年期のいる193家族を四年間観察し、夫婦の間の温かさや支持の程度、子育ての質によって、五年後子どもが恋人とどのように関わるかを予見できるという。配偶者を愛す人は幸せな夫婦関係の手本を次世代に示すのである。
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2014年10月15日

57号

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『私をギュッと抱きしめて 愛を取り戻す七つの会話』
 著者:スー・ジョンソン
 監修:岩壁 茂
 発行:金剛出版、2014年

<紹介者より> 
「意図せずに綻んだ互いの糸を糾(あざな)い直すケアの手法」
 今回ご紹介するのは、感情に焦点を当てたカップルセラピーです。北米ではすでに7割以上の夫婦にその効果が現れており、世界の注目を集めています。
 身体性の部分で日本の文化に馴染むか疑問がありますが、その点は改良されながら広まっていくと思います。

<本書より>
「悪魔の対話」:夫婦の結びつきを感じなくなって、時間が経つほどに二人の会話はネガティブなものになる。悪魔の対話には3つの種類があるがその内の「抗議のポルカ」はよく見られる。
「抗議のポルカ」とは、どちらかが攻撃的になり、もう一方がよそよそしくなるというもので、結婚して二、三年でこのパターンに入ってしまった夫婦は四、五年の内に離婚する確率が80%以上にのぼる。
 これまでの心理療法では、この根底に愛着不安がからんでいることを見逃していた。情緒的に飢えている現実を見据えて、その結びつきに対する根本的な欲求や不安に目を向けない限り、従来のケンカをやめる方法やコミュニケーション・スキルなどのテクニックでは効果がない。例えば、クライエントのサリーは次のように言っている。

「夫との間で恐ろしい沈黙が続いているときに、夫婦カウンセリングで教わったテクニックを思いだそうとするのは、飛行機から投げ出されて落ちている最中にパラシュートの取り扱い説明書を読もうとするようなものです」
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2014年09月16日

56号

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『母性の喪失と再生 事例にみる「母」としての愛と葛藤』(3)
  著者:東山弘子
  発行:創元社、2006年

<本書より>
女性のライフサイクルと母性の発達(括弧内は紹介者)

1.ユングは、
「全ての母は自らのうちに娘を含んでおり、すべての娘は自らのうちに母を含んでいる。すなわち、あらゆる女性は母にさかのぼり、娘に伝えられていく」と述べている。

2.臨床家のわれわれが、母娘関係(を扱ううえ)で困難を感じるのは、この混沌を含んだ女性のライフサイクルゆえではないかと思われる。

3.臨床家には、輪(=サイクル)の中のダイナミズムを読む感性や直感が必要であろうし、(それらを)輻輳的(=一カ所に集まること)に捉える視点が求められる。

<紹介者より>
 上記3にあるように、女性の心理発達は段階的に進むというよりは、もっと混沌を含んだモデルが必要だといいます(発達イメージは p80)。もう少し詳しくみてみましょう。

・「女性は自分のなかに子宮という「小宇宙」を抱え込んだ「個の歴史を超越した、宇宙的なつながり」を生きると同時に「原初的なところのつながり」をも生きている」

・「対立するようにみえるものを矛盾せずに同時に可能にするような多様な含みをもっている(中略)母になっても娘性を捨てるわけではなく(中略)終わりと始まりが同時に円を描くようにつながりながら前に進んでいくようなイメージである」

 1で挙げたユング母娘の関係性が女性の発達を理解する鍵になるといいます。
親学では親が変わることを強調してきました。その親を男性女性の発達のなかで捉え、特に女性は直線的な発達イメージとは異なることを確認しました。では、男性のライフサイクルはどのような図を描けるのでしょうか。特に父親像に焦点を当てて次の課題と致します。
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2014年08月18日

55号

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『母性の喪失と再生 事例にみる「母」としての愛と葛藤』(2)
  著者:東山弘子
  発行:創元社、2006年

<本書より>(小見出し:紹介者)
1.選択肢の多い時代
 今までは、子どもを産むことは自然なことであった。今、女性たちは、どのような意思のもとに、子どもを作り、身ごもり、育てるかを意識的な課題とするようになった。

2.母性性と女性性の葛藤のなかで
現代の女性は「子どもを産み育てることの中でこそ女性は成長する」という 伝統的な価値観と、「子どものために家庭に閉じこもれば、女性としての人間的な成長は止まる」という新しい価値観が、ともに存在する混迷の状況に生きている。

3.愛着形成の三年と、それ以降の生き方
「いつも家にいる母親」=「よい母親」という世間一般のイメージは、実は子どもが特定の個人と強い絆を必要とする発達段階にある時にのみ妥当性をもつ。それはせいぜい三年である。

4.必要な援助を求めることは、自立の必要条件
自立と孤立は異なる。特に女性の自立が強調されてきた。しかし、比較的自立して、夫もいるし子どももいるけれど、国際的に活躍したり、時代の壁を乗り越えて活躍したりしてきた女性たちには、意外に甘え上手の人が多い。

自立しようとするあまり孤立する人々が増えている。

5.孤立、依存に陥らないために
地域が子育てに関わっていた時代は、子育ては今よりずっと容易だった。自立と孤立、依存と自立の質を考える時に来ているようである。

<紹介者より>
 自立の質が問われる時代、家族集団の関係性に目がいきます。筆者によれば日本は古くから夫婦の関係を中心とした家族というより、母子の関係を重視してきたといいます。相撲や旅館業で「女将さん」の存在が重要なように組織の調整役として要だったのです。メンバーをまとめるには「対話」する力が必要です。ただの情報伝達に止まらず、感情の共有や集団の凝縮性までも視野にいれたダイアローグの場が時代の要請と考えられます。
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2014年07月15日

54号

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『学校が変わるスーパーテクニック−アメリカの人格教育からのアプローチ』
  著者:M.W.バーコビッツ
  監訳:中山 理
  発行:麗澤大学出版会、2014年

<紹介者より>
 正月休みのほとんどを使って訳した本が6月30日に出版されました。
著者のマーヴィン先生は、アメリカのミズーリ大学セントルイス校人格教育学の教授で、昨年から一緒に仕事をさせていただいています。

 この先生のところで学んだ小・中・高校教員は、赴任校で問題を次々と解決していきます。本書はその実例をもとにして、学校を変えるテクニックをつめこんだエッセイ集です。

<本書より>
 著者のメッセージは非常にシンプルで、学校を変えるには、教員が変わる必要がある。教員が変わるためには、学校の雰囲気が変わる必要がある。学校の雰囲気が変わるには、校長が雰囲気をつくる必要がある。校長のリーダーシップは教育委員会が支える、というものです。

 学校版の「主体変容」論だとは思いませんか。アメリカの人格教育の事情と具体策が示されています。アメリカの子供は、随分とわんぱくで元気にあふれているんだなぁと思いながら訳していました。
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2014年06月16日

53号

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『母性の喪失と再生 事例にみる「母」としての愛と葛藤』
  著者:東山弘子
  発行:創元社、2006年

<紹介者より>
 本書は、臨床心理士40年以上のキャリアをもつ筆者が、京都大学に提出した博士論文がもとになって出版されました。読みやすさと中身の濃さを併せ持っています。

 前半の理論編は、「母性」についてこれまでの研究を概観することができます。後半は7つの事例「現代日本女性の葛藤と個性化」が紹介されています。今号では、まず序文から。

<本書より>
 序文を寄せた河合隼雄(当時:文化庁長官)は「母性」について、次のように述べています。
・「母」を生きることに重心がかかりすぎると、自分の「個」が生きられていないと感じる。それでも思い切って「個」を生きようとすると、その「個」のなかに実は「母性」も存在するのではないかと感じはじめる。

・これは簡単に割り切って考えられない大変な問題である。それぞれの個人によって、条件があまりにも異なっている。一人ひとりの個性やそれを取り除く環境に従って、個別的に実際に生きる道を選ばねばならないのである。ほんとうにきめの細かい配慮を必要とするのだ。

・「母性」は肯定、否定の両面を持っており、それはそのときの時代精神と関連して、どちらかが強調されるような傾向がある。しかし、ほんとうのところはその両面を意識していきることが大切なのである。

・このように矛盾をはらむものを理論化するのは困難であることも作用して、これまで人間のライフサイクルを論じるときは、男性のためのものが多く、女性のライフサイクルについて決定的な論はまだ出ていないといってもいいのではなかろうか。

・著者が示唆している、女性の人生の循環性に注目した考えは、実に注目すべきものである。
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2014年05月15日

52号

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家裁調査官のこころの風景-人が一歩を踏み出すとき』(3)
 著者:中村桂子
 発行:創元社, 2006年
<本書より>
調整官研修所の養成部にいたとき、「ストライク」という言葉を学んだ。面接のなかで相手の心に響いた言葉とでも言えばいいだろうか。発した言葉に相手が「うーむ」と考え込んだときをそう表現できる。この逆が「アウト」である。相手の心に響かず、反発されたり、無視されたり、話をそらされたりする。

あるとき、妻に連れられてきた男性の相談を受けた。妻は夫が変人であると口早に話し、離婚するしかないと訴えた。夫の方は呼びかけても返事がなく、まったく無反応だった。私は妻に席をはずしてもらったがそれでも表情は凍りついたままであった。困った私は養成所で習ったことを懸命に思い出した。浮かんできた言葉は「何を言っても理解してもらえないと思っているのですか」(アイヒホルン『手に負えない子』誠信書房)という言葉だった。

すると夫がはっきりと首を縦に振ったのである。それを境にポツポツと話しをしてくれるようになったその男性は、のちに精神障害が疑われることがわかりそのことを妻に説明して相談は終わった。借り物の言葉が役に立つことは滅多にないが、言葉の大きな力が強く印象に残った。
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2014年04月15日

51号

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『家裁調査官のこころの風景-人が一歩を踏み出すとき』(2)
著者:中村桂子
発行:創元社, 2006年
<本書より>
・37年間、家庭裁判所の調査員を務めた。晩年、軽微事件を担当していたとき、説明・聴取・見立て・具体的提案をほとんどのケースで一時間以内に実施した。これは二人の恩師に学んでいなければいくら経験を積んでも不可能なことだと確信している。

・辻先生は「説明する」ことを大切にされた。何かわけがわからないことが自分に起きていると思うと、人は脱落意識を持つようになってしまう。説明がつくということは、そうでないことの証になる。

・あるとき、極端化傾向の目立つ母親が「息子は何をしてものろい、運動会のかけっこでもビリだ」と嘆いていた。うつ状態であった。その患者に先生は、「あなたは、運動会では一等だったんやね」。肯定する患者に「息子さんは、ビリで走りながらビリでもついていくことができる心を養っているんですよ」と説明した。「心を養う」という表現とともに印象に残っている。

・「一番を目指して努力する。それは結構なことだけど、ひとつ注意しておいた方がいいことがありますよ。それは「一番」が好きで努力する人は、うまくいっている間はがんばるけれど、ちょっとうまくいかなくなると、もうやめた、と放り出してしまうことが多い。そういう点には気をつけた方がいいですね」これもまた、辻先生の言葉だ。
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2014年03月15日

50号

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『家裁調査官のこころの風景-人が一歩を踏み出すとき』
  著者:中村桂子
  発行:創元社
  2006年

<紹介者より>
家庭裁判所の調査員は、家族の問題にどのように取り組んでいるのか。その様子がよくわかります。 奇をてらわない筆者の言葉かけや飾りのない態度は、序文を恩師に依頼して自分を批評させている姿からもうかがえます。平易な文章でとても読みやすいのですが、内容は豊かで、中身が濃いので少しずつ紹介していくことにします。まずは序文・序章から。

<本書より>
・37年4ヶ月を家庭裁判所で過ごした。ケースが教えてくれたことは「人間のすばらしさ」と「人間のむずかしさ」と言える。

・涙に出会ったとき、どういう意味の涙なのか考えることが大切だと学んだ。例えばセルフピティ(自らを傷むこと。自らを傷むことにより、ある程度の自己修復ができる)の涙がある。

・アメリカのケースワーカー養成学校では、1年生のときにできるだけ多くの小説を読むことが課題になっている。それは人間を知るためで、心理学よりも文学は歴史が深く、優れた作家や文学者の方が人間をよく捉えているからだという。また、主体という面から見れば相当能動的になっている。

・「絶対」という言葉は使わない。絶対と受け止めてしまうと、人間の主体性は硬直してしまう。その結果生きにくくなってしまう。そんなときは、「まず・・・だと言って間違いないでしょう」と相対化しておく。

・人は主体性が弱くなってくると感覚を頼りに行動するようになる。コーヒー好きはコーヒー、酒好きは酒の量が増えてくる。主体からすれば感覚は受動的に持たされるもので、論理は能動的に展開する。筆者は、子どもたちに本を読むことを勧めるようになった。言葉を取り戻し、豊かにすることが少年たちに役立つからだ。
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2014年02月15日

49号

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『長期追跡調査でみる日本人の意識変容』(3)
「親の子育て方針と中高年期の父子関係」
編著:吉川 徹
発行:ミネルヴァ書房
年:2012

<本書より>
 親の学歴は、父子関係に影響を与えている。特に子育て期の方針が違うと、中高年期の親子の会話頻度に影響する。本研究では「自律的な人間になる」子育て方針に焦点を当てた。その結果、親が高学歴であるほど@成人子との会話頻度が低く、A子供に自律性を望む傾向があることがわかった。つまり、自律を望む高学歴な父親の子育てはその子供が成人したとき、父子間の会話の頻度が低くなる。

<紹介者より>
 中高齢期の親と成人子との間では、精神的・物理的な「距離」のとり方が問題になっています。現代は親子関係が50年から60年に及ぶ「超長期化」の時代です。
本書では「距離をおいた親密さ」と表現しているこの距離感は、自律を目指す子育て方針によって、ある程度は可能かもしれません。しかし、次のような疑問が浮かびます。高学歴でない人は距離感に苦労するのでしょうか。
あるいは、会話頻度が低いことが自律といえるのでしょうか。
親学では愛着→他律→自律→自立と発展すると考えています。自律を望む父親のうち、どのくらいの人が子供との愛着関係を築くことから始めたのでしょうか。

 自律を目指す子育て方針が、中高年期の親子関係に適度な距離感を生むことは発見でした。課題は、自律の次の自立に導く方策を探ることです。
 親学では、人とのつながりのなかで生活する私たちは、人に助けを求められるようになって本当の自立を迎えることができると考えています。自分を律する次の段階にはつながりの中で生きる自立像があります。
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