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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米ロシア関与政策論 [2008年12月13日(土)]
ワシントン・ポスト12月13日付でクリントン政権時の国務次官補、Ronald D. Asmusが米国の対ロシア関与の必要を辛口の立場から説いています。

アスムスは、米国にとってロシアは競争相手だが、イラン問題や反テロでは協力相手でもある。そのロシアはナショナリズムを強め、西側の価値観の浸透やNATO拡大に抵抗して、旧来の「勢力範囲の尊重」を求めている、

しかしNATOの拡大がロシアの今の強硬姿勢を誘発したとの見方があるが、NATO拡大がなければロシア西部国境は今のように安定しなかっただろう。またロシアは、1990年代に西側から屈辱的な扱いを受けたと言うが、実際には西側は第2次世界大戦以来最大の支援をロシアに与えた、と述べた上で、

いずれにしてもロシアには関与すべきだ。最近のメドヴェジェフ大統領の欧州安保に関する提案は殆ど関心を払われていないが、我々はこれを拒否するよりむしろ乗って、民主主義、平和、「勢力範囲」思考の放棄、OSCEの強化、予防外交、核軍縮等の内容を付加するべきだ。つまり、積極的に討って出るべきであり、またオバマ政権の下で米国は、再び多国間のリーダーシップを取りやすくなるはずだ、と言っています。

戦後、NATOが強化の節目を迎えるたびにソ連は「全欧安保会議」開催を提案してNATO強化の勢いを殺ごうとしてきましたが、NATO設立60周年の妨げにならず、関係諸国に余裕があるのであれば、アスムスが言うように「メドベジェフ提案に乗ってこちら側に都合のいい要素を盛った」会議を開くことも十分可能でしょう。欧州方面では殆ど孤立しているロシアに主導権をとられる心配はないからです。(ただその場合は、南オセチアとアプハジア問題が障害になるでしょう)

また西側では「ロシアの脅威の復活」が通念となっていますが、世界的金融危機で経済に大打撃を受けたロシアの地位は、再び下降トレンドに入っており、軍備増強の動き(元々具体化さえしていない)にブレーキがかかる可能性があります。

なお、アスムスは、「NATOの拡大は公正な安全保障圏の拡大」だと安易に言っていますが、ロシアにしてみれば、それこそが米国の一極支配の拡大、ロシアの服属化なのであり、それについて米国が無神経なことがロシアとの摩擦を生むのです。

しかし、ソ連崩壊で生じた力の真空はいずれかの勢力が安全を保証しないと不安定化します。ただ、その力とモラルを欠いたロシアは、旧ソ連圏諸国の独占を策すべきではなく、その代わりに、世界は、ロシアの国境不可侵につき保証を与えるべきでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:27 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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