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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ビルマ民主化の地政学的意義 [2011年12月02日(Fri)]
米ジャーマン・マーシャル・ファンドのウェブサイト12月2日付で、同ファンドのWilliam Imbodenが、クリントン国務長官のビルマ訪問は、非民主主義国の民主化を推進する意義と同時に、アジアの戦略的状況を変える重大な意味がある、と論じています。

すなわち、ビルマの動きは、勢力バランスの変化は時に民主的改革を誘導する、という興味深い洞察を与えてくれるものだ。つまり、ビルマの指導者は本当に民主主義を望んでいるかもしれないが、同時に、そこには強くなる中国の束縛やエネルギー重商主義とは距離を置き、インド太平洋の民主国家や西側世界と新たなパートナーシップを築きたい、という願望や計算もある。ベトナムでも、中国の覇権に対抗して対米関係を改善するめに少数派宗教の扱いがよくなった、

ということは、ビルマの改革は、人権論者と同時に勢力バランス重視の現実主義者をも喜ばせるものだろう、

さらに、ビルマの改革は、中国やロシア、あるいはインドに対し、専制主義的資本主義の限界を示すものかも知れない、と論じています。


人権と民主主義推進の米国的価値観は、権力政治上の利益にも合致すると言って、米国とビルマの接近を歓迎している論説です。ビルマの国際社会復帰を希望する日本にとっては、もとより歓迎すべきものです。

ただ、この論説でも米国の態度は中途半端です。米国のビルマ政策の従来の問題点は、人権、民主主義などの問題で、中国と比べてダブル・スタンダードを採ってきたことで、中国に厳しく出来ない分だけ、議会対策でビルマに厳しかったところがあります。今でも、米国の論者の多くは、ビルマに対し、一部の政治犯ではなく、全員釈放を国交正常化の条件とすべきだと主張していますが、中国に対して同じ要求をすることは現状ではとうてい考えられません。

むしろ中国の脅威が最大の国際問題であるという今、中国に対してより厳しいダブル・スタンダードがあってもおかしくない状況です。

ただ、いずれにしても、戦略的、地政学的に、ビルマ接近論が米国に表れて来た今は、日本にとってビルマとの関係改善の好機でしょう。

それにしても悔やまれるのは、日本とビルマをつなぐ人脈が過去数十年の逸機の間に無くなってしまったことです。最後のいわゆるビルキチ(ビルマ狂い)は伊藤忠の高原友生氏でした。彼が士官学校を卒業して任官し、ビルマ軍参謀部に赴任した時は、在ビルマ日本軍全軍の中で最年少だったと言われますが、その高原氏が2年ほど前に亡くなっているのですから、それより年上のビルキチはもう誰もいないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:11 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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