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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


海のジグソーピース No.89 <フネか?サカナか?―護衛艦「まきなみ」体験航海、WMU日本研修、海上保安庁観閲式に参加して―> [2018年07月18日(Wed)]

 本ブログをご覧のみなさまはよくご存じのこととは思いますが、当研究所は我が国のみならず、世界の海洋政策の発展に貢献すべく、所長以下の役職員が日夜調査研究に励んでいます。ところで、当研究所には、海洋に関するさまざまな分野のエキスパートが在籍していますが、(私の独断と偏見で)大きく分けるとフネ(≒海事)が好きなタイプとサカナ(≒海洋環境)が好きなタイプが存在します。(私は圧倒的に前者なのですが、)いずれのタイプも機会があれば積極的に自分が好きなものに触れに行ったり、見に行ったりするのですが、私も機会があると艦船に乗りに行ったりします。ということで、今年(2018年)5月はさまざまな艦船に乗る機会がありましたので、そのお話をしたいと思います。

 まず、5月12日には、海上自衛隊の平成30年度練習航海の一環として、東京港の晴海埠頭から横須賀港の海上自衛隊横須賀基地(吉倉地区)までの短い時間ではありましたが、護衛艦「まきなみ」に乗艦しました。実は動いている護衛艦に乗艦するのは今回がはじめてだったのですが、その威容に圧倒されっぱなしの3時間でした。

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「まきなみ」の艦橋越しに見るレインボーブリッジ


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「まきなみ」の主砲(OTOメララ127mm単装砲)


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横須賀に到着した練習艦「かしま」(練習艦隊の旗艦(直轄艦)です)


 続いて、5月17日には、当研究所が実施している「WMU(世界海事大学)笹川奨学生日本研修」の一環として実施した東京湾内視察に同行し、視察船「新東京丸」に乗船しました。この視察は、東京港内のコンテナふ頭をはじめとする港湾施設を見学し、我が国における海事産業の現状を紹介することを目的としたものでしたが、東京都港湾局の方々に東京港の現状などをご紹介頂き、普段知ることのできない東京港の最新動向を知ることができました。

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東京臨海部広報展示室(TOKYOミナトリエ)から見た東京港


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「新東京丸」から見た青海コンテナふ頭


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竹芝小型船ターミナルに停泊中の「新東京丸」


 そして、5月19日には、海上保安制度創設70周年記念観閲式及び総合訓練の一環として、東京湾羽田沖で開催された観閲式に参加するため、巡視船「やしま」に乗船しました。実はこの「やしま」は、就役以来ずっと横浜海上保安部に在籍していたので(停泊中は、横浜港の大さん橋からその姿を見ることができました)、横浜港に遊びに行くたびに逢うことができたのですが、2013年10月からは福岡海上保安部に転属してしまいましたので、今回久し振りにその雄姿を見ることができました。

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5年ぶりにみる「やしま」の雄姿


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テロ容疑船捕捉・制圧訓練の様子


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高速機動連携訓練の様子


 これほどまでに艦船に続けて乗るという機会は今までになく、ずっと興奮し続けた2週間でした(同僚諸氏には迷惑をかけたかも知れませんが…)。また、ややもすると雲を掴むような議論をしてしまいがちな政策研究において、現場を体験するというのは、より良い調査研究を実施し、社会の諸課題に対する方策を提示していく上で欠かすことができないプロセスですから、その点においても貴重な機会でありました。ですので、私も海洋政策研究に携わる研究者として、(職務の支障とならない程度に)このような現場にも出たいと思います。


海洋政策研究部 小森 雄太


海のジグソーピース No.88 <海洋政策を巡る国際動向−シャルルボワからビアリッツ> [2018年07月11日(Wed)]

 梅雨明け宣言後に突如襲ってきた西日本豪雨。被害の甚大さが明らかになりつつあります。陸路が寸断されたままで救援物資の搬送も行き届かず、また、ボランティアも現地に赴けない状況との報道に胸が痛みます。犠牲・被害に遭われた方々にお見舞いと早期復旧・復興をお祈り申し上げます。

 このような自然災害は日本に限ったものではなく、近年、世界的にも問題になっています。先月(2018年6月)カナダのケベック州シャルルボワで開催されたG7サミットでは、G7シャルルボワ首脳コミュニケの他に7つの宣言・附属文書が採択されましたが、その1つが「健全な海洋及び強じんな沿岸コミュニティのためのシャルルボワ・ブループリント(外務省による仮訳についてはこちらをご覧ください)」でした。

 このブループリントでは、「私たちの海洋と海の健全性は地球の経済、社会そして環境の福祉(原文では“well-being”)にとり、重要(critical)である」と宣言し、違法漁業、海ゴミ・海洋プラスチックを含む海洋汚染、海水温上昇、海洋酸性化、海水面上昇、特に小島嶼開発途上国においては、極端な気象現象(著者注:台風や暴風雨・干ばつ等)を海洋や沿岸地域が直面する危機として例示し、北極や小島嶼開発途上国をはじめとする海抜が低い沿岸地域が特に脆弱であると述べています。その上で、海水面上昇や極端な気象現象に備えた計画や防災の取り組みの重要性を指摘し、「沿岸管理戦略の策定」や「沿岸域での対応力があり質の高いインフラの支援(自然資本を利用した防災や環境影響への適応を含めて考えることから、ここでは “resilient”を「強じんな」ではなく、「対応力ある」と訳している。「回復力ある」と訳する場合もある)」を呼びかけています。

 具体的には、環境配慮型で対応力ある再生可能なエネルギーを含むエネルギー・システムや、湿地・マングローブ林・藻場・サンゴ礁の保護や修復といった自然資源を重要なインフラとして掲げ、これらの強化を支援していく方針を示しました。それ以外にも、極端な気象現象や地球物理災害(著者注:地滑り、火山噴火、地震等)に関する早期警報の準備や発表を行うに必要な政策実施体制の強化を進めていくとの方針も打ち出しています。ブループリントの附属書である「海洋プラスチック憲章」をアメリカと共に日本が署名しなかったことは大きく報道されましたが、ブループリントの内容についてはあまり報道されていません。エネルギー・システムや自然資本、さらには、資金供与、地球観測や沿岸域総合管理、科学的知見やデータの共有、違法漁業や漁業資源乱獲対策、脆弱な海洋区域や資源の保護と管理、海洋プラスチックや海ゴミ対策など、このブループリントが重要な政策指針が打ち出していることを今一度想起し、我が国をはじめ、世界各国が現状を点検して改善を図っていくことが重要です。

 カナダのトルドー首相が主導する今年のG7サミットはまだ完結していません。カナダ政府は、今年9月19日〜21日にかけてカナダ・ハリファックスで「G7環境・エネルギー・海洋大臣会合」を開催すると発表しています。カナダ政府のキャサリン・マキーナ環境・気候変動大臣、ドミニク・ルブロン漁業・海洋・海上保安大臣、ジム・カール自然資源大臣の3名がこの会議を共同で切り盛りし、気候変動対策、海洋保全、生産・交通・エネルギー問題を議論することが予定されていると報じられています。さらに、シャルルボワ・サミットの成果発表の記者会見では、トルドー首相と共に、フランスのマクロン大統領が記者会見を行い、来年のG7サミットは北大西洋を望むフランス屈指の保養地であるビアリッツで開催し、気候変動と海洋を国際社会が取り組むべき重要な課題として位置づけ、議論を行うと発表しています。

 フランスが管理する海域はアメリカに次いで世界2位の広さで、6位の日本の約2倍にあたります。2015年の気候変動に関する国連会議でも当時の女性の環境・エネルギー・海洋大臣が活躍していました。フランスが管理する海域の大きな部分を太平洋にあるニューカレドニアやタヒチをはじめとするフランス領ポリネシアなどが占めています。ニューカレドニアでは今年11月にフランスに残るか独立を目指すのかの住民投票が行われる予定で、総じて現段階での予想では僅差になるかもしれないものの、フランス残留が多数を占めるのではとの予想が優勢です。太平洋での核実験を終え、フランスはもはや太平洋に何の利権もないという論者がいる一方で、ニューカレドニアやタヒチが主要な観光地として人気を集め、海底地下資源が存在していることなど、海外領土の経済的重要性を強調する論者もおり、フランス政府は引き続き、海外領土を重要な国土の一部として維持・管理していくものと考えられています。

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会合で趣旨説明を行うフランス国立科学研究センター
タマトア・バンブリッジ(Tamatoa Bambridge)研究部長


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タヒチ島テアフプー村役場で海洋保護区(Tapu)を説明する
ジェラルド・パーカー(Gérald Parker)村長

 筆者は今年5月にフランス領ポリネシア大学(The University of French Polynesia)にて行われた「太平洋広域海洋保護区ワークショップ」に参加し、太平洋地域における海洋管理についての発表を行い、討議に参加した他、タヒチ島、モーレア島、レアテア島の海洋保護区、水産養殖、沿岸域管理、研究・人材育成等の取り組みを視察しました。会合では、広域的な越境型の海域保護について水産資源の持続可能な管理、海洋生態系の保全、IUU対策と海洋安全保障など幅広い観点から議論がなされました。クック諸島、キリバス、フランス領ポリネシアおよび隣接する公海を含めた海域の生態学的意義や保護措置導入の可能性については、区域ごとの漁獲量の違いや保護措置導入による監視や履行確保の実施体制などについて様々な意見が出されました。

 視察内容を簡単に形容すれば、先進的、統合的、長期的、包含的、国際的とでもいえるでしょうか。例えば、タヒチ島南東部のテアフプー村ラフイ(Rahui)という漁村では、環礁内の魚が乱獲により激減したことから、2014年に768 haの沿岸海域を海洋保護区として禁漁とし、半農半漁で生計を営む村民がボランティアとして違法漁業者の監視を行っていました。漁業資源回復を目指し、小規模な禁漁区を設定し、漁民自らが監視を行うという点で今年4月に行われたハワイ大学での国際会議でも注目されていた取り組みです。ラフイの西にあるバイラオ(Vaira’o)では、水産技術センターでエビの養殖研究を行っていました。これは、漁民の収入源確保と増大する観光客相手のレストランへの食材提供が目的とされており、採卵して人工授精、種苗生産までをタンクで行い、その後、生け簀で育てるという技術を導入していました。輸入する餌料代を抑制するために、水産加工場から排出される残滓を餌料利用に転用できるかが課題とのことでした。

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餌料を説明するタヒチ島バイア・バイラオ養殖技術センター
トーマス・カムス(Thomas Camus)研究員

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タヒチ島バイア・バイラオ養殖技術センター 稚エビ養殖水槽

 レアテア島では、2017年に世界遺産に登録されたタプタプアテア(Taputapuatea)を訪問し、16世紀の祭祀場跡と山岳から水路、海岸まで続く文化遺産と自然や景観を一体的に保護の対象としている様子を視察しました。その近くで視察した有機農園バイウティ・フレッシュ(Vaihuti Fresh)では、もともとサンゴ礁の研究をしていたフランス人研究者がサンゴに蓄積する赤土を憂い、農家に転身し、丘陵地で農園を営んでいました。畝を等高線に並行に作る、また、表流水の集積溝を作るなどして、土壌の沿岸への流出を減らす工夫をしていました。モーレア島では、海洋・沿岸空間利用計画を作成し、禁漁観光区域、漁業区域などの区域分けをしている他、景観保護や防災の観点から電線の地中化を進めている取り組みを視察しました。モーレア島にはガンプ・センターというカリフォルニア大学(アメリカ)が管理する海洋学研究センターがあるほか、島嶼研究環境観測センター(CRIOBE)というフランス政府が支援する研究所もありました。そこでは、長期宿泊が可能なゲストハウスに世界各国から海洋学を学ぶ若者が集まり、若手研究員の支援を受けながら研究を行っていました。

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農園概要を説明する有機農園バイウティ・フレッシュ(Vaihuti Fresh)
テリー・リゾン・ドゥ・ロマ(Thierry Lison de Loma)代表

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サンゴの酸性化耐性を研究するモーレア島フランス島嶼研究環境観測センター実験室

 世界のリーダーは気候や海洋を見据え、この地球でどう人々が暮らしていくべきかを議論しています。海に囲まれる日本は、これまで培ってきた知見や技術を国内や海外の人々と共有し、長期的・国際的視点から実効性の高い取り組みを広げていく牽引的な役割を担っていくことが期待されています。来年のビアリッツG7サミットや大阪G20サミットで日本が指導力を発揮できるよう、私たちもこれらの取り組みに役立つ研究活動を行っていければと考えています。

海洋政策研究部主任研究員 小林 正典


Ocean Newsletter No.430 [2018年07月05日(Thu)]
No.430が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●荷主と物流事業者とのマッチングWEBサイトLogi-Link
関西国際物流戦略チーム事務局、近畿地方整備局港湾空港部クルーズ振興・港湾物流企画室室長◆尾上博文

国際物流戦略チームは、国境を越えたシームレスなサプライチェーン構築を支えるため、
関西に立地する事業所を対象に海外展開についてのアンケートを実施した。
その中で出された課題への取組みとして、港湾や空港を利用する荷主と物流事業者との
マッチングWEBサイト「Logi-Link」を立ち上げ、2017(平成29)年6月より運用を行っている。
Logi-Linkの概要を紹介し、さらなる普及および活用を図るものである。


●日本の魚食の将来〜魚離れをめぐって〜
大東文化大学経済学部教授◆山下東子

2000年代初めまで世界一の魚食国だった日本で、急速な魚離れが起きている。
となると、何とかしなければならないと反射的に考えてしまうものだ。
しかし限りある天然資源、減少する国内生産、増加する世界需要、浸透する和食という
内外の事情を勘案すれば、日本の内需はひとまず下げ止まるまで見守り、
その間に国内漁業の諸課題を解決していくという道も見えてくる。


●きっかけを作る水族館−解説パネルの例から
竹島水族館館長◆小林龍二

日本は大小120館ほどの水族館がある超水族館大国である。
しかしながら水族館の「関係者」と水族館を楽しむ「来館者」をそれぞれ見ると、
考えや求めるものの乖離が見受けられる。
これからの水族館は、水族館が持つべきそれぞれの目的や役割を果たしつつも、
人々が楽しみ、必要とされる施設となるよう、その方法を追求しなければならない。


●編集後記
東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる


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Posted by 五條 at 13:42 | Ocean Newsletter | この記事のURL | コメント(0)
海のジグソーピース No.87 <北朝鮮の外交戦略の変化をランチェスター戦略から読み解く> [2018年07月04日(Wed)]

 2018年6月12日、シンガポールで史上初となる米朝首脳会談が開催されました。これに先立ち、2018年4月27日には、2000年、2007年に続き、約11年ぶりとなる通算3回目の南北首脳会談が開催されました。また、金正恩北朝鮮国務委員会委員長は中国の習近平国家主席とも、2018年に入ってから、3月下旬、5月上旬、そして米朝首脳会談直後の6月下旬と、短期間のうちに3回も首脳会談を実施しました。

 2018年の春は、これまで国際社会からの批判を受けながらもミサイル発射や核実験を強行してきた金正恩委員長が見せる新たな外交戦略にこれまでにないほどの注目が世界中から集まった時期だったと言えるでしょう。

 両首脳会談の成果については、さまざまな評価が行われておりますので、ここでは割愛しますが、いずれにしても、日本を取り巻く海洋安全保障環境は今後も混迷を深め、かつ、緊迫度を増していくことが予想されます。しかしなぜ、金正恩委員長はこうした首脳外交を積極的に展開し始めたのでしょうか。その真意を正確に読み解くことは難しいのですが、1つの理由として、北朝鮮と同国の同盟関係である中国との関係がこれまでにないレベルまで冷却化したことが挙げられます(中朝関係の変化について、私はこちらで論じています)。

 1961年に結ばれた中朝友好協力相互援助条約により、中国と北朝鮮は一方の締約国が武力攻撃を受けた際には、他方の締約国は直ちに全力を挙げて軍事上の援助を与える(同条約第二条)ことが義務づけられています。しかし、2000年代に入ると、中国国内では同条約の意義や必要性について疑問視する意見が出始めており、2021年の同条約の更新(20年毎)に向け、金正恩委員長としても冷え込んだ中朝両国関係の改善を図るタイミングを探っていたのではないでしょうか。米国のトランプ大統領からの軍事的圧力を受ける金正恩委員長としては、危機的状況を迎える前に、是が非でも、米国だけでなくこの機会に中国とも関係を正常化させる必要があったと考えられます。

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機械構造として捉えた極東アジアの政治情勢(イメージ)
イラスト出展:iStockphoto

 それでは、同条約を含めた軍事同盟の理論的な意義はどこにあるのでしょうか。なぜ、国家は軍事同盟を結ぶのでしょうか。そのヒントを与えてくれるのが、英国のエンジニア、フレデリック・ランチェスターの理論(ランチェスター戦略)です。

 ランチェスターは、戦争における損耗予測などを理系的な観点から数式化し、兵力の大きさの重要性などを解き明かしました。もちろん、剣や弓矢などで戦う古典的な戦闘と、銃器やミサイルなどで戦う近代的な戦争を同列には語れません。そこで彼は、古典的な戦闘には一次法則を、近代的な戦闘には二次法則を用いるというアイデアを示しました。

 詳しくは省きますが、ランチェスターが導き出した2つの法則が教えてくれるのは、仮に自軍と相手軍との間で兵器や戦闘員の能力が等しい場合には、人数の多いほうが圧倒的に有利になるということです。そして、自軍と相手軍との間に兵器や戦闘員の能力に差がある場合には、人数差だけの場合よりも、さらに大きな優劣が生じることになります。

 つまり、国家は他国と軍事同盟を結ぶことによって、自国単独の場合よりも兵器や戦闘員の能力、そして人数を飛躍的に増加させ、戦争時に少しでも有利な状況を形成することを期待するのです。そして、ランチェスターの着想に刺激を受けた英国の数学者のルイス・リチャードソンが数式を示して証明したように、国家間の軍事的な摩擦の増大は一定の段階で小康状態(軍事同盟の増加を含む自国軍事力の拡大には限界があるため)となり、やがて表面上の安定状態を作り出します。

 ランチェスターの法則に照らし合わせると、北朝鮮にとって、このタイミングでの中国との軍事同盟を含む外交関係の見直しが極めて重要だったことが、より理論的に理解できます。そして同時に、リチャードソンの考え方によれば、現在の、一見すると協調路線へとシフトしたかに見える北朝鮮の外交戦略は、中国との同盟関係を前提とする、あくまで軍事力の均衡と不均衡との都合が生み出す一時的な小康状態の顕現に過ぎないことになります。

 私は文系の研究者ですので、これまでブログ(第1回目では囚人のジレンマモデル、第2回目では経済学のSCPモデル)で紹介してきたように、基本的には海洋安全保障構造を文系の視点から考えてしまいますが、今回取り上げたランチェスターやリチャードソンのような理系の研究者の知見を借りることも重要だと考えています。いずれにせよ、ランチェスターやリチャードソンの導き出す協調は、あくまで軍事力の数式的バランスによるものであり、平和を希求するものではありません。

 今後、私たち海洋政策研究所では、海洋は人類共通の財産であるとの認識をもとに、新規性と独創性のある着眼、分析、考察によって、協調を基本とした新たな海洋安全保障の考えを示していきたいと考えています。

客員研究員 倉持一

海のジグソーピース No.86 <海事社会と海洋問題を考える> [2018年06月27日(Wed)]

 2018年5月8〜9日、スウェ―デン・マルメ市にある世界海事大学(WMU)の笹川記念ホールにて「グローバル・オーシャン会議2018」が開催されました。初日午前に開所式典が行われたWMU笹川グローバル海洋研究所で将来取り上げる研究テーマに大きな示唆を与えるものとなりました。この出張報告を兼ねて題記につき所感を述べさせていただきます。

 船舶からの排ガス規制が、酸性雨や温暖化の対策の一環として海洋汚染防止条約の附属書(1997年採択)に取り入れられるとは思いませんでした。それまでタンカーや貨物船から排出される油類などによる海水汚染ばかりを見つめてきた私にとって、大気汚染は条約の対象外と思っていたからであります。この時を以って私には海洋と大気と地球が同義語になりました。

 旧シップ・アンド・オーシャン(S&O)財団は、1975年に我が国造船産業の振興を目的に設立された日本造船振興財団がその前身になりますが、海事を包摂する海洋への取り組みが急務として日本財団の笹川陽平会長(当時S&O財団理事長)の首唱により、1990年にS&O財団に改称されることになりました。当時はカタカナ名の公益財団はほとんどなかった時代で、海事社会に新鮮な印象を与えました。海に関して活動が広がった団体は、やがて海洋政策のシンクタンク活動(2002年)へと動き始めます。海洋基本法の素案が2006年S&O財団の手によってドラフトされたのを知る方も少なくなりました。海洋問題への理解なくして海洋立国はなく、持続的な海事社会の発展もあり得ないとするこの思想は次第次第に多数の国に共通の認識になりつつあります。

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「グローバル・オーシャン会議 2018」の様子


 さて、今回の会議では、@海洋経済と新しい協力・連携の在り方、Aそれに向けた科学技術の役割、B関係国連機関の役割、C海洋産業の将来、D地域と各国の役割、E市民社会との連携の6つのパネルが設けられ、世界各国から参加した33人の専門家がそれぞれの世界観を披露しました。WMUは国際海事機関(IMO)の提唱によって創立された大学であることから、今後多種多様な海洋問題が海事に如何に深い関係を持つかの調査分析の上に、新しい国際規律策定に向かって世界をリードする政策提言が求められることになります。

 その具体例として、海洋プラスチック問題を考えてみたいと思います。IMOでは昨年の豪州に続き、バヌアツなどが本年4月の海洋環境保護委員会(MEPC)においてプラスチックによって惹起される海洋問題の深刻さ訴えた結果、最優先議題として2020年アクションプラン作成を目途に審議が本格的に開始されることになりました。発生源の比率としてはほとんどが陸上起源と思われるこの問題に、世界の海事関係者はどう向き合うのでしょうか?

 私なりに思い浮かべる問題といえば、メガ客船(一万人規模の稠密な都市ともいえます)から排出されるグレーウォ―ター(風呂・厨房からの排水など)中のマイクロ・プラスチック、回収されないまま海洋に残る漁具や漁網、廃棄プラスチックの国際物流、各国沿岸に漂着するプラスチックゴミくらいですが、未だ未だ沢山ありそうです。この気が遠くなりそうな課題を、バーゼル条約、ロンドン条約、海洋汚染防止条約などの幾多の関連条約を調整し、多くの国際機関と協調してどう議論を進めてゆくのか? 地球の問題のすべてが海洋に、そして海事に影響を与える時代になりました。現代の大量消費文明に大きく挑戦する哲学論争から始めねばならない課題となりそうでもあります。国内的には単独の省庁の手には負えそうもありません。内閣府総合海洋政策推進事務局に是非先導していただきたいところであります。

 S&O時代に挑戦した身近な海洋ゴミ問題プロジェクトの昔話で締めくくります。海浜のゴミ回収活動にインセンティブを与えようと、ゴミを拾ってくれた市民に地域通貨を発行してはどうか?の制度提案に2004年度事業として取り組みました。ゴミ拾いに参加した市民に渡される「環境紙幣」が商店街で活用され、全国津々浦々の地域と共通の兌換券となる、そんなことを夢見ながらNPOの方々と海岸で頑張りました。夢多き事業だったと思います。

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WMU笹川グローバル海洋研究所入居のビル内部


参与 工藤 栄介


海のジグソーピース No.85 <内部波の話> [2018年06月20日(Wed)]

 内部波は、現在では地球上に普遍的に見られる現象であると同時に、気象、海洋・地球物理・化学の分野では、重要な現象として広く研究が行われています。このような内部波も、19世紀から20世紀半ばまでは、稀に観察できる現象として知られ、とりわけ、船舶航行時における内部波生成は、どちらかと言えば異界のものの仕業と考えられていました。

 フィヨルドや海氷縁の開水面では、海水と氷の融解水からなる密度成層が比較的浅い水深に発生することがあり、船の寸法が小さい時代では、特に朝方の静寂な時間帯で、船を動かそうとした時、舫綱を外し忘れたか、アンカー投入のまま、発進したような感覚を抱いた経験が、数多く語られました。当時は、このような現象への研究が行われていませんでしたし、これは静穏な住まいで微睡む水神の怒りに触れ、船の動きを止められたのだとする噂が蔓延したこともありました。やがて科学の目がこの現象に向けられました。19世紀末、フィヨルドの調査を行ったV.W. Ekmanは、その報告書の中で、密度成層が存在する場合に船を発進させると、密度成層に内部波(内部重力波)が発生し、この造波抵抗のため船の進行がままならなくなることがあると述べて内部波はようやく異界の仕業から解放されました。Ekmanは、1904年、小型模型での実験を行い、この現象を論じた、”On Dead Water: The Norwegian North Polar Expedition 1893-1896”を発表しています。ただし、Dead waterという表現は、成層の存在が船舶の運動に与える影響を示唆した、ノルウェーの物理学者Vilhelm Bjerknesに始まるといわれ、欧米では、この用語が広く定着しています。日本の海洋学では、その直訳「死水」または「止水」があてられることが多いようです。

 日本では、有明海の曳き幽霊が知られていましたが、動力船では、船長の観察力、注意力がよほど優れていない限り、密度成層があっても、発進時にこのような現象を感知し得ないため、何時しか忘れ去られてきたと思われますが、2年ほど前、海上保安庁巡視船「わかさ」の湯山典重船長の詳細な観察記(湯山典重「操船者から見た幽水現象について」『水路部技報』第14号(1996年2月))を拝見し、世紀を経て、新たな1頁が開かれた思いを致しました。湯山船長は、これを「幽水」と命名されましたが、日本人の感覚では、死水より幽水の方が現象名称には相応しいように思えます。

 成層上下の海水比重比∆ρ/ρは、海洋では、10のマイナス3乗、 フィヨルドでは3×10のマイナス2乗程度で、成層水深は、かなり多様です。成層界面は実際には比較的狭い水深幅でなだらかに連続していますが、理論計算上では、船の喫水に比して密度変化層が薄いと仮定して、厚みのない密度層を仮定するのが常套手法です。

 内部波の一般的な特性から、内部波造波による船の抵抗問題のあらましは推測できること、加えて、具体的な数値計算はかなり面倒なため、内部波造波抵抗の基本的な研究は、1900年代半ばで収束してしまいました。また、船が動力を得て次第に巨大化し、大きな推進力を得たことから、船の内部波造波抵抗の実用的な価値は当然消滅し、研究課題から外れて、内部波といえば、応用数学および海洋・地球物理学の見地から進められるようになりました。内部波研究の主題は、内部波の励起、生成、砕波、減衰、不安定性、海洋水混合への影響などへと変わり、衛星リモートセンシングをはじめ、観測機器の進歩により内部波観測データの蓄積も充実しつつあります。さまざまな内部波がありますが、内部波周期が慣性周期と同等以上であれば、地球の自転の影響を受けることになります。古くは旋回性の内部ケルビン波が、十数年前には衛星リモートセンシングによるベンガル湾の見事な内部波映像が多くの研究者を魅了しました。海洋の波の安定性問題は、理論や解析的手法においてとても魅力的な問題ですので、多くの研究があります。

 内部波造波による抵抗に関する問題について、特に計算機による数値流体力学の発展により、現在では非線形領域の扱いを解析的に挑戦するもの以外、完全流体を仮定しての伝統的なポテンシャル論に取り組む研究者は皆無のようです。今回のブログでは、事情がありまして、内部波生成に起因する造波抵抗の問題を紹介することとしました。内部波が発生する場の境界条件が面倒な場合を除けば、解析的アプローチにはさして問題はないと思われましたが、事務用パソコンによる数値計算は、かなり面倒であることが演算着手以前から想定されました。そのため、ワークスペースの確保、途中の計算データの掃き出しと再投入、C言語ベース、事務用パソコンで有利なExcelの活用を試みました。

 内部波造波抵抗の計算では、低速域での急峻なhumps、hollowsが現れることが予想されるため、これらの極大値、極小値の計算には計算時間の関係で断念し、無次元速度の計算間隔を細かに採ることで対応しましたので、極小値、極大値は、真の値より若干小さめとなっている可能性がありますが、内部波造波抵抗の概要を知る上では問題はありません。

 船体(特異点にて形成される物体)の深さ・船長比、D/L=10とし、内部波造波抵抗を際立たせるため、Dは上層の厚さに限りなく近い場合の計算例を図2に示めします。抵抗値は、船の排水容積にて無次元化してあります。海水密度ρ、船の速度U,排水容積を∇とすれば、無次元抵抗は数式().jpgです。なお、速度は船長Lベースの無次元速度、Froude数です。

 静穏な海で稀に気付いて体験する内部波造波抵抗起因の船体抵抗の増加は、極めて低速域で発生し、船が自由表面に波紋を広げる速度域では、既に消滅してしまうことが分かります。この内部波造波抵抗は、内部波が減衰せず伝播する場合の値であり、実際には、波の不安定性問題のため図にように大きな抵抗増加にならず、内部波起因の造波抵抗を感知できる機会は多くはないと考えられます。

 このような解析手法を駆使する簡便な方法によっても、内部波による深淵な世界の一端を改めて見ることができるのです。

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密度成層に起因する内部波造波抵抗(著者作成)


客員研究員 北川弘光


Ocean Newsletter No.429 [2018年06月20日(Wed)]
No.429が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 

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●内海水先区の水先と将来を見据えた取り組み
内海水先区水先人会副会長◆増井 眞

内海水先区は、瀬戸内海を業務範囲とする日本最大の広域水先区である。
この風光明媚な多島海景観の中で行われる水先は特徴的で、浪漫に溢れているが、
他の海事産業と同様に後継者問題を抱えている。
内海水先区の実情と現在の取り組みを通じ、水先の将来の在り方について考えてみたい。


●生態系を基盤とした防災・減災(Eco-DRR)の国際的動向
大正大学地域構想研究所教授、IUCN日本リエゾンオフィス・コーディネーター◆古田尚也

近年、世界的に防災・減災の分野で生態系を基盤としたアプローチ(Eco-DRR)や
グリーンインフラと呼ばれるような取り組みが注目を集めているようになってきた。
これらの取り組みはとくに沿岸地域で活発に適用されている。
こうしたEco-DRRをめぐる最新の国際的動向を紹介するとともに、
わが国におけるこうした取り組みの促進を提案する。


●高校を核にした産学官連携による地域振興とキャリア教育の推進
前新潟県立海洋高等学校長◆久保田郁夫

新潟県立海洋高等学校は、「高校生の力を地域産業に活かすまちづくりプロジェクト」として
地域課題に取り組み、文部科学省の専修学校による地域産業中核的人材養成事業で、
人づくりを目標に、企業や大学などのプロフェッショナルな人材と連携し、
「実学重視」を教育理念としたCOOP教育、産学官連携教育を実施している。


●編集後記
同志社大学法学部教授◆坂元茂樹


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Posted by 五條 at 11:20 | Ocean Newsletter | この記事のURL | コメント(0)
海のジグソーピース No.84 <CO2排出ゼロに向けた国際海運の課題> [2018年06月13日(Wed)]

 パリ協定で定めている平均気温上昇2度未満の実現には、CO2排出ゼロ(注1)の達成が必要不可欠です。そのためには、各国による取組みに加え、業種や技術分野別の知見に基づく実現性の高い排出削減方策の検討が求められます。2018年4月に定められた国際海事機関(IMO)のGHG(温室効果ガス)削減戦略では、国際海運について「今世紀中のできるだけ早い時期のGHG排出ゼロ」を目指すとされています。国際海運のCO2排出量は、全世界の約2%を占め、ほぼドイツ1国に相当します。そのCO2排出ゼロをどう追求し達成するのか。今回は今世紀後半に向けた国際海運のCO2排出ゼロを考えてみます。

 国際海運の輸送量については、世界貿易が拡大する中でエネルギー変革とデジタル社会がキーワードです。経済協力開発機構(OECD)には、エネルギー変革により、太陽光発電などの再生可能エネルギーが、石油、天然ガスを追い越し最大の電源になることで、向こう20年で、石炭・石油の輸送量がそれぞれ50%、30%程度減少するとの見方があります。

 さらに、ロボット化やAIなどの技術革新は、輸送距離の短い域内貿易を進める可能性があります。人件費の安い国での生産は不要となり、3Dプリンターが消費地近くでの生産を加速し、玩具、プラスチック製品の輸送減少などにより、コンテナ貨物の3割が影響を受け、リサイクル社会の進展も原材料輸送に影響すると推算されています(注2)。

 では、船舶の燃料はどうなるでしょうか。国際海運では化石燃料の燃焼によるCO2排出がそのほとんどを占めており、国際海運のCO2排出ゼロは化石燃料からの転換を意味します。LNG燃料は、化石燃料と比べ20〜30%程度CO2排出量を削減しますが、CO2排出ゼロという目標を考えるとき、長期的に魅力的な燃料と言えるのかということがあります。バイオマス燃料は、国際民間航空機関(ICAO)が、長期的対策として挙げている燃料ですが、供給量の限界と併せて、価格競争力のある航空輸送に国際海運が燃料調達で劣後することを懸念する声もあります。燃料電池、水素燃料、アンモニア燃料なども候補ですが、まだまだ開発段階です。国際海運の大規模な需要を満たす、炭素を使わない手軽な代替燃料は、まだないのが現状です。

 こうみてくると、CO2排出ゼロ実現の鍵は、IoT、AI、ビッグデータなどによるデジタル社会のロジステイックスの動向と化石燃料に代わる新たな低炭素技術の実装という技術イノベーションによるところが大きいと思われます。技術イノベーションは、CO2排出ゼロの目標達成のために不可欠であるだけでなく経済へ様々な恩恵をもたらし、SDGs(持続可能な開発目標)達成との両立を可能とするものです。

 スウェーデン船主協会は2050年までのCO2排出ゼロを宣言しています。我が国でも、リコーやパナソニックなどが2050年のCO2排出ゼロの目標を設定しています。CO2排出ゼロに向け、国際海事セクターの取組みの具体化・本格化が期待されます。

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世界で初めて船級検査に合格した3Dプリンターによるプロペラ
(出典:By courtesy of Damen)


注1 ここでいうCO2排出ゼロは、森林吸収なども考慮したCO2収支ゼロを意味します。
注2 OECD International Transport Forum, “Decarbonizing Maritime Transport -Pathways to zero-carbon shipping by 2035-”

特任調査役 秋田 務


海のジグソーピース No.83 <世界海事大学(WMU)笹川奨学生日本研修2018> [2018年06月06日(Wed)]

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日本財団ビル前にて

 今年も恒例の「WMU笹川奨学金プログラム」事業の一環として、5月に実施した「WMU笹川奨学生日本研修」をご紹介したいと思います。

 日本財団の支援により当財団が事業運営を行っている「WMU笹川奨学金プログラム」は、1987年より世界海事大学(World Maritime University:WMU)に学ぶアジア太平洋地域出身海事関係者を主な対象者として奨学金を提供しており、その受給者の総数は2018年度入学者31名を含む累計642名(74ヵ国)となりました。本奨学事業の詳細は以前ブログにてご紹介させていただいておりますので、こちらをご覧ください。

 そして、本事業の一環として毎年奨学生(在校生)を日本に招へいし、我が国における海事・海洋の現状の理解を深める機会を「WMU笹川奨学生日本研修」として提供しており、今年(2018年)は5月13日(日)から1週間、29名(23ヵ国)のWMU笹川奨学生ならびに大学からProf. Aykut I. Ölcer(アイクット・オーチャー教授)及び教務課職員のMr. Peter Marriott(ピーター・マリオット氏)が随行者として来日しました。

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(株)カシワテック 筑波工場にて放水銃による放水実験

 奨学生一行は13日(日)に成田空港に到着し、翌日から日本財団笹川陽平会長表敬をはじめ、国土交通省海事局表敬、(株)カシワテック、筑波宇宙センターJAXA、有明水再生センター、東京海洋大学(越中島キャンパス)、東京港視察、ヤンマー(株)尼崎工場、大阪ガス(株)泉北製造所第二工場、(株)IHIインフラシステムなどを訪問しました。また、日本文化にふれるべく、京都嵐山の天龍寺や竹林散策、金閣寺などを訪れ、京都観光を楽しみました。

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京都金閣寺にて

 以前、当ブログ内に「世界海事大学(WMU)笹川奨学生日本研修」と題した昨年(2017年)の日本研修の様子を掲載しましたが、その際に私は奨学生を日本へ招へいするにあたり、宗教上の理由から食事の手配には特に気を遣わなければならないと書きました。今年はその要素に加え、イスラム教徒が日の出から日没まで「断食(サウム)」を行うラマダンの時期と重なってしまい、例年以上に食事に関する諸手配や準備に時間と労力を要しました。同時に、水分補給も許されない日中に脱水症状などの深刻な状況にならないか心配でなりませんでした。このような状況でしたが、幸い大きなトラブルもなく、今年も本研修を成功裏に終了することができました。

 最後に、本研修の実施にあたり、訪問先関係者やレセプションへ参加いただいた方々へ深く御礼を申し上げますとともに、引き続きWMU笹川奨学事業へのご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

海洋教育チーム長 市川 慎一

Ocean Newsletter No.428 [2018年06月05日(Tue)]
No.427が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海洋利用に関する合意形成のガイドラインについて 〜「海洋空間計画」の策定に向けて〜
東京大学大気海洋研究所教授◆道田 豊
東京大学公共政策大学院特任准教授◆諏訪達郎

洋上風力発電施設の設置等海洋の利用法が多様化する中で、
海洋利用に関する合意形成の重要性は増大している。
東京大学海洋アライアンスでは、公益財団法人日本財団の助成をいただいて
進めてきた研究成果を基に、2017年10月にガイドラインを公表した。
ここでは、ガイドライン作成の経緯、主な内容について紹介したい。


●近代日本の海運史を伝える 〜日本郵船歴史博物館と日本郵船氷川丸〜
日本郵船歴史博物館学芸員◆鈴木久美子

日本郵船歴史博物館と日本郵船氷川丸は、近代日本の海運史を通じた
海事思想の普及活動が認められ、2017年に第10回海洋立国推進功労者に選ばれた。
今年4月で竣工から88年を迎えた氷川丸をはじめ、同博物館は、
近代日本の海運史を伝えるための遺産の保存と活用に25年にわたって努めてきた。
現在は、未来の日本の海運にむけて、海運業の認知度を高め、船員を志す人を増やすための活動にも取り組んでいる。


●海老菓子にかける「夢と心」
桂新堂(株)代表取締役社長◆光田敏夫

桂新堂(株)は、創業150余年、初代光田慶助が日本で初めて海老せんべいを
完成させて以来、一筋に味を極め続けてきた。
自然や四季の移り変わり、歳時を大切にする日本人の心、先人たちが育んできた
和の伝統や文化を大切にしてきた。
これからも美味しい海老菓子を創りながら、えび漁業が今後も永続できるように
応援しつつ、日本の心を後世に伝えていきたいと考えている。


●編集後記
東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる


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Posted by 五條 at 19:54 | Ocean Newsletter | この記事のURL | コメント(0)
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