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ワクワク・ドキドキする感動を街の中でいっぱいしたい。
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『名人 志ん生、そして志ん朝』小林信彦(文春文庫) [2007年03月30日(Fri)]
「エ〜ッ、三度の飯よりも落語が好きと言う人がいらっしゃいますが、嘘を言っちゃいけませんですな。本当は皆んな飯、オマンマの方が好きなんです。落語を聴かないから死んだという人の話は聞いたことがない。飯を食わなけりゃ死んじゃいますからね。だから皆んなオマンマの方が好きなんです・・・。まぁ落語なんてそんなもんですからちょっとの間お付き合いを願います。」

 この枕を志ん朝で聞いたように記憶しているのだが、実ははっきりしない。前段のようないい加減な落語好きで、しかも宮崎に引っ込んでからは生の高座に接する機会もほとんどなくなってしまい、忘れたころ志ん生や可楽のCDを引っ張り出して「昔は良かった・・・」と相槌を打つ。まさにご隠居である。

 2001年10月、三代目古今亭志ん朝が死んだ時は信じられなかった。著者は「志ん朝の死によって、ぼくの老後の楽しみはみごとに失われた」と書いている。女優の水谷八重子は「きれいな江戸弁がなくなってしまった。江戸っ子として寂しい。もっと(江戸弁を)聴かせて欲しかった。」と語っていたが著者も江戸弁あっての「江戸落語」でありそれが滅んでしまったことを嘆いている。

 東京の下町生まれの人間として、自分の生い立ちと志ん朝・古今亭志ん生を軸に、東京落語の過去と現在を、自らの体験を織り交ぜて描いている。僕らが昭和の臭いのする町並みを見たときに感じる懐かしさを名人の話芸の上にみていたようだ。思えば贅沢な話である。
 
 江戸弁による江戸落語については何も語れないが、三代目古今亭志ん朝の生の高座を何度も見れたことは幸せだったとしみじみ思う。明るく、粋で、テンポがよく本当の名人だった。夏目漱石ではないが「三代目と同じ時代を生きたってことは幸せですよ」と改めて言いたい。
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