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最新記事
ネレウス会議、帰国。[2012年04月07日(Sat)]
2月中旬から、イベントが続いた。
2月には、ネレウス科学会議が開かれ、フェロー10人、Principle Investigator (各研究機関の責任者)と日本財団関係者も含めた10人、その他のゲスト5人の総勢25人が一同に集まり、研究発表と「海の未来を予測する」という共同研究の進捗について議論を行った。

会議では、フェロー同士の分野を超えた「視点の交換」と科学的に統合を戦略に進める為のダイアグラムの形成(ネレウスダイアグラムとして有機的にevolve している)と新領域の発見(フェロー同士のコラボ)が主な議題であった。ダイアグラムの形成は、少しづつ10月から始めているもの、海から食卓までの魚のつながりを項目ごとに出して行き、つなげていくという方法で、参加研究者のロードマップとしてまた研究課題を動的に見るには、非常に役に立つ。

地球システム(Climate Change)の研究において最小に構成されたBretherton Diagramにヒントをえたこの試みは、いい具合に成功している(取り組みの一部は論文として近日発表される)。

ネレウス会議の後は、アメリカ科学協議会年次大会(AAAS)にてネレウスのセッションが開かれた。私も、クリステンセン教授と共同発表(壇上にはあがらなかったが)し、AAASのライブチャットにも参加した。

http://news.sciencemag.org/sciencenow/2012/02/live-chat-the-future-of-the-worl.html

3月は、日本に帰国し、日本財団での研究成果報告、中央水産研究所でのネレウス紹介、東京大学生産研究所主催の海洋エネルギーについてのシンポジウムに参加した。これらについては、改めて書かして頂く。

その合間をぬって、岡山と釜石に調査視察に。

現在は、ちょっと落ち着いてここ数ヶ月たまった書類整理を行っている。
久々の日本の春に、東日本大震災から一年の重みを感じながら、立ち止まって考える機会が持てた事が有り難い。

一方で、原発再稼働のニュースが流れているが、福島の収束もつかないまま、「政治的」決断を行うというのは理解しがたい。 原子力発電についての安全ガバナンスの「科学的」な分析は如何に進んでいるのか?海に流れた汚染水の発表を聞くたびに、正直に恐怖を感じる。
ネレウス年次大会[2012年02月04日(Sat)]
9月からスタートしたNF-UBCネレウスプログラムは、初の全体会議(Annual Science Meeting)を今月中旬に行う。この機会に、日本財団も含めた全協力機関より関係者が集まり、フェローの発表、今後の進め方についての論議が行われる。各機関より集まる10人のフェローは、これを機会に一同に介し、まさに海の未来についての学際的な議論を、4日間集中して行う。全てのコメントに、代替案もしくは新たなアイデアを持って意見するというゴールデンルールのもと、真剣な議論が交わされる事を心から楽しみにしている。また、情報を多学問に分かりやすく、しかし専門的な議論も同時に進行させる事が可能なのか、議長をする私にとっては、一つのチャレンジとなるが、知的な人々の中に幸福を見いだす事を目的に(ヘミングウェイからの借り物)頑張ってみたいと考えている。

世界に海に関しては、最近サバ(マサバからペルー沖まで)やニュージーランドマアジという比較的下位食物連鎖にいる魚が減っているという新聞記事が出ている。これは、私達がよく食べる養殖サーモンのえさとなる小魚である。原因は穫り過ぎなのか、それとも気候の変動なのか、とにかく日本では比較的安価で食卓にあがる魚が、世界で減少している事は、海と魚の未来について、より大きな懸念を我々に投げかける。年次大会では、この様な議題についても話し合う機会を持ちたい。未来は過去の経験からのみでは予測する事が出来ない。

アイスランド、ウィキペディア 抗議[2012年01月19日(Thu)]
2012年始まって早々、アイスランドから漁業全面禁止のニュースが入った。といっても、禁止されたのはオヒョウを対象としたレクリエーションフィッシングであり、小規模も含めて商業漁業への影響は少ない(混穫としてとられたオヒョウは、出来る限り生きたまま海に帰す様に指示されている)。その代わりレクリエーションフィッシングに関わる観光業界は多大な影響を被ると言われている。1月1日から実施されているこの思い切った漁業管理政策が、如何に今後のオヒョウ資源量に影響するのか、今後の動向が期待される。

しかし、この様な急な規制をどのように調整したのだろう?禁止については、8ヶ月前から発表されていたというが、合意過程についての情報はない。遊漁と商業漁業の問題は、日本国内でも地方水産管理者が頭を悩ませる問題である、トップダウンで調整にあまり時間をかけなかったのかどうか、今後聞いて回ってみたいと思う。

アイスランドとは関係ないが、現在アメリカ版ウィキペディアが24時間ストを行っている(これを書き終える頃には終わっているが)。

Stop Online Piracy Act (オンライン著作権侵害禁止法)とProtect IP Act(知的財産権保護法)のという2つの法律案に対する抗議行動として行われたバーチャルストライキである。

一見してみると2法案とも問題なさそうなのであるが、主な抗議理由としては、
これらの法律が、

1)ウィキペディア等の一般からの情報提供で成り立つウェッブの管理者に対して、情報を監視する責任(著作権等について)を課す事になるという事。

2)この法律により国外のウェッブページをブラックリストに載せる事が可能となり、外部からのページ削除行為によって、一部の情報発信が検索エンジンに引っかからなくなる事が起こるという事(その結果として検索を通した情報収集に規制がかかる)。

3)ページを閉じられる事を危惧したスポンサーが支援を減らす事

が抗議理由としてあげられている。
(詳細についての説明が足りなく、厳密に言えば、上記以外にも理由は挙げられている)

これらの理由をみれば、知識の共有を目的とするウィキペディアにとっては、2法案の設置は、彼らの活動理念と持続性に関わる大問題である。

近年、我々と情報の関わりは、多様なITメディアの発展ととも大幅に変わってきた。おりしも、スエーデンではCopism(コピーによる知識の共有を‘信じる’)の宗教認定が行われたと聞く。情報共有の神とはいったいどのような神なのだろうか? 

私は、本当にオリジナルな物を作る為には、まずは、多様な先行知識を学ぶ事が大切だと考えるが、コピーと知識を学ぶ事は異なっていると理解している。コピー=共有であれば、利害関係者間の科学コミニケーションは苦労しないであろう。

だからこそこれは宗教なのかもしれない、例えば、利害関係者との情報共有と共通理解の発展等も含めて。ただ、Copismの教典を読んだではないので、これはあくまでも現在の感想である。free informationは、人類の発展において重要な項目である事は間違いない。Copismにも、この発展に貢献する可能性は感じるべきなのかもしれない。

ネレウスプログラムのもつ周知啓発という行動目標から考えると、このウィキペディアのストライキがコンピュータに向かう個人個人の怒りではなく、また政府に対する不信感のみで終わる事なく、新たな情報社会への第一歩となればと願っている。
あけましておめでとうございます[2012年01月05日(Thu)]
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

昨年末は、出張でハワイへ(久しぶりに太陽を見ました)。NOAAのJeff Polovina博士との会合を行い、ネレウスプログラムのアドバイザリーパネルへの参加をお願いした。Eco-pathの生みの親であり、太平洋の漁業管理のエキスパートである博士の参加は、理論と実践の両側面からネレウスへのアドバイスを頂けると期待している。ハワイのはえ縄漁(270船程)の水揚げを取引するマーケットに連れて行ってもらい、希少生物(ウミガメ)の混獲規制を含めた持続可能な漁業管理の実践について説明して頂いた。

さて、バンクーバーの新年は、あまり新年らしくなく、いつも行く日本食料品店『ふじや』でおせちの詰め合わせとタイの塩焼きを購入する以外は、ご近所も含めあまり変化はない。

気がついた「変わった?」ニュースと言えば、サモアの日付が変更され、世界で新年が一番遅くくる国から一番早く来る国へと変わった事。これまで日付変更のため丸一日時間帯が異なっていたオーストラリやニュージーランドの近隣国と、経済連携を良くするためとの理由が主だが、同時にサモアからこれらの近隣先進国へ移民した多くの人々とサモア在住の家族が今後は共に同じ日に「新年」や「誕生日」を祝う事が出来る。家族のつながりを大切にする島嶼国の人々にとって、これは嬉しいチェンジであろう。

日本も、昨年の大震災以来、家族や友人との「絆」が新聞記事等で語られるが、その絆を支え、同時に国際的な動きを反映する「未来志向(サモアは文字通り一日未来へとワープしたのであるが)の政策が必要だと思う。先見性のあるビジョンがないと、先への希望を持続するのは困難だ。
クリスマスツリーと気候変動[2011年12月04日(Sun)]
私が勤めるFisheries Centre(漁業センター)にクリスマスツリーが飾られた。イギリスにいた時は特に、街頭にクリスマスセールの宣伝としての飾り付けが出る時期が年々早くなっている気がした。

不況の中、人々が家族とともに過ごす心安らぐ3日間を待ち望んでいる中、早くから街に鳴り響くクリスマスソングに当日はもう消化不良気味だったのを覚えている。

カナダでの生活は、私の住居が大学構内にあるため、商戦がらみのクリスマスソングの応酬はないが、今年は国内では東北大地震、国外では数々の災害に加え,「オキュパイ」デモで問われる経済格差問題の深刻化と人々の厳しい生活状況を考えるとクリスマスツリーの灯りも単純に楽しむ事が出来ない。

先日、アメリカでは、103歳の老人に自宅から立ち退き命令がでるというニュースが流れていた。一方で、ABCニュースでは労働雇用問題の解決策として「最低賃金をなくす」「失業保険をカットする」等と提案していた。問題解決を単純なカット戦略に「翻訳」されてしまう事は、漁業で言えば、資源減少に関して単純に漁師に「穫るな!」というのと同じ理屈である。

世界的な問題について、個人的な責任は、モラルの議論だ。例えば、気候変動(Climate Change)に関して、日曜のドライブをやめる事と、問題解決につながる政策を支援する事のどちらが個人的な責任であろうか?科学的見解によって、私達はこのような選択を迫られる事はない。魚資源の問題も同様に、科学的な見解のみによって、私達は、「魚を穫るな!」「食べるな!」という選択を迫られる事はないだろう。

消費者は、温暖化抑制の為にドライブに行かない事や、資源状況が問題視される魚を食べない事を個人的に迫られるべきであろうか?そのような選択を迫られる事のない、「許される数日間」を求めクリスマスツリーを飾り付けている訳ではないが、いつの日か、科学ではなく哲学の話をネレウスプログラムでも行わなければならないと考えている。

魚を守る漁師[2011年11月24日(Thu)]
ブログで親しい人の事を書くのは、時として適切でない場合もあると思う。ましてや、それが悲しい知らせであればなおの事、書くべきではなのではと何度か自問した。

先週、岡山県備前市日生町の漁業組合長でいらっしゃった本田和士組合長の訃報を受けた。

本田組合長には、以前勤めていた海洋政策研究財団の総合的な沿岸管理に関わる事業の関係で知り合いになり、常に暖かく接して頂いた。同事業で、日生がモデルサイトになり、その担当を私が受け持たせて頂いた関係で、日生には何度もお邪魔し、本田さんには陸でも海でも瀬戸の海について、経験と思いの詰まった話をして頂いた。

最初、岡山県水産課の田中さん(現在は海洋建設水産環境研究所の所長をされている)と鳥井さんに本田さんをご紹介頂いた時には、半日岡山県庁前の図書館で日生の漁業史を読み、付け焼き刃で訪問をした私に「宜しくお願いします」と頭を下げて頂き、本当に恐縮したのを覚えている。

それからも、「海の計画を作りましょう」とか「日生のアマモ増殖について海外に発信しましょう」とか、どちらかと言うと直接的とは言えない私の提案について常に熱心に耳を傾けて下さった。お身体の調子もあり、遠出は苦手でいらっしゃったのに、総合的な沿岸域管理の事業に関わる会議の為に東京までお越し下さった時には、本当にお礼の言葉もなかった。

私は、海外での現地調査が多く、日本の海について十分な経験がない。しかし、本田さんは逆にその経験のなさを新たな視点として受けとめて下さった。

私が、自分勝手にも仕事半ばでカナダに向かう時にも、「日本の為に、いい仕事をしてください」と新たな出立にお祝いの言葉を下さった。「また、帰国の際はぜひとも日生に、今度はご家族で来てくださいよ」と言って頂いた。

一度、ダニエルポーリー教授に謎掛け半分で、「漁師がいないといなくなってしまう魚もいる」と話し、「何を言っているのだ」と笑われた事がある。自然海岸が激減し、すり減った生息域に長い年月をかけてアマモを植え、魚のすみかを作ったのは日生の漁師と本田さんのリーダーシップである。この例を挙げると、「一度、その漁師とお会いしたい」とポーリー教授が話していた。

魚を守る漁師、矛盾しているようで、そうあるべきである海と人との関係を本田さんは体現されていた。

どうぞ安らかに。
私のプロジェクト[2011年11月14日(Mon)]
プログラムのCo-Directorとして、全体的なコーディネートや方向性の戦略を練ると共に、私自身の研究も少しずつ進めている。

研究の一つは、これまで日本で行ってきた沿岸域管理、特に
海洋空間計画のあり方についてである。海洋空間計画とは、多様な海洋情報を一元化し海底から海中また海上の自然保全と人間活動のバランスのよいそして効率的な施行を計画する事である。

近年、メキシコ湾での海上油田事故、日本では言うまでもなく福島原発事故による海洋汚染が、我々に沿岸及び海洋利用のあり方について、世界に大きな問いを投げかけている。

海の持つ自然回復力にのみ頼る事なく、私たちがどの程度のリスクと利益を海の利用によって背負い、また今後どのように海と関わっていきたいのか。海の「自然としての価値」を、私たちは、それが一度壊れてしまったら、また元に戻すのがどれだけ大変かをしっかりと理解しながら考えていくべきであろう。

そういった意味で、海洋空間計画とは、リスクや利益を知る道具であるとともに、異なった利害関係者が共に未来について考える「円卓」の用な物であると考えている。そして、一番重要なのはプロセスである。

この海洋空間計画の初期的な物を、漁業者中心で岡山県備前市の日生町漁業組合が少しずつ始めている。世界の海洋空間計画に関する取り組みでは、漁業者の参加を課題としている場所も多く(行政との信頼関係や漁業者自身のまとまりのなさによって)、日生の取り組みはうまく行けば先端的な事例である。

現在、私はカナダにいるので、現地の水産課や漁業組合そして地域NGOと連携をとっているのは、海洋政策財団の瀬木研究員が、総合的な沿岸域管理に関わる事業の一環として行っている。

今週から、その瀬木研究員がUBCを訪れている。彼のこちらでの調査の合間に、共に同業の人類学者として専門的な話が出来るのを楽しみにしている。

私のもう一つの研究は、Global Indigenous Fisheries Assesmentと称して、世界的な先住民漁業に関する調査研究である。グローバルな視点から海の未来を考えるネレウスにとって、大きなデータギャップのあるエリアに焦点を当てた。

地域とグローバル両方に、関わり続ける事で、研究者としての謙虚さを失わないようにしたいと思っている。


プリンストン会議[2011年10月31日(Mon)]
先週から移動とイベントが続いた。

月曜から水曜まで、プリンストン大学で初のネレウスワークショップを行う。
参加者は、プリンストン大学からポスドクフェローのJames WatsonとPhdフェローの Kelly Kearneyが参加、そしてデューク大学からAndre Boustany(ポスドク)と
Daniel Dunn(Phd)が参加した。

UBCからは、プログラマー、私、Villy Chriestensenが参加し、プリンストン大学からは Jorge Sarmiento教授とCharles Stock博士が参加した。

Stock博士は、昨年末に大統領から若手科学者賞をもらっている。プリンストンの構内を歩きながら、「オバマ大統領と会ったよ」「まじで!」というミーハーな会話をしながら昼食を奢ってもらった。

昼食は、参加者の半分がマグロを注文し、マグロの専門家であるAndre Boustanyに「これってサステイナブル?」と質問を繰り返していた。

ワークショップは、月曜がデータ整理等の技術的な話であったが、火曜の午前中の全体ミィーティングでは「2050年の海を予測する為に、どのような疑問に我々は答えるべきか?』という議題で盛り上がった。

議論の中で、自然発生的に、魚、漁師、シーフード、という3つのキーコンポーネントを中心に、海と人間と魚をつなぐ『鳥瞰図」作りを行った。

黒板を使いながら、フェローと教授らが思いついた事を各自書き加え、また議論を行うという繰り返しの中で、かなりお互いの領域を超えた話を出来たと思う。

なにより、Sarmiento教授から、「多様な専門家がよって、始めて気候変動についての議論を行った時のようだ」とコメントをもらえた様に、参加者全員がネレウスというユニークな取り組みに興奮していたのが嬉しかった。

その後、Jamesの設定でサイモン レヴィンSimon Levin教授(生態進化学)の研究室と合同会議を行い、未来の海を予測する為のモデルアプローチについての議論が行われた。

レヴィン教授とはその後少し個人的に話す事が出来、今後、Jamesを通してネレウスに協力頂く事になった。 教授はもうすぐ、日本(九州大学)で講義を行われるとの事、わたしが関西の出身であるというといきなり教授が『オオキニ」と言ったのには笑ってしまった。

水曜にUBCに戻り、金曜に私の職場であるFisheries Centreの全体セミナーで発表を行った。私自身の個人研究についてであるが、かなり良い反響があった。

内容は、先住民漁業についてであるが、自分自身も先住民であるUBCのDavid Close教授から協力の意向を発表後に伝えられたのが最も嬉しいコメントだった。





過去と未来は違う世界。プリンストン大 ネレウスフェロー[2011年10月21日(Fri)]
前回イワシを食べていれば、資源管理は大丈夫かというところで話を止めた。確かに、漁業のターゲットとなる魚が、大型魚種から小型に移り行くのであれば、資源が多く比較的問題の少ないイワシを食べるは得策かもしれない。

何より、イワシを豚のえさにするよりも人間が食べる方が食料安全保障には貢献度が高いし、漁業者にとっても魚一匹の価値が上がるのでありがたい。

しかしながら、これはイワシという魚が常によく穫れる魚であり続けた場合の話である。Ryan Rykaczewski氏によると楽観的な話ばかりではないらしい。Ryanはプリストン大学のもう一人のネレウスポスドクフェロー。専門は海洋学および海洋生物学である。

現在、魚資源、特にイワシ等の小型回遊魚を対象として、魚資源への気候変動の影響について研究している。海流の変化、またそれによる動物プランクトンの増減、そしてその結果としてのイワシの資源変化(これは量だけではなく、どの海流に?海のどの深さに資源が分布するという事も含めて)を研究している。

気候変動が動物プランクトンの生態に与える影響は大きく、 それも含めてRyanはイワシの資源量がこれまで以上に変動大な資源になるかもしれないという。つまり、去年大量にとれていた魚が今年突然とれないという状況が、過去に我々が経験した以上に起こってしまうかもしれないという事である。

もし、イワシ等の小型回遊魚の資源供給がより不安定になるのであれば、イワシを食べるだけでは海(魚食)の未来は救われたとはいえないであろう。

Ryanは、この問題も含めて、彼の研究で、一つ大きな問題を提示しようとしている。

『我々は過去を知る事で未来を予測する事が出来るのか?』というのが彼の問いである。逆に言えば、「過去の傾向から未来を予測する事は出来ない」というのが彼の議論である。

では、どうすれば未来を予測出来るのか。これは、ネレウスの最初の課題である。
ストックホルムレジリアンスセンターと魚養殖[2011年10月12日(Wed)]
ストックホルムレジリアンスセンター(Stockholm Resilience Centre-SRC)は、ストックホルム大学に属する社会科学系環境問題研究所である。この研究所では、環境を自然のシステムとしてではなく、社会的要素と自然的要素が混雑しながら形成している社会生態システムとして捉えており、環境変化は人間社会と生態系( socio-ecological)の関わりの中で生み出された変化として扱われるベキであると説いている。

つまり、海に関して言えば、その環境変化は、漁業活動、漁業管理等の一連の人間活動(穫る方も管理する方も含めて)やそれに関わる政策を含めて理解されるべきであるという事である。これは、違法漁業や、養殖産業の発展も含めてである。

このユニークな考えは、現在の気候変動や、魚資源の枯渇、そして食料安全保障問題に対して、その環境への『影響」ではなくそれによる社会生態系の「回復力」(Resilience)を見る事で事象の総合的な理解とその解決を導く基盤へとつながる。

学際的な取り組みに積極的なSRCは、 Henrik Osterblom氏とCarl Folke氏を研究責任者として、ネレウスプログラムに参加している。

先週、SRCにてNippon Foundation Senior Nereus Fellowに選抜されたMarc Metian博士とスカイプ会議を行った。博士はフランスでの学位習得後、ハワイにわたり、国際的な水産養殖の広がりについて研究を続けてきた。ネレウスでは、養殖は世界の魚食を支えられるのか、沿岸貧困地域の食料安全保障に貢献出来るのかという課題に取り組んでいく。

世界的に、魚の養殖は淡水魚が圧倒的に多く、サーモンやマグロ等の高級魚はまだ全体的に少ない。しかし中国も含めこれまで淡水養殖の盛んな国々も今後高級魚の養殖に変わっていく傾向があるとMarcは言う。問題は、これらの魚の餌となるイワシ等の小型魚の資源管理である。

実は、イワシ等の小型魚の資源管理は、気候変動とも深く関わってくる。大型の魚を食べずに資源に問題がない小型の魚を食べようと言うだけでは、我々は海の回復力を保つ事が出来ないかもしれない.....という話は次回させて頂く。
アップデイトが遅れているがMarc Metianのウェッブはこちら
http://web.mac.com/ichromodoris/Marc_&_Laetitia/Marc_Metian.html
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