7月30日(木曜日)
朝11時にホテルのロビーで日本財団ヤンゴン事務所の所長代理に昇格したばかりの梅村職員と落ち合う。そこへ、MILIのネイリンソーさんが、ウィンタールーさんと一緒にやって来た。帰省先のカナダから今朝、到着したばかりの日本財団スペシャルアドバーザー、渋谷さんも合流して、少し早めの昼食をとる。
12時になった。梅村所長代理と分かれて、渋谷さんと私たちは、MILIの貸し切りタクシーでミャンマーエイペックス銀行へ向かった。
資産規模でミャンマー第4位の商業銀行であるエイペックス銀行は昨年から始まった日本財団による障害大学生の奨学金事業のパートナー。一人につき、3000ドルを上限に無利子で学習用機材の購入のためのローンを提供してくれている。同行はまた、来月から稼働する予定のコールセンターで、当初職員の約半数に当たる10名の身体障害者を採用してくれている。トレーニングルームにお邪魔し、トレーニングの様子を見学、訓練生と雑談のあと、記念撮影。
<MABコールセンターの開設に向けて訓練中>
その次に我々が向かった先は、Blue Oceanコールセンターというところ。ここでは既に36人もの障害者が働いている。そのきっかけとなったのは、昨年3月、日本財団の助言でMILIが開催した障害者インクルーシブビジネスに関するワークショップだという。
このワークショップは、ベトナムやカンボジアなど周辺国で障害者でありながら事業家となって活躍している先駆者を10人ほど招いて、自らの経験を語ってもらうというもの。この場には、ミャンマーのビジネスマンたちを招待した。その中に、このBlue Oceanコールセンターの経営者も来ていたのだと言う。そして、早速自分のコールセンターに障害者を雇用すると言う決断をし、MILIに連絡してきたのだそうだ。
この会社の設立は4年前の2011年末。国営電話会社のMPTとBlue Ocean、イエローページ社、航空会社のアジアンウィングなど計15社の共同出資で創られた。
<Blue Oceanコールセンター内部の様子>
コールセンターは通信省の敷地に作られた体育館のような大きなビルの中にあった。
内部を覗くと、中央の大広間にずらっと一人一人つい立てて仕切られたスペースが作られ、デスクトップコンピューターの画面を見つめる数百人もの若い男女社員の姿があった。また、周囲には、個別企業の名前を科したガラス張りのブースが並び、その中にも若い男女が座っていた。これらは、それぞれの契約企業から派遣された社員だとか。
顧客からの電話番号案内、留学斡旋、旅行、航空券発券などに関する質問に答えるほか、テレマーケテリングなども請け負っている。
サービスは何と24時間態勢。今では700名ものオペレーターが対応。ミャンマー語だけでなく英語でも対応している。サービスは有料で、電話番号が1875と1876の二種類あり、それぞれ別の料金だが、課金は電話料金に加算されて徴収されているという。
ちなみに、1876の由来は、グラハムベルが電話を発明した年なのだとか。
<1876の意味?>
2か所のコールセンターの見学を終えて、我々はヤンゴンの北部インセイン地区にあるMILIの本部に向かった。ところが、なぜかこんな時間に道路は渋滞。本来ならが30分ほどで十分の距離が1時間半もかかってしまった。
MILIの本部に到着すると、20名ほどのスタッフが我々を待っていてくれた。設立後4年の新しい組織であるが会員数は2196人、全国12の州に22の支部、46人のスタッフを抱える組織に成長した。
挨拶もそこそこに、日本語のうまいユヤトゥさんの解説で、ビデオプレゼンテーション。彼らの、ビジネス事業について説明を受ける。
それによると、彼らの初年度売り上げは5万ドルにも達したという。その活動は、場所貸し、トレーニング、プリントショップ、職業斡旋など。既に、職業斡旋実績は36名。コンピュータートレーニングの卒業生は27名。
<MILI本部スタッフに挨拶>
ビデオによるプレゼンの後は、スタッフたちがそれぞれ自己紹介。その後、渋谷さんは事務所の内部、録音用のスタジオや、インキュベーションセンターなどを見学。その間に私は、MILI幹部の連中と、実務打合せ。
MILI本部訪問を終えて、次に、渋谷さんと私が向かったのは、セドナホテル。盲人マッサージ事業の責任者であるアウンミン博士らと会うためである。
一時間くらいかかるかもと余裕を持って出発したのだが、混雑していたのは反対車線。30分ほどで着いてしまった。本当に、時間の読みは難しい。これも、確実に経済的な損失。
渋谷さんにアウンミン博士を紹介。私は、ティンニュント博士を正面玄関で待つ。セドナホテルの裏手に新館ビルが工事中だったのだが、年内の竣工とかで29階建てのビルは全容を見せていた。新館だけで420室もあるそうな。一挙に客室数は2倍以上に増えて大丈夫なのだろうか。道路を隔てた向かいのはベトナム資本による巨大なビジネスコンプレックスが完成間近か。こちらにも、大きなホテルが出来るらしいのだ。
11時 梅村所長代理らと昼食
12時 ホテル出発
12時半 MABコールセンター訪問
14時 Blue Oceanコールセンター訪問
16時 MILI本部訪問
18時 アウンミン博士