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アユと郷愁9、10話 [2015年12月28日(Mon)]
ブログへの転載の間が開いてしまってすいません。高橋理事長からの連載です。


私が大田市に移り住んだのは25歳になった時だ。今なら別居結婚も有りなのだろうが、当時の私はまだしおらしかったので、結婚を機に仕事を辞め、夫の転勤地である大田市についてきたのだ。夫は4月、私は仕事の都合で6月に入ってからの引っ越しである。四半世紀もの間、東北で生活し続けた私は、6月のねっとりと体にまとわりつくような山陰の気候になじめず、着いた早々から2か月ほど寝込んでしまった。それが37年前である。(今の歳がばれてしまう…。)

今なら6月と言えばアユの解禁月、とピンと来るのだが、当時は歳時記どころではなく自分の身を保つことで精いっぱいだった。私は東京でキャリアウーマンになり、出勤は電車通勤と勝手に決め込んでいた。だから迂闊なことに田舎では必須アイテム、車の運転免許を取得しないままで来てしまった。知り合いがいない上、車を乗り回す術を持たない人間が大田市に来て一番困ったことは買い物である。バスがあるにはある。しかし、私が住んでいた官舎から一番近くのバス停まで歩くと1qはあるのだ。その上に一時間に一本しか通ってない。乗り遅れたらまた一時間待つことになる。途中で雨にあうこともある。非常なもので歩きが遅かったのか、バスの到着が早すぎたのか、いくら手を振っても気が付いてもらえず、過ぎ去っていくバスの姿を何回見送ったことか!バス停に向かう時は下り坂なのでまだいい。問題は帰りだ。荷物がある。おまけに上り坂になっている。 
 今は無き「サンノア」で調子に乗って買い過ぎた私は歩いては休み、歩いては休んで家を目指す。バス停から約300m先にある銀杏並木を目指すと手前に川が流れている。かかっている橋の名は尋牛橋。荷物をおろし、川風に吹かれながら橋から水の流れを見る。目が慣れてくるとだんだんと魚の姿が見えるようになる。一匹が動くとつられたように一斉に動き出す魚たちの姿に見とれ時間のたつのを忘れる。そう、これが静間川との出会いである。

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※現在の尋牛橋 

夫はスポーツが得意だ。ラグビー、野球、スキーとなんでも入れ込む。しかし、海や川がほんの近くにあるのに釣りだけは手を出そうとしない。2人いる子どものうち、上に男の子、下に4つ離れて女の子を儲けた。私は、ようやく車の免許を取ることができた。困っていた買い物にも苦労しなくなり、生活の行動範囲は以前では考えられないほど広くなっていた。子どもたちは年が違い、男女の遊びが違うため、互いの共通の遊びを探さないと生意気に不満を言う。
 大田に住みついて6〜7年、山陰の気候にも慣れた。その上、雲の流れ方などを見て天気を予報できるようになっていた。観天望気の術を身につけたのだ。雨雲も見えず、ずーと天気が良さそうなので今日は傘を持たずに散歩できそうな日和だ。思いたって2人と手をつなぎ、道草をしながら尋牛橋まで足を延ばした。橋の上から下の静間川の流れをのぞく。見ると魚がすばしっこく泳いでいる。子ども達は魚をめがけ、小石を落とそうとするが当たるはずもない。それでもその波紋に魚たちは驚き、川の中に散らばる。その様子が面白いらしく「あ、あっちに行った。こっちに来た。」とはしゃぐ。橋の下を通り抜ける魚の姿に合わせ、一緒に右に左にチョロチョロする。まあ、滅多に車も通らないので心配はない。
 そのうち、2人とも上で見ているだけでは飽き足らず「下に行く。」と言ってきかない。仕方なく、土手から河原の砂州に下りてみた。すると、橋の上から見ただけではわからない小さな魚やメダカが沢山いる。石をはぐってみる。いた、いた。釣り餌になる川虫が。こうなると、私の狩猟民族の魂に火が付く。「今日は、夫は出張で時間はたっぷりある。」と思ってしまったら止まらない。2人の手を引き土手に上がる。子どもたちも一生懸命ついてくる。家に着いた私たちは、釣り道具を買うためだけに車で町に向かう。ほどなく元の砂州に戻り、釣り糸を垂らす。この時、川虫を捕まえることができない息子を怒ったためだろうか、今でも息子は父親と同じく釣りをしようとはしない。



Posted by ginmori at 20:52 | この記事のURL
おめでとうたける [2015年12月28日(Mon)]
えっちゃんの末っ子たけるくんがこのたび JAしまね女性組織協議会「みどりをまもる小学生作文コンクール」で佳作入賞しました。
作文?!入賞?! そもそも意外な展開なので、一同大喜びです。
JAさんの企画なので田んぼ系の話題が多い中で海岸清掃ボランティアというテーマもユニークでした。

家族がたけるくんをほめていたら、たけるのお姉さんが、そんなボランティアに子どもを連れて行った母さんが偉い!という話にも展開して、とても素敵な家族です。

えっちゃんにかわって私がレポート・・

NPO緑と水はずっとこれまでイベントやボランティアへ家族の巻き込みを続けてきました。海岸清掃もその流れで参加してきました。
たけるくん兄弟姉妹の今後の活躍をさらに期待しています。

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Posted by ginmori at 20:24 | この記事のURL
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