待ちに待ったフロスト警部が帰ってきた。しかも上下2冊の分量で。ということは中身が薄っぺらになるか、事件が大事(おおごと)になりかつ、登場人物たちも生き生きと動き回るかの二つしかない。
小生、自分ではけっこう忙しいと思っているのだがフロスト警部の仕事ぶりをみるとまだまだアマチュア、仕事への取り組み姿勢を根本から考え直さなければならない気がしてきた。
そう言えば昨日電話で聞いたけど、先日開催された大掛かりなフォーラムのスタッフは2日に1日は徹夜だったらしいし、7○歳の女性ボランティアスタッフが毎晩11時近くまで仕事をしていたらしい・・・。ん〜ん、俺は甘いのかもしれん!!
でも、それでもフロスト警部の部下にだけはなりたくないし、イギリスの片田舎デントン市の住民にもなりたくないなぁ〜。
2〜3日の間に、子どもの誘拐事件に、幼児刺傷事件、偽装誘拐に小悪党の殺人事件。幼児3人の殺害とその母親の殺害事件に、空軍の名パイロットだった未亡人宅から発生した勲章の盗難事件等々。大都市ニューヨークなら話がわかるが、片田舎の小都市でこれだけの事件が次々に発生するんじゃ世界でもっとも治安の悪い街であることは間違いない。
まして、デントン市を含む広域警察連合(こんな言葉は本書にはないけど)の幹部連中はあろうことか酔っ払い運転で事故を起こして入院中。その事件を警察署長達が口裏を合わせて隠蔽工作までやっている。すごいねデントン市。どこかの国の農水省と社会保険庁とドッコイどっこい、いい勝負してる。
そんなこんなで、もろもろの大小事件は休暇中のフロスト警部の担当となった。部下にはワンダー・ウーマン部長刑事と虫唾が走る程の上昇志向のイヤナ警部代行が付き、署長のマレットのイヤナ奴度は天文学的に増長している。
でもお立会い! フロストのいい加減、下品、出鱈目、出たとこ勝負、猪突猛進ぶりも格段にヒートアップ。下ネタジョークも磨きがかかっている。丁々発止の舌戦や化かしあいがフルスピードで展開している。ちょっと残念なのはお色気のトーンダウンだけかな。
もともと気のいいおっさんだったフロスト警部は、その人の良さは周囲に理解されず厄介者扱いされ、部下達からも嫌われてたはずだったんだけど、いつのまにか一握りのイヤナ奴集団に唯一対抗する希望の星になっていたようだ。
他人に理解されるには長い年月が必要であるという見本なのかもしれないのだが、傍迷惑は変わらないのだから、マレット署長以下のイヤナ奴度アップの反作用と見たほうが良いのかもしれない。
とにかくお勧め!!読まないと損をする!!