朴政権を下野させた『韓国民主主義に学ぶ』
日時: 2017年3月18日
所: 慶應義塾大学三田C第一校舎
主催: 基礎経済科学研究所
はじめに: 大西広(慶応義塾大学教授)
韓国で平和革命が行われた。その報告を頂き、皆で
その要因を考えたい。ベネズエラでは議会と大統領で
勝っても革命にはならなかった。慶応義塾にとっても
重要な「明治維新」も、戊辰戦争と西南戦争の2度の戦争が
必要だった。平和革命が望まれるが、とても困難だ。韓国の
今回の平和革命についてその仕組みを学ばねばならない。
柳東民(韓国忠南大学)https://www.youtube.com/watch?v=qJGKxubPhgY
・ デモの雰囲気を私が撮影した動画で見て欲しい。
毎週土曜日16時から遅くまでデモが続いた。1987年の六月抗争の100万人のデモを知る
身には、今回は平和的でお祭りのようなデモには驚かざるを得ない。その中心が平和的な
市民集会「ろうそくデモ」だった(韓国ではノーベル賞候補にすべきと提案されている)。
・ 今回のポイントは、大統領友人のチェ・スンシルの娘の梨花女子大学への不正入学と、サムソ
ン等からの献金で二つの財団をつくり私的流用が酷かったことだ。10月26日のJTBCテレビ
報道で、チェさんのタブレットPCから疑惑文書が見つかり、大統領もスキャンダルを認定した。
・ 韓国では大統領官邸周辺1kmはデモ禁止であったが、中学生もデモに参加し、社会変革に
なった。昔は暴力があったが、今回は平和革命で、アートパフォーマンスも大きくなった。
・ クライマックスは、16年12月3日、官邸を取り巻く三
道路を閉鎖し、ソウルで150万人、全国で250万人のデモに
なった。大統領支持率が暴落し、与党も大統領の早期退陣に
傾いた。市民が与党議員に一日に2万通のメール作戦や一円
を献金し、領収書を要求する作戦等を行った。極右勢力のデモ
も登場。リーダーもなく、一般人がスピーチするデモだった。
・評価T;“進歩vs保守”ではなく、“常識vs非常識”の対決だ。公正性の問題だ。
平和的デモには、SNSの積極的活用、多彩な文化イベント、家族単位・中高生の参加等々。
非暴力、秩序、平和デモでも多く集まると政治を変えられる!!毎週土曜日100万人が集まり、地域の店も大繁盛し、デモ後、参加者が皆で清掃作業を行う等も、賛同の大きな要素になった。
・評価U;政治の司法化:1978年体制の産物=憲法裁判所が設けられたこと。
直接民主主義の可能性:個人的には韓国では民主主義はできないと思っていたのに!
私の大学卒業時、社会は豊かで就職できたが、今はあまりに厳しい!メディアも賛同した!
「韓国はどこまで来たか」 高橋肇(名古屋音楽大学教授)
ダイナミズムの中で政治は動く、フランス革命も70年掛かっている。再選できない韓国大統領
制は問題を起こしかねない。日本は選挙で辞めさせられるが、韓国では選挙で辞めさせられない。
質疑応答等:今回は民主革命なのか? 日本もどうしたら100万人集められるか? 今回の結果は
成功でも、今後が心配。次の大統領は進歩党が勝っても、その次が心配。日本を振り返ると、今
回の報道をメディアがほとんど報道せず、マレーシアや森友に集中した。“メディアの不作為”が
問題だ。日本の運動はもっと自由にならないといけない。韓国のような大きな広場が必要だ。
所感:韓国での平和革命の要因は、死者も出た戦後の六月抗争の経験が大きいと言う。振り返って
日本は国民とメディア等の萎縮が危惧されている。真の民主主義を祈念したい。