イスラエルの核と中東の秩序
[2010年08月24日(火)]
国家安全保障会議の中東・南アジア部長を務めたBruce Riedelが、National Interest誌で、イスラエルによるイラン攻撃を阻止するには、米国がイスラエルに核の傘を提供する等、イスラエルの抑止力を強化し、イスラエルが中東での核兵器独占の維持に固執しないようにする必要がある、と論じています。
すなわち、イスラエルが自国の安全保障の重要な要素と見てきた中東での核兵器独占が、今イランから重大な挑戦を受けている。イスラエルは、@右派も左派もイランの核兵器は国家存続への脅威と見ている、A外交や制裁が効果を上げるとは思っていない、B米国が武力行使するとも思っていないため、核兵器独占を維持しようとイラン攻撃に踏み切る可能性がある、
しかしこれは大惨事につながる。イランは米国も攻撃を支持したと考えて、米イスラエル両国に報復するだろう。しかも、攻撃はイランの核開発を遅らせるだけで、撤廃はできず、イランは侵略の犠牲者として、おそらくNPTを脱退するだろうし、対イラン制裁への支持も消えるだろう、
米国には先端軍事技術の提供をやめるなど、イスラエルへのテコを持っており、それを使うべきだ。しかし、イスラエルに攻撃をやめさせるということは、中東での核兵器独占を断念させるということであり、それを説得するには、イスラエルの抑止力を強化するしかない、
他方、イランの行動には問題があるが、イランは1979-81年の人質危機の時も、カーターが軍事的対決の姿勢を示すと後退、1988年のペルシャ湾での米イラン海軍の対決でも停戦に応じており、イラン・イラク戦争でも大量破壊兵器を使わなかったように、破局につながる行動は避けてきた。イランを抑止することは可能だ、
そこで、2000年のキャンプ・デービッドで提起された、米イスラエル相互防衛条約をもう一度検討できよう。イスラエルの核は抑止力になるが、イスラエルを攻撃すれば米国から報復されるとイランが知れば、もっと抑止されるだろう。ワシントンが今行動して、イスラエルの核能力を強化することだけが、イスラエルによるイラン攻撃を抑止し得る、と言っています。
米・イスラエル安保条約は2000年のキャンプ・デービッド会談後、イスラエル政府内で検討されましたが、イスラエル人の「民族的体験は他民族の安全保障約束など信用できないことを示している」として反対論が強く、成立しませんでした。ライデルがこの間の経緯を知らないはずはなく、なぜこういう提案を今イスラエルが受け入れると思っているのか、謎です。
イスラエル人はホロコーストの経験ゆえにイランの核への警戒感は強く、イラン攻撃に踏み切る可能性はあります。現在の弱い制裁や外交の行き詰まりにイスラエルが苛立ちを強めていることは間違いありません。
イスラエルのイラン攻撃は石油輸送の大動脈、ホルムズ海峡の通行をかく乱し、世界経済、日本経済に重大な影響を与えます。イスラエルにイラン攻撃を断念させるためには、イスラエルの懸念を真剣に受け止めた措置を考える必要がありますが、なかなか良い知恵がないのが現状です。
すなわち、イスラエルが自国の安全保障の重要な要素と見てきた中東での核兵器独占が、今イランから重大な挑戦を受けている。イスラエルは、@右派も左派もイランの核兵器は国家存続への脅威と見ている、A外交や制裁が効果を上げるとは思っていない、B米国が武力行使するとも思っていないため、核兵器独占を維持しようとイラン攻撃に踏み切る可能性がある、
しかしこれは大惨事につながる。イランは米国も攻撃を支持したと考えて、米イスラエル両国に報復するだろう。しかも、攻撃はイランの核開発を遅らせるだけで、撤廃はできず、イランは侵略の犠牲者として、おそらくNPTを脱退するだろうし、対イラン制裁への支持も消えるだろう、
米国には先端軍事技術の提供をやめるなど、イスラエルへのテコを持っており、それを使うべきだ。しかし、イスラエルに攻撃をやめさせるということは、中東での核兵器独占を断念させるということであり、それを説得するには、イスラエルの抑止力を強化するしかない、
他方、イランの行動には問題があるが、イランは1979-81年の人質危機の時も、カーターが軍事的対決の姿勢を示すと後退、1988年のペルシャ湾での米イラン海軍の対決でも停戦に応じており、イラン・イラク戦争でも大量破壊兵器を使わなかったように、破局につながる行動は避けてきた。イランを抑止することは可能だ、
そこで、2000年のキャンプ・デービッドで提起された、米イスラエル相互防衛条約をもう一度検討できよう。イスラエルの核は抑止力になるが、イスラエルを攻撃すれば米国から報復されるとイランが知れば、もっと抑止されるだろう。ワシントンが今行動して、イスラエルの核能力を強化することだけが、イスラエルによるイラン攻撃を抑止し得る、と言っています。
米・イスラエル安保条約は2000年のキャンプ・デービッド会談後、イスラエル政府内で検討されましたが、イスラエル人の「民族的体験は他民族の安全保障約束など信用できないことを示している」として反対論が強く、成立しませんでした。ライデルがこの間の経緯を知らないはずはなく、なぜこういう提案を今イスラエルが受け入れると思っているのか、謎です。
イスラエル人はホロコーストの経験ゆえにイランの核への警戒感は強く、イラン攻撃に踏み切る可能性はあります。現在の弱い制裁や外交の行き詰まりにイスラエルが苛立ちを強めていることは間違いありません。
イスラエルのイラン攻撃は石油輸送の大動脈、ホルムズ海峡の通行をかく乱し、世界経済、日本経済に重大な影響を与えます。イスラエルにイラン攻撃を断念させるためには、イスラエルの懸念を真剣に受け止めた措置を考える必要がありますが、なかなか良い知恵がないのが現状です。



