11月28日(水曜日)
朝9時、ネピドーから帰って来たばかりのミャンマー障害者自立運動(MILI)の幹部のアウンコミンさんやユヤトゥさんたちと会って、スーチーさんとの会見の首尾を聞く。
元々は、今度の内閣改造の結果、社会福祉大臣が交代し、唯一の女性閣僚として新大臣に就任した、ミャミャオンキン夫人との面談のアポが取れたことから、MILIのメンバーを彼女に紹介するとともに、障害者芸術祭に対する、社会福祉省としての公認を再確認するために、一緒に、ネピドーに行く計画を立てていたのだ。
ところが急遽、MILIは障害当事者代表として、政府から障害者基本法の原案に対する公聴会に招かれ、社会福祉大臣に挨拶。更には、野党代表としてスーチーさんにも面談することになり、一足先にネピドーに行ってしまった。そこで、今回のミャミャオンキン大臣との面談には日本財団アドバーザーのエルウィンさんと私の二人だけで行くことにし、その前に、帰って来たばかりの彼らに会って、会見の様子を詳しく聞いておいて、ネピドーで我々がフォローすることになったのだ。
<アウンコミンさん、ユヤトゥさんらMILIの幹部たちと会う>
アウンコミンさんたちによれば、先だってのオバマ大統領のミャンマー訪問時には、障害者グループを代表してMILIのネイリンソーさんが面会を許されたのだそうな。設立後高々一年余りの若いグループであるMILIが,、スーチーさんと言い、オバマ大統領と言い、極めて名誉ある場に障害者の代表として指名されているというのは、驚くべきことで、彼らの活躍ぶりに改めて驚かされた。
午前10時半、彼らから、詳しい報告を受けたあと、私とエルウィンさんは、二人だけでネピドーへ出発した。元々、MILIの代表メンバーと一緒に行くつもりだったので、借りてあった車は、トヨタのハイエース、7人乗りである。それぞれに、広い空間を贅沢に使える一方で一抹の寂しさもあることは否めない。
ネピドーへ行くときは、いつもは、早朝、まだ暗いうちにヤンゴンを出発するのだが、今日の出発が遅くなったのには、MILIの話を聞くためではなく、もっと別の理由があった。それは、今日が仏教の休日であるため。ネピドーに急いで行ったところで、官庁はお休みなのだ。
<お祭りの飾りを乗せたトラック>
ヤンゴン郊外のとあるお寺に差し掛かると、大勢の人だかり。食べ物や、おもちゃ、衣服など様々なものを売る屋台が道の両側に並んでいる。お寺の参道の前には、大勢の人が乗った小型トラック。その真ん中には、まるで御神輿のように、何やら木の枠に飾り物やお金などを取り付けたものが鎮座している。パデタピンと呼ばれるものだ。
エルウィンさんによると、このお祭りの名前はタザウンダイン。今日は、ビルマ暦の8月、タザウンモン月の満月の日に当たる。善男善女は、お寺にお参りに行き、お坊さんに新しい衣服を捧げるなどお布施をするのだという。えっ、だったら今日はネピドー行きどころではなかったのでは、と私が恐縮して尋ねると、「私は余り真面目な仏教徒ではないので、行ったり行かなかったりだよ」澄まし顔。
<順調にミャンマー唯一の4車線のハイウェイを飛ばしていたのだが>
折しもこの日は、お隣のタイでは、精霊流しや熱気球で有名なロイカトンの日に当たる。ミャンマーでも同じような風習があるのではと尋ねると、シャン州のタウンジーでは、大きな熱気球を空に放つ行事が行われ、大勢の見物客で賑わうのだそうな。
そんな話をしながら、車に揺られていると、突然、車の下で大きな音がしたと思ったら、車体が大きく揺れてストップ。パンクだった。てっきり古いタイヤかと思ってみるとそうでもない。運転手によると、コンクリートの舗装が良くないので、パンクしやすいのだと言う。
<悪路のせいでパンク>
パンクという予想外の事態で時間を食ったのだが、それでも、午後4時半頃にはネピドー到着。ホテルにチェックインし、インターネットの接続にトライ。半時間ほど、色々試みるがうまく行かない。結局、ホテルないのWi-Fiではなく、通信会社のサーバーのトラブルと判明。
一国の首都の、通信事情がこれでは問題だ。エルウィンさんによると、ミャンマー政府外務省が呼びかけているにも拘らず、未だ、ヤンゴンからネピドーに大使館を移した国はないのだそうな。宜なるかなである。
夕方、ホテルのロビーで国境省の人事研修担当のテインテー部長と会う。1時間半ほどかけて、少数民族州の地方公務員に対するシンガポール研修について最後の打合せ。
<ホテルの窓から見た美しい夕暮れ>
その後、ショッピングセンターの近くの中華料理屋で3人で夕食のテーブルを囲んだ。レストランの片側の壁の上にはSONY製の大型の液晶テレビが掛かり、従業員たちが熱心に見つめていた。
その画面に映っていたのは、巨大な気球。シャン州、タウンジーでの満月祭りの熱気球コンテストが全国に生中継されているのであった。
私は、その巨大きさにびっくり仰天。これら熱気球は、タイのロイカトンのものと同じように紙で作られたものだそうだが、違いはそのサイズにある。大きなものは、高さ約10メートル、周囲は7メートル以上にもなるという。
1つの熱気球を完成するのにかかる費用は数万円。何しろ150人もの人々が一ヶ月もかけて作るそうだが、それが200個も集まって巨大な気球の打ち上げコンテストが行われるのだからすごい。
<巨大なバルーンでコンテスト>
09時 MILI幹部と打合せ
10時半 ホテル出発
16時半 ネピドー到着
18時半 テインテー国境省部長
20時 夕食