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2017年05月01日

石破茂『日本列島創生論 地方は国家の希望なり』

石破茂『日本列島創生論 地方は国家の希望なり』

新潮文庫、17.4.20

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はじめに   革命は地方から起きる               
・ 今は有事である。人口問題研究所の発表によれば、200年後には人口は
1391万人、300年後に423万人、西暦2900年に4000人になるそうだ。
 国家の存立要件は、国土、国民、排他的統治機構で、このままでは消滅も。
・ 地方創生大臣に任命されるまで、ここまでの事態とは思っていなかった。
超高齢化、少子化は地方に先にやってきた。これまで日本では人口、食料、
エネルギーは地方が生産し、大都市が消費する構造だった。
・ その大切な地方が、消滅しつつある。地方で起きたことは、確実に大都
市圏でも起きる。そのリスクは、原発事故や領土侵犯より高いのだ。こう
した大きなテーマに関して「中央政府に任せておけばいいや」では、もはやどうにもならない!
・ 一時はアベノミクスで株価は上昇したが、景気が良くなった、生活が上向いたという実感を持てない。アベノミクスは、大胆な金融緩和政策・機動的な財政出動だが、いつまでも続けられない。
・ 残念なことに、政治家もメディアも「地方創生」では、日本を甦らせることは無理だと考えている。しかし、そろそろ次のことを前提とすべきだ。
・ これは決して勇ましいスローガンでもなければ、夢物語でもない。明治維新は地方の志士たちによって成就したのであって、江戸幕府が成し遂げたものではない。戦後の日本は、アメリカによって大きく変わったこともあるが、大きな動きは地方から始まっていることの方が多い!
  多くの方々が、他人事ではなく、日本の未来について考えるための一助となれば幸いである。
1.地方創生とは何か
・ 私は、明治以来連綿と続いてきた中央と地方との関係を根底から変えるものであると考える。
  日本国の在り方を根底から変えるもの、単なる地方の振興策に留まるものではなく、日本の在り方を変えて、この国が21世紀も続いていけるようにするためだ。
・ 地方消滅・人口問題の議論が本格化したのは、増田寛也『地方消滅』がきっかけだ。
・ しかし、東京一極集中は、大きなデメリットだ。ドイツの保険会社が、自然災害のリスクを世界主要都市で算出した所、東京がダントツの危険都市であり、首都直下型地震の災害発生の可能性が極めて高い。木造密集住宅が多く、沢山の地下鉄が走っている。地方創生は東京の問題と直結だ。
2.補助金と企業誘致の時代は終わった
・ 新幹線も高速道路もなかった40年以上前、地方は元気だった。それが今は、日本国中駅前は寂れ、商店街は8割近くのシャッターが閉まっている。これまでの公共投資や企業誘致も限界だ。従来型の「夢よもう一度」という発想はもう通用しない!!
・ これからは、今まで陰に隠れて実力を発揮してこなかった農業、林業、漁業、または観光などのサービス業、あるいは介護や医療といった業種が潜在力を発揮し、地方を活性化することだ。
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