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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米中関係と新秩序 [2009年08月19日(Wed)]
ワシントン・ポスト8月19日付で、Henry A. Kissinger元米国務長官が、中国の力の増大に適応する新たな国際秩序をいかに構築するかについて論じています。

すなわち、米中の経済関係を解決する処方箋は、中国が消費を拡大し、米国が消費を節減することだと言われるが、それをすれば、中国の米市場依存度が減る代わりに周辺諸国の中国依存度が増し、中国の政治的影響力が増すことになる。その調整のために米中が協力することは、両国が共に覇権国の伝統を持つので容易ではない、

しかし、米国は、冷戦時代の封じ込め政策の誘惑に抗しなければならないし、中国は、米国の覇権を排するアジア共同体などの構想は差し控えなければならない。また、それとは逆の、米中2国で重要案件を決めていくG-2構想も、他国のナショナリズムを刺激するから避けなければならないし、アジア諸国が古典的なバランス・オブ・パワーに戻って対立するブロックを形成することも避けなければならない、と述べて、

力の重心がアジアに移った今、米国は米国以外の国もそれぞれの志を遂げられようにしながら、米中協力を推進し、覇権とは異なる指導力を発揮する役割を求めるべきだ、と言っています。

この論説で、キッシンジャーは避けるべきことを列挙するだけで、具体的な提案は何もしていないように見えますが、実は二つの事ははっきり言っています。

一つは、中国中心の東アジア共同体に対する反対であり、もう一つは、日本などが主唱する「自由と繁栄の弧」のような考え方に対する反対です。前者への反対は、米国が西太平洋国家であり、東アジアの共同体から外されるべきでないとする米国の基本的立場からして当然と言えるでしょう。

問題は後者への反対です。これは米国にとって将来の具体的な選択肢の一つであり、現にそうなる可能性もあるのに、キッシンジャーがこうまではっきりと反対を表明しているのは、やはり彼の親中傾斜の表れに思えます。

要するに、結局は、米中対話を中心に諸事万端決めて行こうということであり、今後のオバマ政権の動向、日本における政治的潮流の変化によっては、少なくともある期間、これが現実となる可能性は排除できません。これに対しては、日本としては、米中対話が、実質上は日米同盟対中国の対話であること、すなわち事前の日米間の十分な協議の上に立つことを確保できれば、日本の国益は守られると思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:56 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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