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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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日本政治への失望 [2011年06月02日(Thu)]
National Review Online 6月2日付で、米AEI日本研究部長のMichael Auslinが、日本を「断崖から突き落とそうとしている」日本の政治家を痛烈に批判し、民主的日本が失敗すれば、最大の敗者は日本の国民だが、民主主義世界も代価を払うことになる、と論じています。

すなわち、菅首相は不信任を避けるために、原発危機と地震後の再建に取り組んだ後、退陣すると約束したが、辞任時期を確定せず、生き残りを図った。しかし、ずる賢い政治家でも、良い政治家でさえもない菅がこれで時間や支持を稼げるわけがない。また、民主党や自民党の日和見の政治家は菅以上にみっともない、

これで日本はこの5年で5人目の死に体の首相を持つことになった。過去10年の日本政治の変動は日本の政治制度の安定性は示したものの、日本人は日本が世界の中でますます意味を失い、憐みの対象になっていくのを見てきた。日本の政治家は国民の期待に答えていない。彼らは将来に向けての現実的なビジョンも、経済成長の手段も提供せず、日本では倦怠感が増大している、

ではこれは問題なのか、と言えば、日本専門家がそうだと主張することは難しくなってきている。世界は縮小してしまった日本にとっくに適応しており、経済成長や政治的活力の新しいセンターを他の場所に見出している。不幸にしてその中心は、隣人を脅し、銃を突きつけて国内安定を得て経済成長している、腐敗した権威主義政権の中国だ。民主的日本の失敗とこうした中国の成功は、世界を大いに心配させている。ところが、互いを闇打ちすることに忙しい日本の政治家は、自分たちが日本という国を断崖から突き落とそうとしていることに気づいていない。最大の敗者は日本国民だが、自由で民主的な世界もまたこのことで代価を支払うことになる、と言っています。


オースリンは親日的な人で、米世論に対し日本の立場を好意的に紹介し、震災後も日本社会の強さを称賛する記事を書き、「日本の重要性を見誤るな」との論を張ってきた人です。しかし、今回の菅内閣不信任決議の件で、日本の政治家の言動にあきれて、日本の政治家批判のこの論説を書いたのでしょう。

日本の政治が混迷し、十分に機能していないことは紛れもない事実であり、オースリンの批判も当たっているので、なにも言うことはありません。しかし、日本は民主主義国ですから、こういう政治を許容している責任は最終的には国民にあり、従って国民もこのことは真剣に考えてみる必要があるでしょう。

また、日本は破綻国家ではありませんが、民主的な日本が失敗し、権威主義の中国が成功しているという構図は、自由で民主的な世界が心配すべきことだ、という指摘もその通りです。今後、東アジアがどうなるか、自由民主主義が適切だという考えが受け入れられる地域になるのか、あるいは独裁の方が効率がよく、経済も成長すると言う考えが受け入れられる地域になるのかについて、日本は重要な役割を持つ、という認識を私たちは持つべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:39 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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