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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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北朝鮮不安定化のシナリオ [2012年01月05日(Thu)]
米AEIのウェブサイト1月5日付で、同研究所のMichael Mazzaが、朝鮮半島の安定が重要とされているが、北朝鮮情勢、北東アジア情勢は急速に悪化する可能性があるとして、北朝鮮が不安定化する5つのシナリオを挙げています。

すなわち、今後北朝鮮で起きうる事態として、@継承の成功:これは、核開発を進め、戦争行為・拡散・麻薬取引を行ない、テロ組織とも関係を持つ北朝鮮が続くことを意味する。世界の指導者はこんな安定は望んでいないだろう、A親族内の対立:とりあえず張成沢が摂政の役割を果たすが、金正恩が間もなく自己主張を始めて張成沢と対立、それに金敬姫も巻き込まれ、軍や労働党も割れる、B軍によるクーデター:軍が金正恩の支配に抵抗する、C韓国への挑発と報復:金正恩が強者として軍の信頼を獲得するために韓国を挑発、韓国は北の思惑に反して北の基地を攻撃するなど報復に踏み切る。そうなったとき、金正恩には全面戦争を阻止する権威はない、D中国軍の侵入:北朝鮮からの難民流入を懸念する中国は、北が国境閉鎖と難民流出防止に失敗した場合、人道的危機を理由に北朝鮮に軍を派遣する、という5つのシナリオが考えられる、と言っています。


マッザの指摘するシナリオはいずれも可能性があるものです。こういうシナリオを分析し、各ケースについて対応を大ざっぱにでも考えておくことは、いざという時に適切に対応する可能性を高めてくれます。その意味でこういう論説は役に立ちます。

ただ、マッザも指摘するように、金正日死去後、朝鮮半島の「平和と安定」の維持が関係国の一つの標語のようになっていますが、中国と日米韓はこの標語をそれぞれ違う意味で使っているのではないかと思われます。

たとえば、中国は盛んに半島の「平和と安定」を強調していますが、これは要するに、金正恩への権力継承がうまくいくよう応援する立場、現状維持を願う立場からの「平和と安定」です。

他方、日米韓は、金正恩への権力継承が上手くいくように応援する必要はありません。日米韓は、北の暴発は困るが、北が良い方向で変化することを希望すべきであり、それが朝鮮半島の「平和と安定」につながるという立場をとるべきでしょう。

また、中国は難民への心配からだけではなく、事態がマッザの言う第2、第3、第4のシナリオのように展開した場合も、介入し、安定化を図る可能性が高いと思われます。北の政府あるいはその一部の要請を受けて、軍を北朝鮮に入れることはありえますし、中国には北にそうした要請をさせるぐらいの根回し能力はあるでしょう。歴史的にも、そうやってソ連がハンガリーやチェコに介入した例があります。

そうなった場合、このままでは日米韓は手をこまねいていることになるのではないかと思われます。朝鮮半島の「平和と安定」について、中国のイメージと日米韓のイメージには差異があることを認識して、対応することが肝要でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:00 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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