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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中東ドミノ論 [2008年12月21日(日)]
トルコのエルドアン首相の外交顧問ダヴトグルなどが、来年、中東で行われる一連の選挙の結果が中東情勢にドミノ的影響を与える、と分析していることを、ワシントン・ポスト12月21日付でコラムニストのDavid Ignatiusが紹介、オバマ政権は中東政策を立案するにあたってこうしたトルコ側の分析に注意を払うべきだ、と論じています。

イグネイシャスは、これらの選挙について、@パレスチナのアッバスの任期が1月9日に終わり、アッバスがハマスと和解して任期を延長する可能性もあるが、大統領選と議会選の実施となる可能性もある、Aイスラエルの総選挙が2月10日にあり、現在優勢な強硬派のネタニヤフが勝利すれば、米国のイスラエル政策は困難になろう、Bイラクで1月31日に地方選挙があり、これはイラク安定化につながるかもしれないが、他方、宗派間の対立激化につながる恐れもある、C4月にはレバノンで選挙があり、サウジとイランは既に支持する候補への資金的支援を始めている、D6月にはイラン大統領選があり、アハマディネジャドが権力の座にとどまるか否かが決まる、と指摘し、

トルコ側はこれらの一連の選挙がうまくいけば中東情勢は好転するが、そうでないと情勢はさらに悪化すると分析している、と述べています。
(なおダブトグルは、トルコの外交政策をヨーロッパ重視から地域諸国重視に転換した人であり、シリア=イスラエル和解を仲介しました。)

来年、中東では一連の重要な選挙があり、トルコがこれらの選挙を一体的に捉えて、その中東情勢への影響を分析しているのはよい視点です。

今のところ、イスラエルではネタニヤフ勝利が予想され、パレスチナについては、ハマスとファタハの和解が失敗して選挙となれば、西岸・ガザの分裂の先鋭化が予想されます。イラク、イランの選挙はどうなるかはまだよく判りませんが、石油価格の下落で経済が苦境に陥り、アハマドネジャドの『ばら撒き』政策が限界に来ているイランの選挙は特に注目に値します。他方、レバノンについては、選挙で現状が大きく変化することはないと思われます。

旧宗主国であるトルコは中東問題では往々的確な情勢判断をします。オバマ新政権がトルコの分析も尊重し、特にトルコが仲介しているシリア=イスラエル和平で役割を果たせば、地域情勢に良い方向でのドミノを起こしうるかもしれません

ただそのためには、ヒラリー・クリントン新国務長官がニューヨーク州選出の上院議員としてイスラエル寄りの主張をしてきた姿勢から脱皮し、アラブの信頼を獲得する必要があります。


(次回更新は1月5日)
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:34 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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