2014年02月15日
49号
『長期追跡調査でみる日本人の意識変容』(3)
「親の子育て方針と中高年期の父子関係」
編著:吉川 徹
発行:ミネルヴァ書房
年:2012
<本書より>
親の学歴は、父子関係に影響を与えている。特に子育て期の方針が違うと、中高年期の親子の会話頻度に影響する。本研究では「自律的な人間になる」子育て方針に焦点を当てた。その結果、親が高学歴であるほど@成人子との会話頻度が低く、A子供に自律性を望む傾向があることがわかった。つまり、自律を望む高学歴な父親の子育てはその子供が成人したとき、父子間の会話の頻度が低くなる。
<紹介者より>
中高齢期の親と成人子との間では、精神的・物理的な「距離」のとり方が問題になっています。現代は親子関係が50年から60年に及ぶ「超長期化」の時代です。
本書では「距離をおいた親密さ」と表現しているこの距離感は、自律を目指す子育て方針によって、ある程度は可能かもしれません。しかし、次のような疑問が浮かびます。高学歴でない人は距離感に苦労するのでしょうか。
あるいは、会話頻度が低いことが自律といえるのでしょうか。
親学では愛着→他律→自律→自立と発展すると考えています。自律を望む父親のうち、どのくらいの人が子供との愛着関係を築くことから始めたのでしょうか。
自律を目指す子育て方針が、中高年期の親子関係に適度な距離感を生むことは発見でした。課題は、自律の次の自立に導く方策を探ることです。
親学では、人とのつながりのなかで生活する私たちは、人に助けを求められるようになって本当の自立を迎えることができると考えています。自分を律する次の段階にはつながりの中で生きる自立像があります。
この記事へのコメント
コメントを書く
トラックバックの受付は終了しました
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック