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2017年02月15日

85号

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『女性の生涯発達とアイデンティティ―個としての発達・かかわりの中での成熟―』
 編著者:岡本祐子
 発行:北大路書房 ,1999年(5刷2010年)

紹介者より------------------------------------------------------------

 ケアすることは、女性の生涯発達にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 本書は、ケアのもつ意味について、ハイデッガーやメイヤロフ、エリクソンの説を紹介しながら、
次のように説明しています。
・「自己および他者への気遣いや配慮に生涯にわたって献身することが人間の本質である」
・「相手の成長をたすけることによって、自分自身も自己実現を遂げていく」
・「相手のありのままの姿を認め、受容することは、自分にとってむずかしい課題であり、時には負担にも試練にもなりうる。しかし、そういう課題に取り組むからこそ、ケアすることが自己を変革し、成長させる」
・「ケアすることでみずからのアイデンティティがしっかりとしたものに確立されていく」
・「ケアという関係性のなかで、人間の本来もっているポジティブな人間性が発現し、ケアされる側もケアする側も自己実現を遂げていくことができる」

 ここで大切なことは、自分でケアする生き方を選んでいるかどうかです。
したがって、そうせざるを得なかったケアは、この範疇には入らないことになります。ケアは主体的に選択するものであって強制されるものではありません。では、どのようにして主体的にケアする生き方を選ぶことができるのか、本書では関係性に焦点を当てて説明しています。

本書より--------------------------------------------------------------

 ケアすることによって何が発達・変化するのか。
・子育てによる親の発達の中身は次の6つの因子に見出すことができる(柏木、1995)。「柔軟さ」「自己抑制」「視野の広がり」「運命・信仰・伝統の受容」「生き甲斐・存在感」「自己の強さ」

・女性の人格形成には、配偶者役割そのものは、あまり影響しない。かなりのウエイトをもつのは、親役割と職業役割である。

・子育てと並行してわずかであっても自分のための時間や場が大切でアイデンティティを確認できる場をもつことが、家事や育児といった家庭役割や職業人としての役割をやり遂げていくうえでのエネルギーになる。

・それがないと多忙さのなかに自分を見失う危険がある。職業をもつことは、直接にアイデンティティの成熟につながるのではなくて、自分を自覚できる時間や場を持つことが成熟につながる。

・ケアすることが人格形成に影響を及ぼす場合でも、保育士、看護師、介護福祉士などは他者からの感謝だけではなくて、評価もされるためそれが自己の有用性を支えることになる。家庭内のケアでも、その重要性を認めてくれる他者や心理的な意味でのサポートがないと、自分を支える力にはなりにくい。

・非常にしんどい子育てをしていて大変でも、ちゃんと自分の時間を確保できている人がいる。それによって、ケアリングも質が高められる。だから、どういうライフステージであっても「個」の確保とケアリングへのコミットメントがあざなえる縄のごとく大事なのではないか。

・中年期のアイデンティティの危機を解決できるかどうかは、最終的に本人が主体的に納得できるかどうか。女性の場合は、男性に比べると納得を迫られる岐路が多い。だから、発達の節目でこれでいいのかと考えて、現実の自分とめざすところの自分を折り合いをつけようとする。
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posted by oyagaku at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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