縄文時代がブームになっている。かつての縄文時代のイメージは狩猟採集。そしてその後の弥生時代の稲作文明に吸収されたとされ、日本人の精神的な文化は稲作が行われるようになった弥生時代とされてきた。最近の縄文時代研究では、縄文時代は、1万6千年前から3千年前まで、およそ1万3千年も続き。狩猟採集漁労の他に作物の栽培も一部行われていたことがわかってきた。
気候や地域の生物・産物など自然環境によって人間が影響されるという学問、環境考古学の日本の創設者である安田喜憲先生は、共著「奪われる日本の森」のなかで、縄文が1万年以上続いた理由を縄文人が地球に対して祈る心をもち生きとし生けるものの生命に対して畏敬の念を持ったことがあげられるという。その祈る心を端的に示す例として、青森県八戸市風張遺跡から出土した土偶は、合掌土偶と名付けられた。民俗的に良くみられる座産の出産姿勢から今まさに子どもを産もうとしている女性。地球に新たな生命を誕生させる瞬間に縄文人は地球に対して、生命に対して祈ったのである。
合掌土偶の写真
https://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/education/kokuho_kouko_1.html
また、北海道函館市南茅部遺跡郡の垣ノ島A遺跡からは、大人の墓から足形付土版が出土された。足形付土版は厚さ1から2cmの粘土板に子どもの足形を付けて焼いた土製品が出土した。安田先生は、この足型を見た時体の震えが止まらなかったという。縄文時代は子どもの死亡率が高かった。これは死んだ子供の足型で先に亡くなった子供のことを思い、肌身離さず身に着けるためにペンダントにしたのだろう。足型には、指跡がしっかりついている、土踏まずは見えない。子どもの形見として一生大切にし、亡くなるときに一緒に埋葬されたのであろう。
足形付土版の写真
https://www.akarenga-h.jp/archives/library/704/
安田先生はここに縄文人の生命に対する限りないまでの慈しみと畏敬の念が発露している。そしてこの畏敬の念と地球に対する祈りの心に縄文が一万年以上も持続できた理由が隠されているという。
安田喜憲先生は、現在、静岡県の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」館長であり、2009年からオーライ!ニッポン会議副代表、オーライ!ニッポン大賞審査委員長を就任いただいている。
ふじのくに地球環境史ミュージアム
https://www.fujimu100.jp/
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