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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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タイ情勢 [2008年12月01日(月)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン12月1日付でコラムニストのPhilip Bowringが今回のタイの騒乱に関連し、最近滅んだネパール王制の例をひいて、タイ王室の前途に警告を発しています。

バウリングは、タイ王室は今回の事件について沈黙を守っているが、王室周辺が反乱側のPAD(人民民主同盟)に同情的なのは明らかだ。このままだと、国王の継承者には現国王ほどの権威が無いので、将来、タクシン陣営や、タクシンに対抗する軍司令官側から王権が軽視される可能性がある、と指摘して、ネパール王制滅亡の教訓から学ぶべきだと言っています。

状況が全く異なるネパール王制滅亡との比較はやや乱暴ですが、この論説の分析は概ね正確であると思われます。PADとは名ばかりで、実体は都市エリート層であり、タクシンが掘り起こした貧農の政治勢力に対して抵抗している、とバウリングは見ています。だから民主主義に反するものだ、とまでは言っていませんが、言わんとしているのは、そういうことでしょう。

国民の王室への信頼が王位継承後どうなるかについては、よくわかりませんが、継承後も何とかなるのではないかというのが一般の希望的観測でしょう。いずれにしても内閣は総辞職し、PADは空港封鎖を解除するので、事態はやがて沈静化すると予想されます。

その後は、暫定内閣が発足して、総選挙を行うことになりますが、その前に、議会の70%を任命制にする選挙改革ができるかどうかは不明です。

従って選挙まで数か月は治安が回復し、元のタイに戻るでしょうが、いったんタクシンが掘り起こした貧農層の票は依然多数でしょうし、もう一騒動ある可能性も排除できません。ただ、その場合、今回のようにタイ経済や外国人に悪影響を与えるような行動は、今回の反省もあり、もう起こらないことを期待したいものです。もしこうした事態が繰り返されるようなら、我々の知っていたタイという国は変質したということになります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:48 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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