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海洋政策研究財団のブログ

海洋政策研究財団は海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係、海技関係、国際関係を3本の柱として、相互に関連を深めながら政策等の実現を目指し、各種事業を展開している公益法人です。


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『海の健康診断』調査の結果 [2007年06月13日(水)]
全国閉鎖性海湾の『海の健康診断』調査の結果について

全国一斉海洋環境評価


閉鎖性海域は、これまで水質項目を中心に化学的視点によって環境が評価されてきました。しかし、同海域の環境はさまざまな要素によって作り出されていることから、水質に加えて、海洋環境を作り出している海の「営み」や「構造」を総合的に評価・観察していく必要があります。

海洋政策研究財団では、そのためのツールとして「海の健康診断」の手法を開発しました。同診断は人間の健康診断にヒントを得て、年1回の定期健康診断にあたる1次検査と、異常が出た場合に行う精密検査にあたる2次検査によって、海洋環境へのマイナス要因を早期に発見する予防医学的なセンスを取り入れています。

当財団では、この度、全国71の閉鎖性海湾を対象に『海の健康診断』一次検査を実施し、その結果を海湾ごとに診断カルテとして取りまとめ、「平成18年度全国閉鎖性海湾の海の健康診断調査報告書」を発行しました。

71閉鎖性海湾の環境については、個々のカルテに示しておりますが、これらカルテを概観すると、次のようないくつかの特徴的な結果が見られます。

1.なんらかの項目でC判定(要精密検査)が出た海湾は、大都市圏に隣接する海湾に限らず、全国的に見られ、検査対象の90%に及んだ。

2.検査対象海湾の65%で「底質環境」がC判定(要精密検査)となっており、同じくC判定の割合が50%と高かった「除去(漁獲)」と併せて考えると、全国の多くの海湾で底層の環境が病んでいる現状が浮かび上がってきた。

3.「負荷・海水交換」の項目でも比較的高い割合(28%、38%)でC判定が出ており、多くの閉鎖性海湾で負荷と滞留のバランスが崩れていることを示唆する結果となった。

4.「物質循環の円滑さ」を検査する項目でC判定が出た海湾が、全体の86%にのぼったのに対し、「生態系の安定性」を検査する項目でC判定が出た海湾は61%に留まり、物質循環の円滑さが失われてきている環境においても、それに対応しようとする生態系の逞しさを垣間見る結果となった。

5.底層環境の悪化を疑う検査結果が数多く出たが、一方で底層の溶存酸素データが不足している現状も明らかになった。

6.全窒素、全リンの環境基準をクリアーしている湾の中にも、物質循環の円滑さが損なわれていると疑われる湾が相当数(C判定が2項目以上16/29,3項目以上6/29,4項目以上3/29,5項目以上1/29)見られた。

日本の閉鎖性海湾の生態系は、かつての最悪の状況からはほぼ脱したと見ることができます。しかし、今回の検査では、当時分解されずに蓄積された海底の有機物などにより、陸域からの過度の負荷がなくなった今日においても依然として健康を取り戻せていない海域が少なくない結果となっています。

*「平成18年度全国閉鎖性海湾の海の健康診断調査報告書」全文は、近日中に海洋政策研究財団のホームページにアップする予定です。


71kaiwann-ichi.pdf
実施71海湾位置図


kenko-shinndai-shikumi.pdf
「海の健康診断」のしくみ


shinndan-kekka.pdf
71海湾の一次検査・診断結果


c-hanntei-ritsu.pdf
C判定出現率



詳しい内容は続きをご覧下さい。

この度、海洋政策研究財団は、競艇交付金による日本財団の支援を受けて、環境省が水質汚濁防止法に基づき窒素、リンの排出規制を行っている海湾を中心とした全国71の閉鎖性海湾を対象に『海の健康診断』一次検査を実施し、その結果を海湾ごとに診断カルテとして取りまとめました。

海は、人体が行う食物の摂取から排出に至る一連の営みにも似て、河川から流入する栄養塩を流れによって各部へ輸送し、食物網を通じて分解、生産・浄化を行っているほか、一部を漁獲により系外へ排出し、全体として海洋環境のバランスを保っています。しかし近年、このバランスが藻場や干潟を含む浅海域の消失などにより崩れてきています。 このような状況において、これまで我が国で行われてきた同海域の環境評価は、水質など特定の項目を指標にした富栄養化の防止、有害物質の流入防止といった視点では行われてきましたが、必ずしも生態系や物質循環のような「海の営み」を捉えたものではありませんでした。人間の健康診断でもそうであるように、血液検査や尿検査のみをもって健康か否かの判断を下すことは難しいことです。血液や尿などの「検査結果」に至る心臓や肝臓、腎臓などの機能を含めて「体の営み」を総合的に検査することにより、初めて確かな診断を下すことができます。

この考えのもと、海洋政策研究財団では平成12年度より本研究を開始し、閉鎖性海湾の環境を構成しているさまざまな「海の営み」を検査・評価する「海の健康診断」を全国に先駆けて構築しました。同診断では、既存のモニタリングデータを活用し、加えて湾の体格や体質も踏まえて検査・診断することで、海洋環境が本格的に悪化する前の段階で環境に対するマイナス因子を見つけ出し、治療に結びつけていく予防医学的なセンスを取り入れています。具体的には、海の営みを人間の血液検査や尿検査に当たる水質検査、心臓の働きの検査に相当する潮位振幅の検査、腎臓や肝臓の検査に相当する藻場や干潟の面積の検査、代謝や食習慣の検査に相当する流入負荷や分類群別漁獲量・割合の検査などで見ていき、各項目をデータの変化の割合や値に応じてA・B+・B・C+・Cの5段階でわかりやすく診断しました。検査・診断結果は、海湾毎に今後の精密検査や治療の参考になるようカルテにまとめています。

この度の全国診断の実施は、平成16年度から20年度までの5ヶ年計画の一環として行っているもので、同手法の社会的な定着を図るための周知啓蒙と更なる診断精度の向上、取り扱いやすいものとするための改良を目的に実施しております。5ヶ年計画では、1年目、3年目、5年目に全国の閉鎖性海湾の健康診断並びに診断カルテの作成を行い、2年目、4年目に前年度の診断結果の分析、手法の改良を行います。本日発表いたします内容は、この5年計画の3年目の実施内容に当たるもので、平成16年度に引き続き2回目の全国診断結果です。診断にあたっては、全国閉鎖性海湾「海の健康診断」判定会議(委員長:平野敏行東京大学名誉教授)」で専門的な見地からの評価を受けております。

今回は、前回と比較して検査に必要なデータが無い場合の代替データ等の有効活用により、診断歩留まりが飛躍的に向上しております。71の閉鎖性海湾の環境については、個々のカルテに示すとおりですが、これらカルテを概観すると幾つかの特徴的な結果が見られております。

1.なんらかの項目でC判定(要精密検査)が出た海湾は、大都市圏に隣接する海湾に限らず、全国的に見られ、検査対象の90%に及んだ。

2.検査対象海湾の65%で「底質環境」がC判定(要精密検査)となっており、同じくC判定の割合が50%と高かった「除去(漁獲)」と併せて考えると、全国の多くの海湾で底層の環境が病んでいる現状が浮かび上がってきた。

3.「負荷・海水交換」の項目でも比較的高い割合(28%、38%)でC判定が出ており、多くの閉鎖性海湾で負荷と滞留のバランスが崩れていることを示唆する結果となった。

4.「物質循環の円滑さ」を検査する項目でC判定が出た海湾が、全体の86%にのぼったのに対し、「生態系の安定性」を検査する項目でC判定が出た海湾は61%に留まり、物質循環の円滑さが失われてきている環境においても、それに対応しようとする生態系の逞しさを垣間見る結果となった。

5.底層環境の悪化を疑う検査結果が数多く出たが、一方で底層の溶存酸素データが不足している現状も明らかになった。

6.全窒素、全リンの環境基準をクリアーしている湾の中にも、物質循環の円滑さが損なわれていると疑われる湾が相当数(C判定が2項目以上16/29,3項目以上6/29,4項目以上3/29,5項目以上1/29)見られた。

日本の閉鎖性海湾の生態系は、かつて起こった沿岸の大規模な地形変革や陸域からの有害物質の流入などの影響を大きく受けていた最悪の状況からはほぼ脱したと見ることができます。しかし、上記の検査結果は、当時分解されずに蓄積された海底の有機物などの“負の遺産”により、陸域からの過度の負荷が無くなった今日においても依然として健康を取り戻せていない海湾が少なくない結果となっています。また負の遺産により不健康になっている海湾は、私たちが日頃健康を憂慮している東京湾などの大都市圏の海湾に限らず、全国的に見られている現象です。

当財団では、三河湾の一次検査結果をもとに、同湾の二次検査のケーススタディーを実施し、一次検査(定期検診)→二次検査(精密検査)→患部の特定→処方箋の作成をシステマチックに行うための研究も進めております。

現在、「海の健康診断」は宮城県の水産政策に取り入れられ、県の独自予算で仙台湾の健康診断が実施されています。今後、当財団の事業を契機に、国や多くの自治体で閉鎖性海湾の環境評価ツールとして「海の健康診断」を活用いただければと願っております。
以上


Posted by 梅木由美子 at 18:11 | 事業の紹介 | この記事のURL | コメント(3)
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コメント
宮津/阿蘇海の水質は極端に悪く、天橋立の回転橋付近しか水路がなく、反対側が、外海に開口していません。よって、生活水もいまだ、たくさんながれこんで、改善がされません。ロ−プウエイ側に外海へ直径2mのパイプで開口し、干満差だけでも、1年もたてば、かなり改善されます。日本三景というのは、水質も当然良くなければなりません。巾もたった50mばかりで、工事も簡単、費用もたいしてかかりません。景色も埋設することにより、元の状態にもどせます。阿蘇海もキット生態系が変わり、魚のたまごの産卵場所にもなるとおもいます。京都府では、現在生活排水の方面から、改良していると、山田知事からご返事はいただいておりますが、改良までに至るかどうか また、時間もかかり、疑問です。
Posted by:糸田川公三  at 2007年06月27日(水) 14:30
健康診断結果良く調査していること、感心ています。酒田港について生態環境貧酸素水確認頻度にランクがないのが合点がいかない。酒田港に豊川、新井田川、流れ込み、最上川のれ流れが港内に水流、水質に影響があります。
*水面は真水で、植物プラクトンがあり汚れたように見えるが港低(航路外)にはムツサンゴ、八方サンゴ、鮑、サザエ、ウニ、牡蠣、海藻、が殖えています。知人のダイバーが今日から水中写真展示会が開かれます。
*海藻の「アマモ」がないことを、ダイバー残念がっております。
酒田市の下水道が普及してきているので、水質はよくなってくると思います。
*二次、三次、診断するとあります、地味な仕事ですが期待するものです。
Posted by:金内農夫哉  at 2007年06月22日(金) 06:27
御知らせを有りがとうございます。前回の反響、良かったですね。汚染度は、人口、建物、自然の変化…様々な理由が挙げられます。専門家でもない私ですが幼い時から見ますと汚染は進行し過ぎています。少しずつでも良くなって行って欲しいですし、財団の協力に期待し、お手伝いする事があれば、と思って居ります。
Posted by:原田掬惠  at 2007年06月21日(木) 12:25