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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ガザ情勢1 [2009年01月01日(Thu)]
イスラエルによるガザ攻撃が中東、さらには世界に波紋を広げている中で、ワシントン・ポスト1月1日付は、元イスラエル国防副大臣でStrong Israel党党首のEphraim Snehの論説を載せています。

スネーは、イスラエルは2005年にガザから撤退、入植地も撤去したが、クーデタでガザの政権を掌握したハマスはガザをイランの軍事基地にしてしまい、連日イスラエルにロケット弾を撃ち込んでいる。これはいかなる主権国家も容認できない事態であり、これが今回のイスラエルの攻撃の理由だ、

ただし、イスラエルの目的はロケット弾を止めることではなく、ハマスによるガザ支配を終わらせることにある。これは地上戦でハマスを打倒することで達成できるが、出口が見えないのでこれは魅力的な選択肢ではない。そこでもう一つの選択肢は、ハマスの軍事力の完全な破壊とパレスチナ自治政府任命の行政府によるガザ統治を含む、包括的解決への合意を成立させることだ、

こうした合意には、国際的、地域的支援が必要だが、トルコ、エジプト、サウジは役割を果たせるだろうし、シリアも役割を果たせば、米、イスラエルから評価されよう。逆に言えば、こうした合意なしにガザ戦争は終わらないし、イスラエルがそれを終わらせる理由はない、と言っています。

この論説は、イスラエルの目的がガザでのハマス支配の終焉であることを明確にするものです。しかしトルコのエルドアン首相は今回の攻撃を「犯罪行為」と呼び、エジプトはハマス支持デモにゆれ、シリアはイスラエルとの間接和平交渉を取りやめる中で、これらの諸国の協力を期待するなど、スネーのこの意見は非現実的です。

ハマスはパレスチナの選挙でファタハを上回る支持を得た正統性を持ち、その支持者は西岸、ガザの多数派と言っても過言ではありません。従って、ガザを再占領する以外、ハマス権力の排除は非現実的な戦略目標であると思われます。ガザは面積も大きくないので、イスラエルがひどい泥沼に陥るとは思えませんが、無理な戦略目標は泥沼への道への一要素でしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:29 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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