2016年2月29日(月)
沖縄県竹富町は、笹川平和財団海洋政策研究所がすすめている「沿岸域総合管理モデルの実施に関する調査研究」のモデルサイト候補として、2011年頃から沿岸域総合管理研修やネットワーク会議に町の職員が参加されるなど、沿岸域総合管理の実践について情報交換を積み重ねてきました。
日本最南端の町である竹富町は、日本で唯一、地方自治体としての海洋基本計画を策定しており、また、「海域管理のための財源創出に向けた取り組み」として、サンゴ礁内を地方交付税法第17条の4に基づいて、地方交付税算定面積の対象とするよう沖縄県を通して総務省に提出(今回は、申出不採用)した経緯があるなど、海洋政策に関して非常に前向きに取り組んでいます。また、竹富町では、2年後を目途に西表島を含む世界自然遺産登録申請をめざしており、それに向け、海を活かしたまちづくりの協議会を立ち上げ、沿岸域総合管理の手法を用いて関係者の意見を集約するのにふさわしい時期ではないかと考えられます。
この日、竹富町での沿岸域総合管理の取組み状況を調査するために訪れた国土交通省総合政策局海洋政策課の森本泰史主査、川口知行計画係長と共に、海洋政策研究所から大塚万紗子特任研究員、上里理奈研究員が竹富町役場を訪問、上里至副町長、企画財政課の勝連松一課長、同小M啓由課長補佐らと意見交換を行いました。
9つの有人島(西表島、小浜島、竹富島、鳩間島、由布島、黒島、波照間島、新城島、嘉弥真島)と7つの無人島からなる竹富町。町役場本庁舎は、現在、石垣市に置かれていますが、昨年、住民投票が行われ、竹富町西表島に本庁を移転することが決まったとのことでした。
また、日常的な海外漂着ゴミの処理が問題となっているだけでなく、先日も外国籍の貨物船が座礁し、島間の航路に積み荷のラワン材が水を吸って目視できない状態で漂流するという危険な状態が生じていたそうです。国境の島ということもあり、島嶼自治体における海域管理の財源の必要性をあらためて感じました。
その後、企画財政課に対し、沿岸域総合管理の取組に関するヒアリング調査が行われました。2012年に「竹富町島産エネルギー活用促進協議会」を立ち上げ、海岸漂着ゴミや島発生のゴミを、島産エネルギーに変換することで、環境、財政、雇用面で有効に活用する社会システムを構築していることや、そのエネルギーを利用して、県魚グルクンを燻製にして特産品にしていることなどが紹介されました。その他、海域管理のための財源創出に向けた取り組みや竹富町の稀有な自然環境を活用した付加価値の高い観光、竹富町海洋基本計画の施策実施状況などについて報告を戴きました。
海洋政策課からは、地方創生の深化のための新型交付金(地方創生推進交付金)についての説明があり、日本版DMOの概要や取組例が紹介されました。