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2019年01月19日

108号

『想定外のマネジメント−高信頼性組織とは何か−』 (第3版)
 著 者:カール・E・ワイク、 キャスリーン・M・サトクリフ
 監 訳:中西 晶
 発 行:文眞堂、2017年

 紹介者から:

 九州の地震を始めとした天災や国や企業の不祥事などの人災といった想定外」が起こった時、私たちはどのように対応すればよいのでしょうか。

 不確実で想定外のことが起こった時の対応に多くの人が関心を向けるなか、組織論研究者のカール・ワイクらは想定外の問題を乗り越えることに成功した組織、失敗した組織を調査して5つの原則を見出しました。

 今月は、想定外に満ちた世界を生き抜くために必要な信頼性の高い組織を取り上げます。不確実性が高く、変化の激しい時代のなかで、柔軟に対応するヒントが見つかるはずです。

 本書から:(一部要約しています)

 事故が起こる可能性を免れた組織は、次の特徴があった。独自の文化の存在、自己デザイン能力、専門知のネットワーク、冗長性を考慮したハイブリッド構造、訓練とルーチン、状況認識、センスメイキングに関わる思考様式、関係の構築、情報処理などである。

 これらの特徴から反復しているパターンを統合すると、5つの原則に焦点を定めることができる。

高信頼性組織の5原則:
一、失敗にこだわる。
二、単純化を避ける。
三、オペレーション(実際に行われている活動を理解すること)に敏感になる。
四、レジリエンス(回復)に積極的に関わる。
五、専門知を重んじる。

 信頼性の高い組織は、不確実な世界で生じる避けがたいエラーを事前に察知し、その影響を抑制し、回復する能力を発揮する。エラーが起こらないことよりも、組織が機能不全にならないことを重視する。専門知を重んじるのは、複雑性に適応することに役立つからだ。

 専門知は、特定の誰かに存在するものではなく、プロセスのなかで創発されるものと考える。
専門家は、文脈のプロセスに細心の注意を払いながら意味形成を扱う役割を担っている。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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