映画監督、黒木和雄氏逝去
[2006年04月12日(Wed)]
宮崎県えびの市出身の映画監督、黒木和雄氏くろき・かずお)氏が亡くなられた。遺作となった「紙屋悦子の青春」の宮崎での上映会について打合せをしようという矢先の話で、実感がわかない。
ATG映画の傑作として有名な「竜馬暗殺」「祭りの準備」を見たのは学生時代だった。社会性が強く、一般の商業映画と一線を画したATG系の映画は「キネ旬」誌上でしか知らなかった田舎の映画少年は、黒木監督が宮崎出身ということも知らなかった。それが「美しい夏キリシマ」の公開を縁に何度かお会いし、宴会もご一緒させていただいたが、初めてお会いした時はただ横に座っているだけで非常に緊張していた。物腰が柔らかく、丁寧な話し振りで優しい方だったが、映画の話やライフワークにしておられた戦争体験などをお聞きした時などはその真摯な語り口や若々しい態度に背筋を伸ばしたものだった。
戦争レクイエム3部作「TOMORROW/明日」、「美しい夏キリシマ」、「父と暮せば」など監督の作品を是非見ていただきたい。そして戦争と平和について考えていただきたい。それが監督への一番の供養だと思う。ご冥福を心よりお祈りいたします