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一般財団法人 親学推進協会の公式メールマガジンに投稿した
「図書紹介」を画像付きで掲載します。

2019年09月17日

115号

『自分で「始めた」女たち 「好き」を仕事にするための最良のアドバイス&インスピレーション』
著 者:グレース・ボニー
訳 者:月谷真紀
発 行:海と月社、2019年

紹介者から:
 大人のライフ・キャリアを支援する。そんな視点から、この本をご紹介いたします。

 現在、ライフ・キャリア支援の領域では、人生の意味づくりに焦点を当てた実践的研究が盛んです。なかでも一般的なのが、ストーリーアプローチなどと呼ばれるキャリア構成アプローチです。

 具体的には、「子供の頃の夢」や「ロールモデル」、「好きな言葉・名言」などを尋ねながら、クライエントの価値観にアプローチする方法をとります。

人は「自分の人生に本当は何を求めていたのかに気づくことができると変化する」という考え方が基盤になっています。

 この本は、人生で本当に実現したいことを探している人、あるいはそれを見つけた人たちのインタビュー記録です。その意味でキャリア構成アプローチの資料集ともいえそうです。

 この本を読むと、ひとり一人の人生の多様性と個性が織り合いながら、流動的で複雑な人間像をリアルに想像することができます。時間を忘れて入り込んでしまうほど、面白いです。

 型にはまらない人生像、自由と責任を自分のなかで同居させている女性の生き方に興味のある方にお薦めします。

本書から:
 この本には、とびきり個性的で才能あふれる女性が100人以上登場します。
年齢も19歳から94歳までといろいろです。どの女性も、努力と協力があれば輝けることを全身で示してくれています。ページをめくるうちに何かを発見したり、励まされたりもするはずです。

一例を紹介します。
 ホテル経営者のリズ・ランバートは、子どもの頃、カウボーイと弁護士になりたかった。4歳のときに、祖父に連れられてテキサス州オデッサの高級ホテルに行ったとき、革張りのソファ、タバコの煙、大人の商談の雰囲気が好きになった。大人になって州の弁護士として働いていたある年に親友がエイズで亡くなり、ずっと目標にしてきた兄もHIVと診断された。その時、「人生にとって本当に大事なことをやらなくちゃ」と思った。それが、彼女が弁護士を辞めてホテル経営の勉強を始めたきっかけだった。
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2019年08月20日

114号

『ユマニチュードと看護』
編 集:本田美和子、伊東美緒
発 行:医学書院、2019年

紹介者から:ケアと親学−やさしい気持ちを感じてもらえるように届ける方法−

 近い将来、日本には400万人を超える認知症の患者さんが病院に押し寄せるといわれています。ユマニチュードは、認知症の患者さんたちをケアする技法として開発されました。現在では認知症ケアの領域に留まらず、医療看護の幅広い領域で取り入れられています。

ユマニチュードは、「ケアに求められる理想を現実に変える技術」として注目されていますが、内容は至ってシンプル。「見る」「話す」「触れる」「立つ」の要素を同時に複数組み合わせるコミュニケーションの技法です。触れるという身体性に特徴があります。

この技法は、生後3ヶ月くらいの子どもに親がすることを観察し、研究するところから生まれました。「見つめ」、「話しかけ」、「撫でて(触れて)」関わるうちに、子どもは二本足で「立つ」ことができるようになります。人間関係の基礎的な関わりといえるでしょう。

 この本には、「自由・平等・博愛」の哲学をケアの場面で実践するためにユマニチュードを開発したイヴ氏と日本の医療機関で実践している専門家たちの座談会、日本での実践録、有効性を明らかにする研究・エビデンスが掲載されています。
 
認知症や看護の専門的な領域から出てきたものではありますが、一つ一つの技法は非常にシンプルで具体的ですぐに実践できるものばかりです。
 
本書から:
 ユマニチュードの特徴には、「ケアをする人とは何者なんだろうか」と問うことから始めること、誰でも学べて、再現性のある技術として体系化されていることがあります。

 ユマニチュードには思想哲学があります。それは「あなたは人間ですよ」とケアする人が相手に伝え続けること。言い換えると、絆(人間関係)を中核に置いた思想哲学だということです。その点で、患者さん自身を中心に置くケアとは発想が異なっています。

例えば、やさしさを伝える「見る」技術は4つあります。
一、垂直ではなく水平に。
二、斜めではなく正面から。
三、一瞬ではなくある程度の時間をかけて視野に入る。
四、遠くからではなく近くから。
 
 このような技法を実践するなかで、ケアする人が念頭に置いているのは、よいことを「してさしあげる」というよりも、害になることを「しない」という意識です。そこからケア内容を選択する余地が生まれて、結果としてよいことをすることになるのです。
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2019年06月15日

113号

『家族との心理臨床―初心者のために−』
著 者:平木 典子
発 行:垣内出版、1998年

紹介者から:家族に発達段階があることをご存じですか。
 先日、家庭教育に関わる支援者グループで打ち合わせをした際に、発達の話題になりました。そこで家族の発達段階について、いくつかの研究を紹介したところ、そのようなものがあるのかと驚かれていた様子でした。確かに、一般的には個人の心理発達は広く知られていますが、家族にも発達段階があることはあまり知られていないようです。

 本書は、少し古い本ですが、家族の発達とその支援について初心者向けに分かりやすくその基礎が説明されています。この本を読むと、家族支援の現場で専門家が家族の発達をどのように理解し、どのように関わっているのかがわかります。
 
本書から: (一部要約しています)
 家族療法では、人が個人という「心身を持ったシステム」として生涯にわたって身体的、心理的、社会的に発達するのと同じように、家族も「一つのまとまった集団」として発達すると考えます。

 典型的・一般的な家族システムの発達は六段階に分けて要約することができます。家族の援助には、その対象となっている家族が、発達のどの段階にあり、どのような発達課題に取り組もうとしているかを見極める必要があります。

 特に、発達段階の移行期は、個人にとっても家族にとっても大きな適応の危機を迎える可能性があり、家族の問題や病理が現れやすいと考えられるわけです。

第一段階:独身の若い成人:家からの巣立ち
第二段階:新婚夫婦の時期:結婚による両家の結合
第三段階:幼い子どもを育てる時期:親役割への適応
第四段階:青年期の子どものいる時期:柔軟な家族境界
第五段階:子どもの巣立ちとそれにつづく時期:夫婦システムの再編成
第六段階:老年期の家族の時期:第二世代が中心的な役割を取れるよう支持
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2019年05月15日

112号

『おもてなしデザイン・パターン』
著 者:井庭 崇、中川敬文
発 行:翔泳社、2019年

紹介者から:「おもてなし」への道しるべ
 日本を訪れる外国人観光客の数は、年々増加しています。来年には4,000万人を呼び込むと政府は目標を掲げていますが、その一方で、外国人観光客からは、日本の「おもてなし」について、不満の声が聞こえてきています。
 
いわく、「日本人は知識が豊富でたくさんのことを教えてくれて助かるのだけど、ウェルカム感が感じられない」というのです。
 
親学活動は、ある意味で、私たちが主催者として「おもてなし」しているといえますが、参加してくださる方に、私たちの「ウェルカム感」は届いているのでしょうか。また、どうすれば、想いは届くのでしょう。
 
本書では、接客のプロたちが意識的に行っているおもてなしから、28のパターンを抜き出して紹介しています。日ごろの活動を振り返る際の具体的なポイントとして、きっとお役に立つと思います。

本書から: 「相手の立場で考える」はもうやめよう!?
 「おもてなし」を考えるときに、多くの人は相手の立場に立って、自分に何ができるかを考えようとします。ところが、それだとうまくいかないのです。というのも、相手の立場に立って「自分が」考えているうちは、相手の気持ちを汲み取りにくいからです。

 おもてなしのプロは、相手の「気持ち」で考えることを基本においています。するとそこから誰をお客様にするかが明確になり、相手を知る必要がでてきます。28のおもてなしパターンから、いくつかをみてみましょう。(以下、カギ括弧内がパターン)

まず、相手を知るためには、「その人への興味」を持ち、「語りたくなる声掛け」をして、「フレンドリーでありながら、礼を失することはありません」。おもてなしは「チームのことと考え」て、「点ではなく面でお迎え」しようとします。時には勉強のために、余所に「もてなされる研究」をしに行くこともあるでしょう。

このように、おもてなしのパターンは、計画から実践、振り返りに使うことができます。
テクニックではないおもてなしの質の向上に向けて、このパターンを活用してください。

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2019年04月15日

111号

『UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」』
著 者:ショーン・ヤング
訳 者:児島 修
発 行:東洋経済新報社、2019年

紹介者から: 大きな「夢」を語るな!?

 新しい年度が始まるこの時期、子供たち(児童・生徒・学生)は新しい
 環境で、夢や目標を立てて、進んで行こうとしています。
 また、親や教師も子供に夢や抱負・目標を定めることを求めがちです。

 ところで、その夢は実現すると思っていますか。

 毎年のように、夢や希望を叶えられずに挫折する人達がたくさん
 出ていることを知っていて、また自分たちも夢を叶えることができなかった
 にも関わらず、どうしてその子は有言実行ができると思えるのでしょう。

 大きな夢を描かなくても、着実に進む方法を親や教師は教える必要が
 あるのではないでしょうか。

 本書は、誰でも確実に、自分の目標に向かえる科学的な根拠のある
 方法を紹介しています。

 本書から:最初の一歩は、「目標を小さく刻む」こと。

  「何かをなし遂げたいなら、自分を変えろ」と、私達は教えられてきました。
  しかし、性格を変えることは簡単ではありません。でも安心してください。
  パーソナリティや性格を変えなくても、自分に合った方法を見つければ、
  なし遂げる力は高められます。

 例えば、統計によるとダイエットをはじめた4割の人が1週間以内に失敗して、
 半数以上の人が始める前よりも体重を増やしています。
 身体を動かすのが健康に良いとわかっていても、運動習慣のある人は少数派で
 す。

 このように現代では、多くの人が物事をなし遂げられずに苦しんでいます。
 どうすれば人は行動を続けることができるのでしょう。

 まず、なし遂げる力を高めるために、人間の行動のメカニズムを科学的に
 理解することが大切です。

 これまで私達は、行動が長く続かないのは、意欲や動機づけが足りないからだと
 思ってきました。しかし、人間はそれほど単純ではなく、行動を変えるにはもっ
 と繊細な方法が必要なことがわかってきました。

 その最初の一歩が、「目標を小さく刻む」ことです。あたりまえと思われるかも
 しれませんが、それは一般的に思われているよりもはるかに小さなステップに刻
 んでいく、というものです。夢を抱き意志を持てば、行動は変えられるということは
 科学的に間違っていたのです。

 具体的には1週間程度で達成できる短期目標を立てて、それを実現する
 ために2日未満のステップで構成する。長期目標でも3ヶ月を超えるものは
 設定せず、3ヶ月以上掛かるものは夢として位置づける。
 この「目標を小さく刻む力」によって、結果よりもプロセスに焦点があたり、
 行動が変わり、目標を達成しやすくなるのです。
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2019年03月15日

110号

『胎児のはなし』

著 者:最相葉月、増ア英明
発 行:ミシマ社、2019年

紹介者から: 最新の超音波検査とDNA解析でわかった胎児の世界

この本は1983年に出版された三木成夫『胎児の世界』 (中公新書)以来の一般の読者向けに書かれたもので、最新の超音波検査とDNA解析によって明らかになってきた胎児の世界を覗くことができます。

この本は、本欄でも紹介してきたノンフィクションライターの最相葉月さんが「生徒」として、長崎大学病院長で40年間にわたって胎児の研究をしてきた増ア英明「先生」に質問を投げかけて進む「対話型」になっています。会話のように進んでいきますので、300頁を超える分厚い本ではありますが、ほとんど読みづらさを感じることはありませんでした。

本書から:父親のDNAは、胎児を通じて母親に入る。

この本を読者の皆様に紹介しようと思ったきっかけは、父親のDNAが胎児を通じて母親に入っていることがわかった、との内容に触れたからでした。もちろん母胎のDNAも胎児に入っているし、胎児のDNAも母親に入っている。そう考えると、胎児を通じて、母親と父親はDNAレベルでつながり、本当の家族になることがわかります。

増ア先生が「女は母に生まれつくのではない、母親になるのだ」というように、女性は他人のDNAを受け入れて初めて母親になることを考えると、受精の重要さを改めて考え直すことになりました。受精は個体にとっても、人類種にとっても大切な意味があるようです。

もちろん本書は、医学からの視点ですので、限界もありますが、先号でご紹介した大森先生がよく使われる「いのちのバトンリレー」は、単なる価値観の話だけではなくて、この生殖細胞のレベルで受け継がれていることになります。

また、身体の細胞は細胞分裂の回数に限りがあるために、人には死があるが、単細胞である生殖細胞には死はなく、これまでも、これからも受け継がれていくのだといいます。

増ア先生は子供向けの性教育の時間に「君たちの体は、自分だけのものと、自分だけのものではないものを持っています」と述べていますが、最新の医学研究の視点から、このようにいえるようになっていることは新しい発見でした。

現代社会は、遺伝的なつながりによらない多様な家族の在り方が認められるようになっている一方で、科学技術の成果として、「血の絆」が存在しつづけることが明らかになっています。このことは胎児に関する話題は、医学モデルだけではなく、心理・社会・倫理・スピリチュアルなど様々な視点から「いのち」について考える必要性を示しているように思いました。またそれが専門家の共働によるチーム支援やコミュニティアプローチなどによって、可能になってきていることも感じます。

なお、本書の紹介動画は、YouTubeで以下のURLからみることができます。https://www.youtube.com/watch?v=7obUhpway-0
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2019年02月15日

109号

『祖父母学 5つの心得と32の視点で考える孫とのかかわり』
著 者:大森 弘
発 行:グッドブックス、2019年

紹介者から: 祖父母は身近なカウンセラー
 当協会の元専務理事、大森 弘先生の新著をご紹介いたします。

<はじめに>
 この本には、大森先生の経験と実績に裏付けられた想いが現代
社会へのメッセージの形で著されています。帯の「気くばりしても
出しゃばりすぎない“名脇役"」とは、まさに先生のことだと、日頃の
先生をご存じの方は思われていることでしょう。

また、編集者と出版社の仕事のおかげで、読者にとっては読み
やすく感じられます。 結果として、祖父母学という、やや固い印象
だった内容は染みこむ ように入ってきました。

 では、内容の話に移りましょう。

<「コミュニケーション」の位置づけ>
 先生が現役の教師として、そしてカウンセラーとして、活躍されたのは
20世紀の半ばから21世紀にかけてでした。この時期に大きく変わった
ことの一つに「コミュニケーション」に関わる事柄があります。

例えば、英語の成績がいくらよくても外国人を前にすると全く話すことが
出来ない人は、今でもたくさんみかけます。
「話す」行為に集中してしまって、その人と気持ちや情報を共有する
ことを見落としている、と指摘できるでしょう。

このように、20世紀のコミュニケーションは情報伝達の手段でした。
どうすれば、相手に伝わるか、理解してもらえるか、に関心が向けられて
いたといえるでしょう。それが21世紀に入ると、価値や意味を共に創り、
共有するためのプロセスに関心が向けられるようになっています。
どうすれば、新しい意味を創り出せるか、その人の理解者でいられるか、
の視点です。

<大森「指南書」発刊の意義>
 この時代の変化の中を先生は、カウンセリング・マインドやスキルを身に
つけることで乗り越えられてきたことをうかがうことができます。
だからこそ、この変化に難しさを感じている世代の人たちにとっては、
まさにこの本が「指南書」となるのだと思います。

また、地方で生まれ、横浜で過ごした先生だからこそ、地方と都市の
ハイブリッドな視点から祖父母学を語ることができるのだと思います。
そして、よく似た軌跡を辿ってきた人たちは、数多くいることでしょう。

 したがって、本書は、日本の工業化・都市化を支えてきた(いる)人たちに
お薦めできます。個人を尊重しながら、家族や集団の一員としての
役割を果たすヒントが詰まっています。

<本書から受け取ったメッセージ>
最後になりますが、「相手のニーズを特定してからでないと、どんな助言も
空回りする」。私は、そんなメッセージをこの本から受け取りました。
そして、祖父母はまるで身近なカウンセラー、といっているようにも感じます。
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2019年01月19日

108号

『想定外のマネジメント−高信頼性組織とは何か−』 (第3版)
 著 者:カール・E・ワイク、 キャスリーン・M・サトクリフ
 監 訳:中西 晶
 発 行:文眞堂、2017年

 紹介者から:

 九州の地震を始めとした天災や国や企業の不祥事などの人災といった想定外」が起こった時、私たちはどのように対応すればよいのでしょうか。

 不確実で想定外のことが起こった時の対応に多くの人が関心を向けるなか、組織論研究者のカール・ワイクらは想定外の問題を乗り越えることに成功した組織、失敗した組織を調査して5つの原則を見出しました。

 今月は、想定外に満ちた世界を生き抜くために必要な信頼性の高い組織を取り上げます。不確実性が高く、変化の激しい時代のなかで、柔軟に対応するヒントが見つかるはずです。

 本書から:(一部要約しています)

 事故が起こる可能性を免れた組織は、次の特徴があった。独自の文化の存在、自己デザイン能力、専門知のネットワーク、冗長性を考慮したハイブリッド構造、訓練とルーチン、状況認識、センスメイキングに関わる思考様式、関係の構築、情報処理などである。

 これらの特徴から反復しているパターンを統合すると、5つの原則に焦点を定めることができる。

高信頼性組織の5原則:
一、失敗にこだわる。
二、単純化を避ける。
三、オペレーション(実際に行われている活動を理解すること)に敏感になる。
四、レジリエンス(回復)に積極的に関わる。
五、専門知を重んじる。

 信頼性の高い組織は、不確実な世界で生じる避けがたいエラーを事前に察知し、その影響を抑制し、回復する能力を発揮する。エラーが起こらないことよりも、組織が機能不全にならないことを重視する。専門知を重んじるのは、複雑性に適応することに役立つからだ。

 専門知は、特定の誰かに存在するものではなく、プロセスのなかで創発されるものと考える。
専門家は、文脈のプロセスに細心の注意を払いながら意味形成を扱う役割を担っている。
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2018年12月25日

107号

『長寿と性格 なぜ、あの人は長生きなのか』
著 者:ハワード・S・フリードマン、レスリー・R・マーティン
訳 者:桜田直美
発 行:清流出版、2012年

紹介者から:
 健康長寿を実現した人達の人生を調べてみると、これまで常識だと思われていたことが逆効果であったり、まったく違っていたことが明らかになってきました。本書の背景には、1921年から80年間に渡って、当時10歳前後の男女1,500名を追跡調査した研究があります。これは世界的にみても稀なものです。

 この企画は、故ルイス・ターマン博士によって企画されたもので、それをフリードマンとマーティンの両博士が継承して結実しました。健康長寿を実現した人達は、人間ドックの愛好者でもなければ、サプリやジョギングとも無縁でした。むしろ生き方のパターンとその性格が健康長寿と密接に関係していることがわかったのです。しかもそれは子供の頃の性格からわかるとのことです。

 今月は、健康長寿の秘訣について取り上げます。

 本書から:

 健康長寿の秘訣:「勤勉性(conscientiousness)」という性格が、じつは健康長寿において重要なカギを握っている。子供のころ、どんな性格だった人がいちばん長生きする確立が高いのか。それは明らかに「勤勉性の高い人」であった。

「勤勉性の高い人」は慎重で、思慮分別があり、粘り強く、整理整頓が行き届き、いつも準備万端おこたりないような性格で、やや神経質なところがある。「勤勉性の高い人」はよく考えて慎重に行動する。自分の身を危険にさらすことはしない。

喫煙、深酒、ドラッグ、危険な運転を避ける傾向がある。シートベルトをキチンとするし、医者の言いつけもよく守る。自然と健康で長生きする人生を歩んでいる。
 
また、勤勉さで逆境を乗り越え、重責から逃げずに立ち向かうことは、基本的に健康リスクにならないことが、今回の調査で明らかになった。健康長寿を実現した人たちは、ストレスを避けずに仕事をしたからこそ、長生きしたのである。

 社交ネットワークを広げることから始めてみよう。
週に何時間かボランティアや趣味のグループに参加するだけで、社交ネットワークが広がり、人生を楽しむだけではなく、実際に長生きできる効果もある。もし健康になって長生きもしたいと思っているのなら、まず社交ネットワーク作りに取り組むのがいちばんだ。
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2018年11月15日

106号

『グループ・キャリア・カウンセリング-効果的なキャリア教育・キャリア研修に向けて-』
編著者:渡部昌平
発 行:金子書房、2018年

紹介者から
私たちにはグループ「で」学ぶ機会はたくさんありますが、グループ「を」学ぶ機会は意外と少ないものです。本書は、グループ実践の理論的な背景を説明しています。

 グループでは、自分以外の人の行動や考えを見聞きするので、自分の行動や考えが他の人にとっての当たり前ではないことに気づきます。他の選択肢があることに気づくと、問題解決の新しい方法を見つけやすくなるのです。他にも、自分だけが悩んでいるわけではないことに気づいたりして、安心することもあります。

 グループでの学びにつながるようにするには、実施する側のグループ管理や統制が欠かせません。グループでの学習はとても有効な方法ですが、「使える」までには技術やコツの習得が必要です。

本書はグループ・カウンセリングの本ですが、親学のグループワークでも役立つ情報が掲載されています。ぜひご活用ください。

本書から
 1.カウンセリングの4大要素:共感、尊重、純粋性、具体性(p7)
個人でもグループでも、最良の結果を生み出しているカウンセラーには共感、尊重、純粋性、具体性の特質があり、これらを満たす必要がある。

「共感」:クライエントが伝える感情や体験よりも、もっと深い水準に対して心を動かす。
「尊重」:自分の感情や体験を尊重し、他者の感情や体験も尊重する。
「純粋性」:クライエントの福祉に反しない範囲で、自分の本当の感情を表明する。
「具体性」:特定の具体的な感情や体験に、正確に完全に反応する。

2.グループワークの種類(pp11-12)
グループワークは目的によってアプローチが異なる。予防が目的の場合は教育的なガイダンスの手法をとり、予防と治療の双方を目的にする場合にはカウンセリング、治療を目的にする場合にはセラピーの手法をとる。セラピーに比べるとカウンセリングはより健常な人を対象とする。カウンセリングには教育的、支持的、問題解決的、短期的な特徴がある。

3.グループの発達と働きかけ(p83)
グループ発達の第1段階は「出会い」である。グループメンバーは少し気後れしていて、リーダーはこれから行うワークの目標や原理、技法を示す。リーダーは参加することの大切さ、この場はお互いに学び合う機会であることを強調してグループの規範をつくる。

 第2段階は「探索」である。リーダーは参加してこないメンバーへの対応を考える。
 第3段階は「作業」である。グループメンバーが自信をもって、問題を持ち込めるようになる。リーダーに頼るだけではなく、お互いに助け合えるようになる。
 第4段階は「実行」である。メンバーが自分の興味を言語化できるようになる。リーダーはそれぞれの経験を評価する機会をつくる。

 結果の評価(p80):介入の効果を示すデータを得ることを考慮する。参加者からのデータを集めて、その後の改善、効果への洞察につなげる。
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