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2017年08月17日

91号

物語りとしての心理療法−ナラティヴ・セラピィの魅力』(2)
 著 者: ジョン・マクレオッド
 監訳者:下山晴彦
 発 行:誠信書房、2007年(原著:Narrative and psychotherapy,1997)

本書より

 社会構成主義は、社会科学で発展した哲学的アプローチです。「心」や「自己」などの心理学的な概念を「社会的な談話の場に位置づける(ガーゲン、1985)」ことを目指す立場です。

 社会構成主義者の心理療法は、社会的存在(social being)としての人のイメージ(image of the person)にもとづいているため、自己を意味づけるどのような手段も、社会的に構成されたものとみなします。したがって、自己は特定の社会的・文化的・歴史的状況から導かれたものとして理解されます。

 これまで「自己」という概念は、「他から独立して自律している(クッシュマン、1995)」ものとしてとらえられてきましたが、社会構成主義では自己を実体ではなく、構成体として理解します。

 「どのような主体も必然的に他者との関係のなかにあるため、人間であるためには、他者との相互関係が欠かせない(マクマレイ、1961)」と考えることによって、それまでのセラピー(個人の精神の神秘を解き明かすことを目標とする)から、現実社会のなかで生きる社会的な存在としての個人を援助することに、心理援助の目標は変更されるようになりました。

 私たちのアイデンティティの中核は、ナラティヴの筋(プロット)であって、それが人生に意味を与えています。個人は、ライフ・ストーリーを描く著者として喩えられます。著者がストーリーを語るとき、それは改訂の機会に開かれたことになり、異なるバージョンのストーリーが生じる可能性が出てくるのです。

 大切なのは、ストーリーは一人で語るものではなく、語られる人を必要とすることです。話を聞く人は質問やコメントを差し挟んだりすることでストーリー構成に寄与します。こうしてストーリーは共同で構成するものとなります。

 社会構成主義の心理療法の場面ではストーリーを語る人と、話を聞きながら質問やコメントをする人が会話を通して、力を合わせてストーリーを作り上げていくところに特徴を見出すことができます。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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