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竹富町で沿岸域総合管理研修 [2016年12月08日(Thu)]
2016年11月29日(火)〜30日(水)
2016年度から始まった島嶼型の沿岸域総合管理のモデルサイトである沖縄県竹富町で、29日の午後と30日の午前中の両日、「沿岸域総合管理入門研修」を開催しました。主催は笹川平和財団海洋政策研究所、共催は竹富町役場です。
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対象は竹富町役場の方々で、企画財政課(3名)、税務課(1名)、商工観光課(2名)、自然環境課(1名)、教育委員会教育課(1名)、農林水産課(2名)、建設課(1名)、総務課(1名)、役場移転推進課(2名)、そして、西大舛町長と前鹿川副町長の16名です。
初日は、
1)海洋政策研究所の古川恵太海洋研究調査部長から「沿岸域総合管理を用いた海の保全と利用」について紹介、
2)竹富町役場企画財政課の小濱啓由課長補佐兼係長から「竹富町海洋基本計画について」を解説、
そして3)のワークショップIでは、数名ずつのグループに分かれて”ぱいぬ島々の宝”について、参加者が思い思いに竹富町の宝を挙げていきました。
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2日目は、琉球大学の土屋誠名誉教授から「竹富の自然とサンゴ礁保全」について、「なぜサンゴ礁は大切か」「人間は多くの恩恵を授けてくれているサンゴ礁に対してどのようなお返しができるか」という「生態系サービスに対する支払い」の問題、「島と海を一体の自然としてとらえることによって、自然と人間の共存に関するヒント」などについて、熱のこもった講義を受けました。
その後、「ワークショップII・III」では、前日列挙した「”ぱいぬ島々の宝”をどうしたいか」、そして、それを「具体化するにはどのようにしたらよいか」について、さまざまな角度から「竹富町の海を活かしたまちづくり」への思いを込めて意見を述べ合い、まとめあげていく作業を体験しました。
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縦割りになりがちな役所内の職員のみなさんが、担当の枠を取り払ってまちづくりについて共に考え、熱心に議論を交わしたという体験はとても貴重で、そこで育まれた関係がよい形で育っていくことが楽しみですが、参加した職員の間では、早くも次回の研修への期待が高まっていました。
西大桝竹富新町長が海洋政策研究所を訪問 [2016年11月30日(Wed)]
2016年11月17日(木)
本年度から海洋政策研究所とともに沿岸域総合管理の実践に取り組むことで覚書を交換した沖縄県竹富町の西大舛(にしおおます)高旬(こうじゅん)新町長が、三盛克美竹富町議会議員、竹富町役場の大浜知司総務課課長と共に、海洋政策研究所を訪問され、寺島紘士所長や研究員たちと意見交換を行いました。
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竹富町では、2011年3月に日本の地方自治体の海洋基本計画としては第1号となる「竹富町海洋基本計画」を策定したことで知られていますが、寺島所長は、その取組み開始の2010年頃から町とのつきあいがあり、西大舛町長も当時、町議会議長として、これに係っておられたという経緯があります。久しぶりの再会ということで、なごやかな会談となりました。
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所長からは、研究所の沿岸域総合管理の取組みの意図と、今年度から離島型沿岸域総合管理のモデル構築に以前からおつきあいのあった竹富町と取り組み始めることにしたことを説明しました。
西大舛新町長からは、竹富町を国境離島の町として、広い海域を守り、活用していきたい、ということ、漂着ゴミも多く処理に費用がかかること、それらのためにも、海域の管理に対する財源が必要であることを話されました。竹富町の、海と自然を活かしたまちづくりへの強い期待を感じました。
竹富町と「海を活かしたまちづくり」覚書交換 [2016年06月21日(Tue)]
2016年6月7日(火)

本年度から笹川平和財団海洋政策研究所が行っている「海を活かしたまちづくり」の実践モデルサイトに沖縄県竹富町が加わることになり、「共同研究に関する覚書」を締結する目的も含め、寺島紘士常務理事、古川恵太海洋研究調査部長、大塚万紗子特別研究員、上里理奈研究員が竹富町を訪れました。沖縄に近づくと写真のような真夏の空が広がり、約2千キロの距離を実感しました。

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空港には、数年前から沿岸域総合管理(海を活かしたまちづくり)の勉強会にも参加されてきた竹富町企画財政課の小濱啓由課長補佐が迎えに来てくださり、バンナ展望台経由で石垣市にある竹富町の役場に向かいました。展望台からの眺望は素晴らしく、竹富島、小浜島、西表島、黒島、鳩間島、波照間島、と、竹富町に属する有人9島のほとんどを一望することが出来ました。
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竹富町役場で、川満栄長町長と寺島紘士常務との間で「覚書」が交わされ、上里至副町長、古川恵太部長も立ち合い、八重山毎日新聞、八重山日報、沖縄タイムズなどからの取材を受けました。町長と常務は「竹富町海洋基本計画」の策定に取り組み始めた2010年から親交があり、久しぶりの再会に話が弾みました。その後、竹富町企画財政課、商工観光課等も交えて、第1回海を活かしたまちづくり研究会が開催され、西表島の世界自然遺産登録などに向けて、竹富町の将来のまちづくりに向けた研究調査・計画を進めることが確認されました。翌日の新聞には、覚書交換が大きな写真入りで報じられるなど、竹富町モデルサイトは順調なスタートを切りました。
竹富町沿岸域総合管理に向けて(3) [2016年03月10日(Thu)]
2016年3月1日(火)午後。
人口約2,350人の西表島から約370人の竹富島へ、左に小浜島、右に黒島を見ながら海上を約30分で移動。人口約210人の黒島は、子牛が約3,000頭を飼育されており、2月の牛まつりの一等賞は牛一頭とのこと。
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竹富島では、人気のリゾートホテルである「星のや竹富島」の吉田裕之支配人と足立淳ファシリティーマネージャーに話を聞きました。客層は30〜40代が年間平均50%強と最も多く、夫婦・カップルが約4割、平均泊数は1.79泊、国外客比率は5~10%、とのことでした。石垣島との交通距離は船で10分と近く、「星のや」の従業員の多くは石垣島に在住しており、早朝や夜に特別チャーター便を運航してもらっているそうです。最近では、竹富島の住民の方々もこのチャーター便を利用できるようになっています。従業員と地区公民館組織や島民とのコミュニケーションの場として、公民館の月一回の定例会や古謡・民具づくり教室、青年会のスポーツイベント、浜の清掃活動への参加や連携アクティビティなどがあげられました。
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NPOたきどぅんは竹富島の港のそばの展示館「ゆがふ館」を運営していますが、職員の阿佐伊拓氏によると、竹富島の先祖たちが伝統の中で作り上げてきたモノやコトを大切にし、それを引き継ぐ後継者を育てること、訪問者や新しい定住者にもそれを感じてもらえることを大切に活動しているとのことでした。
2016年3月2日(水)
石垣島にある竹富町本庁で渡航会社である安栄観光の平安名浩文統括部長・運航管理者および竹富町観光協会の井谷信吾事務局長に話を伺いました。平安名氏によると、以前は航空券・船・食事等をセットで購入する人が多かったのですが、今はそれぞれをネット予約して、別々に頼んでくるようになったそうです。10月〜3月は東北からの団体が多いとのこと。波照間航路は外洋に出るので欠航率は高いのですが、リーフに囲まれているところは台風以外は欠航しないなど、航路によって条件も異なるとのこと。2013年に新石垣空港が出来てから顧客が70万人から125万人に増加、港も整備されたという。多言語化が必要だが、簡単には覚えられないので、チケット販売機の多言語化するなどで工夫しているそうです。
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竹富町観光協会の井谷信吾事務局長は、2007年から「島学校プログラム」に取り組み、地域における自然環境や歴史文化など地域固有の魅力を発信、体験してもらっているとのことでした。協会内に「西表島世界自然遺産研究会」を立ち上げ、登録後に直面するであろう課題について知床など先進地から講師を招いて勉強会をしているそうです。島々で課題の共有があまりなされていない、とのことですので、世界自然遺産登録に向けて早急に沿岸域総合管理の協議会を立ち上げ、情報共有や共通のルールづくりなどを行う必要があることを確信した訪問調査となりました。
竹富町沿岸域総合管理に向けて(2) [2016年03月09日(Wed)]
2016年3月1日(火)
竹富町本庁のある石垣市から、竹富町で最大の有人島であり、イリオモテヤマネコで有名な西表島に渡り、樹齢400年で日本最大のサキシマスオウノキや日本最大規模のマングローブ林などを有する仲間川でクルーズを体験した後、西表交通グループ代表取締役の玉盛雅治社長に2005年から自主ルールとして取り組まれている「仲間川地区保全利用協定」や最近の西表島の観光事情などについて話を伺いました。
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「仲間川地区保全利用協定」は、短時間で遊覧させて人数をこなそうとする観光プログラムにより、引き波でマングローブが倒れたりすることが問題となったため、環境省や学者たちに協力を依頼、「同協定」を策定して知事に認定してもらい、引き波が立ちにくい船の導入や、観光プログラムの変更などで観光資源を保全しています。最近は活動がマンネリ化して、協定が守られていないこともあり、2015年12月に監査を行った結果を踏まえて、2016年3月には県からの勧告書を出してもらう、とのことでした。
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企業としての沿岸域総合管理の取組みについては、農業と海・サンゴの関係を懸念されていました。除草剤や雨による赤土の流出などについて、「観光立町」である竹富町のことを考え、双方の話し合いが必要ですが、海の観光や環境に携わる人は少ない上に、まとまりがないことを懸念されていました。一方で、農業と観光をうまく結びつけることも課題で、最近では、黒紫米や黒紫米のそば、手作りの黒糖、ヤマダイコンの醤油漬けなど、新商品の開発に努力している農家も見受けられるとのことです。
taketomi_poster_.jpg また、地域の歴史と伝統食を含む文化に深い関心をもってほしいということから、地区の公民館と共に「西表と歴史と文化の旅」という観光プログラムを計画。定員を絞り、村人が島の食材で食事を作って歓迎し、工芸を体験するという魅力的な旅を始めたとのことでした。
竹富町沿岸域総合管理に向けて [2016年03月08日(Tue)]
2016年2月29日(月)
沖縄県竹富町は、笹川平和財団海洋政策研究所がすすめている「沿岸域総合管理モデルの実施に関する調査研究」のモデルサイト候補として、2011年頃から沿岸域総合管理研修やネットワーク会議に町の職員が参加されるなど、沿岸域総合管理の実践について情報交換を積み重ねてきました。
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日本最南端の町である竹富町は、日本で唯一、地方自治体としての海洋基本計画を策定しており、また、「海域管理のための財源創出に向けた取り組み」として、サンゴ礁内を地方交付税法第17条の4に基づいて、地方交付税算定面積の対象とするよう沖縄県を通して総務省に提出(今回は、申出不採用)した経緯があるなど、海洋政策に関して非常に前向きに取り組んでいます。また、竹富町では、2年後を目途に西表島を含む世界自然遺産登録申請をめざしており、それに向け、海を活かしたまちづくりの協議会を立ち上げ、沿岸域総合管理の手法を用いて関係者の意見を集約するのにふさわしい時期ではないかと考えられます。
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この日、竹富町での沿岸域総合管理の取組み状況を調査するために訪れた国土交通省総合政策局海洋政策課の森本泰史主査、川口知行計画係長と共に、海洋政策研究所から大塚万紗子特任研究員、上里理奈研究員が竹富町役場を訪問、上里至副町長、企画財政課の勝連松一課長、同小M啓由課長補佐らと意見交換を行いました。
9つの有人島(西表島、小浜島、竹富島、鳩間島、由布島、黒島、波照間島、新城島、嘉弥真島)と7つの無人島からなる竹富町。町役場本庁舎は、現在、石垣市に置かれていますが、昨年、住民投票が行われ、竹富町西表島に本庁を移転することが決まったとのことでした。
また、日常的な海外漂着ゴミの処理が問題となっているだけでなく、先日も外国籍の貨物船が座礁し、島間の航路に積み荷のラワン材が水を吸って目視できない状態で漂流するという危険な状態が生じていたそうです。国境の島ということもあり、島嶼自治体における海域管理の財源の必要性をあらためて感じました。
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その後、企画財政課に対し、沿岸域総合管理の取組に関するヒアリング調査が行われました。2012年に「竹富町島産エネルギー活用促進協議会」を立ち上げ、海岸漂着ゴミや島発生のゴミを、島産エネルギーに変換することで、環境、財政、雇用面で有効に活用する社会システムを構築していることや、そのエネルギーを利用して、県魚グルクンを燻製にして特産品にしていることなどが紹介されました。その他、海域管理のための財源創出に向けた取り組みや竹富町の稀有な自然環境を活用した付加価値の高い観光、竹富町海洋基本計画の施策実施状況などについて報告を戴きました。
海洋政策課からは、地方創生の深化のための新型交付金(地方創生推進交付金)についての説明があり、日本版DMOの概要や取組例が紹介されました。