『ころころろ』畠中 恵 (新潮文庫)
[2011年12月17日(Sat)]
畠中恵の「しゃばけ」シリーズの第8弾です。
神の国である日本国には八百万の神様がいらっしゃいます。そんなにたくさんの神様がいらっしゃるならちょっとばかりピントのずれた神様がいらしゃらないとも限らないと思いますよ。 事実、この「しゃばけ」シリーズには付喪神(つくもがみ)という神様か妖(あやかし)かよくわからない神もでてきます。
さて本題。筋金入りの病弱若旦那は江戸でも有数の廻船・薬種問屋の離れで寝ているのだが、目が覚めたら漆黒の世界。若だんなの目が突然見えなくなってしまったからさあ大変。
長崎屋はてんやわんやの大騒ぎが始まったが、どうも原因は生目神である品陀和気命(ほむだわけのみこと)の機嫌を損ねたからではないかというから話がこんがらがっちゃう。
そのうえこの生目神はちょっとおかしい。
どうも宮崎県人のようだが、鷹揚なのかお茶目なのか、ちょっと短気っぽいが根は善人(神)らしい。所在がわからなくて困った妖が仕掛けた、特注「神様用生け捕り罠」につかまったりしちゃう。その上罠に捕まって不貞腐れたりするのだが、目の神様の大本である日向の国の「生目八幡宮」に言いつけるぞと脅されると、とたんにオロロしてしまうのも宮崎県人らしい。
相手が神様だから、齢い1000年を超える大妖怪の仁吉は見世物小屋で悪鬼と一戦交えたり、夢の世界に入り込んだ佐助は可愛い女房をもらったりと大騒動を繰り返す。
今回の人間味たっぷりの妖たちが巻き起こす騒動の大きな流れは、日向の国の「生目神社」信仰です。読後は是非宮崎へどうぞ。